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「そういえば前に蒼い龍から赤い気配がするって言われたことがあるんだけど…… 」
由希の問いかけに辰美は目を細めた。
「あれってもしかして辰美が」
塞がれた。 由希の疑問も問いかけも。 酸素を求めるも開いた口も塞がれ、由希は辰美の肩を叩いた。
その手を握られ、腰を引き寄せられて逃げることもできずに由希は辰美を強引に受け入れることに。 辰美は息苦しさに顔をしかめる由希をちらりと盗み見て、後頭部に手を回す。
苦しさに頭がくらくらとしてきた由希から唇を離すと由希はぐったりと身を辰美に預けた。 息継ぎを繰り返す由希の目を手で覆った辰美はもう一度口づけて、由希の首に手刀を一つ。
びくりと身を震わせて動かなくなった由希を確認するとため息をこぼした。
「余計なことをしやがって…… 」
「まさか、お前のお手がついてるとは思わなかったからさ」
寝息をこぼす由希を確認したあとに辰美は後ろに立つ蒼い龍をにらみつけた。
おっかないと肩を揺らす蒼い龍に辰美は舌を打つ。
「痛い目にあいたくなければ由希に近づくな」
辰美の言葉に蒼い龍は面白いと腹を抱えた。
一度も見たことのない昔馴染みの執着心に蒼い龍はひとしきり笑うと辰美に手を振る。
「それは俺が決める。 ちょっかいだしたくなったらだすし、和也が寂しがれば連れていくかもな」
ゆっくりと足から消えていく蒼い龍に辰美は一度だけ視線を送る。
「由希に手をだそうものなら、お前の愛おしい奴になにをするかわからないな」
辰美の言葉に蒼い龍は目を細めた。 消えかけていた足を再び出現させると辰美のほうへと歩みを進める。
目の前までやってくると辰美のあごをつかんで、己に向かせた。
「出来るものならやってみろ。 そのときはお前の目の前で由希をぐちゃぐちゃにしてやる」
辰美のあごから手を離すと蒼い龍は消えた。
めんどうなやつだと辰美はため息をこぼすと同時に由希の頭を撫でた。
自分の醜いところを知られたくない、知られてしまえば由希は離れていくかもしれないという思いが辰美の心をぐるぐると渦を巻いて動き回る。
「ごめんね、由希」
由希の額に触れた。
この記憶を消してしまおう。 蒼い龍から言われた刻印のことを。
「いつか、本当につけたいな」
寝息をこぼす由希に口づけた。




