甘えん坊?
晴れた晴れた。
今日は雲一つないとてもきれいな青い空が広がっている。 布団を干せば夜はとても気持ちよく寝られるのかもしれない。 洗濯物も一日で乾いてしまうかもしれない。
家に帰って干してしまおうと考えていた由希だったが買い物帰りに親友に拉致されて学校の近くにある大きな木の上に連れ去られてしまった。
腰を下ろした辰美は由希を腕に抱えるとその胸に顔を埋めこんで動かなくなってしまう。 なにかいうでもなくただ抱きしめてくる辰美に困ったと由希は思った。
肩を叩いても、背中をなでても反応を示さないためにどうしようかと考えていると辰美が一度顔をあげて由希の頬に口づけてまた胸に顔を埋める。
「ねー辰美。 どうしたの? 僕は家に帰って布団を干したい」
「だめ、今回は諦めて」
だだをこねた辰美は由希を抱きしめたまま離そうとはせず、由希の腰に腕を回すと落ちないように引き寄せて背中を撫でる。 くすぐったいともらす由希を確認して強く抱きしめた。
「親父と喧嘩して…… 腹が立って、由希を拉致したの」
「喧嘩したって珍しいね。 辰美から喧嘩したとかあまり聞かないからさ」
由希を抱きしめた辰美は由希の服に手を押しこんだ。辰美は由希の肌に触れ、なで、由希の頬に口づけを繰り返す。
「ねぇ由希、お風呂に入りにいかない? 」
「温泉ってこと? あまり妖怪たちが集まるところは嫌だなぁ…… 絶対に触られるし、じろじろと見られるから落ち着いて入れないや」
「山の中でお湯の沸くところがあるんだ。 ほかに妖怪たちは集まらないから穴場なんだ。 そこに一緒にいかない? 」
それなら…… と答えた由希に笑みを浮かべた。
「じゃあ、すぐにいこう」
由希を抱えた辰美は一目散に木から下りていく。 あまりの速さに由希が悲鳴をもらすも辰美は楽しみだと顔をほころばせた。
あれから駄々をこねる辰美をなだめすかして布団を干した由希は辰美に抱えられて山奥までやってきていた。 ぴちぴちと鳴く小鳥たちの声が響き渡り、さらさらと風に吹かれて木々が揺れている。
そばを通り抜けていく狸たちの姿に由希はほっこりした気持ちになった。
「ここの奥にあるから」
辰美に腕をひかれて由希は辺りを見渡しながら歩いていると、すぐに湯気が目立つところにたどり着く。 狸が何匹か目当ての温泉につかっているだけで他に妖怪たちがいることはなかった。
「大きいなぁ…… 」
「早く入ろうよ」
辰美に促されて由希は服を脱ぎ捨てて、温泉に身を沈めた。




