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現代の怪談―The Contemporary Kaidan―  作者: 坂本小見山
02.''Changed'' 「化け蛙」
6/42

解説 〔第二回〕

メイキング オブ 「現代の怪談」〔2〕

~時が全てを変えてしまう~



☆第二のヒーロー・閨川守☆

 本話の最大の見所は、麻咲に次ぐヒーロー・閨川守の登場だ。

実は、拙作「メーソンの野望」に既に登場しているので、再登場ということになる。


 「現代の怪談」のシリーズ全体を貫く最大のテーマ。

それは、一言で言えば「現代と伝統の対立」である。

閨川は、その「現代」サイドの代表である。

今回も閨川は、化け蛙の正体について、あれやこれやと哲学的な分析を試み、一つの解釈を得る。

だが、正体が解ったからと言って勝ったことにはならない。

自然の驚異は常に人智を超えているものだ。

閨川は、化け蛙に強かにやられてしまう。

「超人」麻咲イチロウが現れなければ、閨川は敵を取り逃していたことだろう。


 閨川のもう一つの役割は、「人間らしいヒーロー」である。

麻咲は「完全無欠のスーパーヒーロー」だから、寧ろ、怪奇現象と同じ超自然サイドの存在だ。

それに対して、閨川は、ときには情にも流される、等身大のヒーローなのだ。

次の第三話から本筋の物語が始まるが、これはヒーロー目線のドラマとなる。

読者の目を、そのヒーロー目線に重ね合わせるために、彼は不可欠な登場人物なのである。



☆人は変わってしまう☆

 「現代と伝統の対立」というテーマを、グッと我々の日常に引き寄せたのが、「時が変えてしまったもの」に対する「在りし日への郷愁」という本話のテーマだ。


 久し振りに古い親友と会ってみたら、すっかり変わってしまっていた・・・といった経験を、多くの方がお持ちだろう。この世に変わらないものなどないから、それは当然なのだ。


 だから誰にでも、望まぬ形に豹変してしまう可能性はある。

北村のように。

島田は、自分自身が変わってしまったことを知っているから、北村の激変を赦し、抱きしめることができた。

しかし、本当に赦されるべきなのは、実は島田自身であったのだ。

その役目には、強く優しいヒーロー・麻咲を措いて他にいまい。

人を赦すことができてこそ、真のヒーローだと私は信じている。



☆なぜペン回しなのか?☆

 最後に、なぜ麻咲の武器がペン回しなのかについて触れておこう。

本当は第一話の解説で触れたかったのだが、一輪車「ネオ辰砂」と併せて解説したかったので、今回に回した。


 「ペンは剣より強し」という箴言があるように、ペンとは文化の象徴である。

そのペンを使うときに、軽くクルクルっと回すというのは、文人の一種のアクセサリだと私は考えている。

ガンマンが銃を収めるときに回したり、ドラマーが空いている手でピックを回したりするのと同じである。


 武力と言うのは、本来人間臭いものである。

「武力的でない戦闘シーン」という矛盾したイメージを実現するために、私が考え付いた武器こそ、麻咲の代名詞たる「武道ペン回し」なのだ。


 となると、ペン回しを武器とするヒーローに相応しい追加戦力も、やはり当たり前の兵器であってはならない。

私は、麻咲のモチーフを「曲芸」に統一することにし、ペン回しと同じく回転運動する、フラフープと一輪車を候補に挙げた。

そして結局、移動手段にもなる一輪車を選んだのだ。


 因みに、「辰砂」とは、朱色の天然顔料の名前であり、彼の称号「竜血旋士」の「竜血」もまた、辰砂の別名だ。麻咲のイメージ・カラーを表しているのである。

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