第十四話 闇の中の光
*家久視点
黒い手に貫かれた美琴がゆっくりと倒れる。堂本が慌てて治療を始めた。
守れなかった。
俺は、美琴を。
「ーーあ」
ドクリ、と心臓が大きく脈打つ。俺の中の妖魔が全身を浸食していく。妖魔王は嬉しそうに笑う。
『そっちの方向で来ちゃったか。まあいいや。ようこそ妖魔の世界へ』
妖魔の世界。
それも良いのかも知れない。
美琴がいない人間の世界なんて興味が無い。
なら、いっそーー。
「島塚君」
「ーーっ!!」
ふわりと、俺を包み込む温もり。その声はーー。
「み、こ、と」
「島塚君。どうか闇に捕らわれないで下さい。そんな島塚君なんて見たくありません」
「美琴……」
美琴が笑う。
そうだ。俺はこの子の笑顔を守りたいと思ったんだ。
好きな子の、笑顔を。
『なっ……!』
妖魔王が目を見開いている。元の姿に戻った俺に驚愕しているのだろう。
ありがとう。美琴。
お前がいたから、俺は今こうして戦える。
「島塚君……」
「ああ。分かってるよ。美琴。
……俺は、妖魔王を倒す」
全身に青い炎を纏わせる。俺の全ての力を込めて。いや、美琴も力を貸してくれる。俺一人の力じゃない。
『こ、この力は……!?』
初めて妖魔王が焦ったような声を出した。黒い手でガードする。
鳳凰の姿になった俺は、妖魔王に全ての力をぶつけた。
「おおおおっ!!」
『うわあああっ!!』
ぶつかり合う力と力。
炎が消え、黒い手が全て消滅した妖魔王は地面へと倒れた。
『……ああ。負けちゃったや』
「……どこかでそれを望んでたんだろ」
『ふふ。そうだね。
…………でも、僕を倒してもまた復活するよ。人間がいる限りね』
「……倒してやるよ。何回でもな」
俺の言葉に妖魔王は笑って、ゆっくりと目を閉じた。
『妖魔王様!!』
サクラが慌てて妖魔王の身体を抱える。そして俺の方を見て言った。
『よくも妖魔王様を!覚えていろ!いつか必ず貴様達を殺してやる!!』
そして、二人は消えていったーー。
「待ちやがれ畜生!また逃げられた……」
舌打ちをする葉の横をすり抜け、痛む身体に鞭打ち美琴の所へ向かう。
「美琴ちゃんなら大丈夫。なんとかね」
「美琴……」
美琴の身体を抱えると、美琴の目がゆっくりと開いた。
「島塚、君?」
「……良かった……」
美琴を抱き締める。目からは涙が溢れていた。大切な人を失わないで済んだ。
「島塚君……泣かないで、下さい」
美琴が指で俺の涙を拭う。その指に、キスをした。




