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鬼と猫又と私  作者: 悠里
12/15

第十二話 初詣と大凶と再会と


新しい年になりました。

私は新年早々、島塚君のお姉さん達の玩具にされていますが元気です……はい。


「振袖ぴったりで良かったわー」

「髪はこんなもんで良いか。髪飾りはこの辺に……」

「化粧は薄めで良いですわね。若いって良いですわあ」


…………こんな感じで、突然呼び出されたかと思えば、初詣に行くと言われ振袖を着せられています。眼鏡も外されてコンタクトです。

ううう。私服で良いのに……。


「出来たわよー。さ、家久と行ってらっしゃい」

「え、義子さん達は行かないんですか?」

「私達はもう済ませてきたからな」

「二人きりで行ってらっしゃいですわ」


最初から二人きりにすることが狙いだったんですか……。仕方無く私は慣れない振袖に戸惑いつつ島塚君の元へと向かったのでした。


「お、お待たせしました」

「………………」


紋付袴を着た島塚君は、私の姿を見て目を見開いています。


「や、やっぱり変ですか……?」

「いや……似合ってるけど……そんな姿俺以外に見せたくねえな……」

「?」


島塚君は顔を反らしながらブツブツと何か言っています。どうしたんでしょう?


「……とりあえず行くか」

「あ、はい……きゃっ!」


下駄なので上手く歩けず転びそうになったところを島塚君に抱き留められます。は、恥ずかしい!


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……すみません……」

「…………」


何やら考え込んでいた島塚君が、不意に私の手を握り、そのまま歩き出しました。


「し、島塚君?!」

「また転ぶといけないから」

「うう」


それは分かるんですけど、恥ずかしいです。顔から火が出そうです。それでも、離して欲しくないと思うのは何故なんでしょう?





目的の神社に着きました。凄い人混みです。長い間並んで漸く賽銭箱の前に来ました。

お賽銭を入れて、両手を合わせ目を閉じます。


『島塚君が無茶だけはしませんように』


島塚君は自分のことはどうでも良いようなフシがあります。神様。どうか島塚君を守って下さい。


その後、おみくじを引くためにまた並んでいる時に、島塚君に聞いてみました。


「島塚君はどんな願い事をしたんですか?」

「んー……好き……いや、美琴を守れますようにって」

「?」


島塚君、最初何を言いかけたんでしょう?


「美琴は?」

「私は島塚君が無茶をしないようにってお願いしました」

「…………」

「島塚君?」

「するよ、無茶」


島塚君の目が真っ直ぐ私を見ます。


「美琴を守るためなら、どんな無茶だってする」

「……島塚君……」

「あ、順番来た。おみくじ引こうぜ」

「……はい」


私達二人はおみくじを引きました。結果は…………。


「お、大吉。美琴は?」

「大凶……です」


新年早々最悪です。身体面は『ケガに注意』人間関係は『会いたくない人に出会う』

私が落ち込んでいると、島塚君は私のおみくじと自分のおみくじを一緒に木に結びました。


「これで相殺されて吉くらいにはなるんじゃね?」

「……ふふ、そうですね」


笑顔で言った島塚君に、思わず私も笑っていました。しょせんおみくじはおみくじですよね。




帰り道。

また手を繋いで帰ります。島塚君の手は温かいです。


「島塚君……今年もよろしくお願いしますね」

「ああ」


今年も、これからもずっとーー。島塚君と一緒に。





「!!」


その時でした。

あの、嫌な感じがしたのは。

しかも、この感覚はーー。


『やあ。デート中のところ申し訳ないね』

「妖魔王……!!」


ああ……やっぱり、あのおみくじ、当たってたんですね。人ではないけれど。

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