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プロローグ

 この作品はフィクションです。

 この作品に出てくる人名、国家、団体、宗教等は実在するものとは関係ありません。

 そこは会議室、部屋の外には”特異対策会議総司令本部”と書かれた看板が立っていた。

 「状況の再確認を。ウィティカヌス教国からは日本からも”神示御”を至急向かわせてほしいと。場所は地球の反対側、ヴェラクルス国家。対象の規模は丙型、三百二十尺の弩級。人型で現在も毎分三尺程度で拡大中。」

 円卓に座る4名に情報士官が現状を説明する。

 陸、海、空、特、それぞれ服の色は違えど同じ形をした軍服をしている。そのうちの特が確認をする為に話し出す。

 「手筈は何時も通りで。神示御は”剛毅紫電改九十一式”での間接搬送。作戦開始時刻は之より十七分後の一二○○。現地到着は同日一二○○。後、指揮主導はヴェラクルスの特務に譲渡。三軍(陸、海、空)は警戒水準を乙三まで上げ。以上。」

 「赤月特将、神示御の不在中は特別伝令を一括化として下すが?」

 「海事、質問同じく。」 「空事、陸事と質問同じく。」

 「私に内容を通して頂ければ一分以内には返答します。よろしいでしょうか?」

 三軍の将が一斉に了承と口に出す。それと同時に4名の前に1台ずつあるテレビに現地の映像が映った。


 同時刻

 場所は大分県の北東部、国東半島。そこに高い塀で隔離された場所があった。

 塀の内側には建物があり、そこも厳重に鉄の建物によって囲まれている。此処こそが、近代空事によって開発された長距離移動施設、剛毅紫電改九十一式が設置されている場所である。中ではキビキビと人が動いていた。

 「目標地点への軸合わせ修正よろし。地表振動予想範囲内。地殻変動安定。最終軸固定完了。回転よろし」

 「回表面、標準差異無し。回転燃料供給による誤差、標準よりずれ無し。磁掃回転安定。本回転よろし」

 戦艦の司令室を彷彿されるような場所で、研究員が次々と状況を説明している。一人の研究員が、その状況を目の前で映し出されたモニターの数値を見ながら脳内で再確認している。この研究員こそ、施設長兼九十一式の最高責任者である、牧中佐である。

 牧が脳内で再確認を終える頃、搭乗者到着とのアナウンスが入る。それに伴い、牧が指示をとばす。

 「回転始め。五割止め。搭乗者が入った後は、一分で十割まで走らせる。各員は始動前準備を。予想範囲外の数値は各員で処理。私は搭乗者と会う。」

 と言い残し、九十一式の搭乗口前準備室に駆け足で向かう。

 廊下を渡り、自動ドアが開くとそこには搭乗者であり、本作の主人公が戦闘道具の最終確認をしていた。牧の姿を見ると同時に直立不動になり、敬礼をする。

 「特務指令より伝令。本官の九十一式による間接転送。目標地点はヴェラクルス国家の長距離転送施設。転送後は起動状態で待機。以上。」

 「了承。武器の確認に戻れ、准士官。搭乗まで八分三十秒。」

 失礼します。と言って慣れた手つきで戦闘道具の最終確認を再開する准士官。それと同時に肩の力を抜く牧中佐。

 この准士官、かなりの長身(192cm)であり、直立不動の敬礼は相手を見下ろす事が殆どである。今は軽い厚底の戦闘靴を履いているので2m近い長身になっている。また、何時も険しい顔をして瞳孔が若干開き気味なので、威圧感が技術職の者には堪えるのだ。十数回会っているのに未だに成れない牧であった。そんな事は今は関係ないなと頭を掻いて、ここにきた理由を思い出した牧は話を切り出した。

 「准士官、そのぉ・・・なんだ。今日は、その戦闘服しか持ち合わせていないのか?あ、手は動かしたままで答えていいんだ。」

 「はっ、本官が着れる物は限られていますので、今日はこれしか。それと、牧中佐の姉上殿には毎度感謝しております。このような高性能な服と武器の数々を使用するのが誇りになっております。」

 あははっ、と乾いた笑いの後、准士官に背を後ろに向けて頭を抱える牧。

 (あの馬鹿姉は、何を考えとるんだ!何故戦闘服に黒Yシャツ黒ズボンの上から白いロングコートなのだ!おまけに赤マフラーだと!?こんな真夏日に何を着せてるんだよほんとに!確かに、あの服は絶対に破けないし、絶火絶水絶縁絶伸縮等のあらゆる性質性能をつぎ込んだ服とコート、靴は認めるが、服の総重量だけで200kgってあんた・・・。それに加え変態武器の数々。うちのアホ研究員の馬鹿共も姉と同じく、ロマンだの言ってるが上層部から”どうにかしてくれ”と懇願される私の身にもなっていいと思う。他の国はそれぞれお国柄に合わせた服装をしているというのに・・・うちの神示御ときたら)

 「中佐、大丈夫ですか?」

 牧が抱え込んでいた頭を上げて素早く振り返ると、そこには眉間に皺をよせて、より一層顔を険しくさせた准士官が牧を見下ろしていた。

 「いや、何でも。少し早いが搭乗してくれ。私は戻る。」

 そそくさと準備室を出て行き、早足で管制室へと足を運ぶ牧。一度深い溜息をついて、気持ちを落ち着かせた後、部屋に入り、席に座る。

 「搭乗者の身体、精神状態報告。回転9割まで上げ。」

 「搭乗者の身体、精神共に安定。正常値。搭乗者の状態常時記録開始。」

 「回転七割まで上昇。誤差零。各機駆動安定。」

 それを確認し、総司令本部まで直通で繋がっている白電話を手に取る。

 『こちら九十一式管制室。準備完了。予定時刻で搭乗者搬送可能。』

 『こちら赤月。搬送時機はそちらに任せる。』

 『了解。搬送完了後に報告します。通信終わり。』

 白電話を置いた後、次に牧は搭乗者に声をかける。

 『こちら管制室。搭乗者、準備はいいか?』

 『準備完了。』

 それを確認して、最終工程に移る。

 「搭乗者機球。剛毅紫電改九十一式の中心まで移動。発進時刻表示。回転最大!搭乗者、発進前最終記録を録る。身分宣言を。」

 『特異殲滅部隊部隊番号一一二一、紅・鉦祇くれない・かねぎ准特尉。』

 「回転最大。移動完了、残り時間十秒。」

 「では、紅准特尉。いってらっしゃい。」

 母のような顔を浮かべる牧中佐。それと同時に紅が乗った球体が九十一式に”落とされる”。それと同時に球体が独特な加速音を立てて消える。

 「信号は出たか?」

 「し、信号・・・出ません!」

 それに対し牧は首を傾げる?

 この九十一式は紫電の名を持ってはいるが、地球の何処だろうと0.00秒以下で移動することができる、世間的には瞬間移動装置だ。故にGPS信号が切れることはおかしい。

 「ヴェラクルス国家、ウィティカヌス教国に神示御が行っていないか確認。世界各地に到着時に発生する無振動爆発音が無かったかを。発進前の全記録を私の画面にまわせ。管制室以外の作業員は指示があるまで絶対に動くな。」

 白電話が鳴り響く。牧は画面の数値を眼球だけ動かしながら確認していき、それを片手に取った。

 『こちら総司令本部。ヴェラクルス国家より神示御が着いていないと連絡があった。何があった、中佐』

 『こちら管制室。神示御は無事発進、状態全て青。』

 「中佐!各国から連絡、爆発音・・・確認できず!全国家、確認できず!」

 『特将・・・神示御、地表から消失。紅准特尉の生存・・・不明。』

 『了解した。こちらで事後処理をする。中佐は原因究明と各国に伝達を。こちらの片がつきしだいそちらに向かう。責任は感じるな。落ち着いて行動しろ。以上。』

 『失礼します・・・。』

 白電話を置き、頭を抱える牧。深い溜息をつき、気持ちを静止させて顔を上げた。

 「総員!緊急集会!各部署の部長は会議室に!それ以外の者は待機室内で休息を取れ!副長、各国に通達。星間移動失敗したと。後、しばらくここを任せた。」

 と言って牧は早足に会議室に向かうのだった。

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