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記憶  作者: 月読 龍
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とある事を思い出した。


「大人になったらお嫁さんにしてね」


「分った、約束だよ」


他愛ない昔の記憶。


その対象は、どこに居るのかすら解らない。


今でも鮮明に思い出すあの時。


約束。


だから・・・


横から掛けてくる声。


「どうしたの?」


不思議そうに覗き込んでくる。


「好きだよ」


小声で、それでいて聞こえるように言う。


気持ちは昔という形にごまかして削除する。


つらさなど知りたくない。


・・・思い出したくない。


彼女を信じて忘れよう・・・。

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