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Ⅱ
夏のある日
海辺
漂う波
彼女は朝日に溶け込んでいた。
長い髪が緋茶色に映えて、ちょっとした時に髪の輝きが体を包み込む
その情景を眺めている二人。
「どっちだろうな?」
「俺と信じたい……」
言葉と言葉の空白が互いの気持ちを伝え合う。
「だが、一人しかいないのが自分たちの不幸だな……」
彼女を得るのは自分たちの他、誰も居ないと信じてる。
「居ないよりは幸せだ」
失いたくないのはどちらも同じ。
「知らない方が幸せだったかも……」
選ばせるのが酷に思えている。
「そんなはずはあり得ない……」
三人がそれぞれにつらい。
「なぜ……」
こちに出す事で互いの気持ちを確認しあう。
「俺達、一つで生まれたかったな」
心がきしみ、音をたてる。
「その分、二倍想う事ができる!」
強ければ強いほど脆くなる。
「だから……」
燃える思いに水打つ現実。
通り過ぎる時間がもどかしい……。




