ミニマリストにプレゼントを
プレゼントした相手がミニマリストだった。
「はい、チョコレート。
バレンタインだから」
「いや、要らない。ゴミが出るから」
長年付き添ってきた幼なじみがミニマリストでした。
※ミニマリスト=物を持ちたくない人
「ミニマリストだっけ、会長」
「そう。本も持ちたくない」
「好きなのに、本」
「だからいつも図書室使うじゃん」
「ああ、そういうこと」
「そう、そういうこと」
僕は天を仰ぐ。
築100年くらいの中学校、天井にシミがあったなんて知らなかった。
そして、会長、生徒会長が物要らない子ってことも知らなかった。
僕は副会長。
まあ、もちろん、どっちも『元』なんだけど。3年生で今は2月だから。元会長と、元副会長。まあいいじゃん、僕は元って気分が全くしないし。
「参ったな…」
「何が」
この女子は生徒会長、僕は副会長。
でも、学力は全く違う。天と地ほど。
だから、多分、別々の高校に行く。
受験も近い2月14日、何かプレゼントをあげようと思ったんだけど。
…。
てか、普通ミニマリストでも受け取らね?
ま、まあいいや。
「本屋行こう、本屋」
「わ、わかった」
提案にうなずいてくれる。
「今日は漫画のコーナーじゃないんだね」
「訳あって」
「まあ、察しはつくけど」
微笑まれる。
毎日のように、僕たち2人は本屋に来る。
この子は新刊のチェック、世の中の流れを知るため、らしい。主に小説や新書。
僕は毎回漫画をチェック。てか、読める本が漫画しかねえ。絵本は中学生には度胸がいると思う。
「どれにしよう」
僕は呟き、初対面のジャンルの本たちを眺める。
「どれにしてくれるかな」
と、会長。
うん、やっぱバレてる。
ミニマリストでも本だったら受け取ってくれるはず、と僕が思ってること。
流石頭のいい会長だぜ!
さて。
「本当、どれにしよう」
小説、読んだことないからさっぱりわからん。
「インマウス、何か格好いいな」
手に取る。
「うん。表紙もなんか不思議で格好いい」
奇妙、というか。
「ラヴ・クラフト」
僕はうなずく。
「これにしよう」
レジに向かおうとする。
すると、
「クトゥルー神話て」
会長がボソリと呟く。
「クトゥルー?」
神話? え? ゼウスとか出てくるの?
会長は微笑み、
「プレゼントは気持ちが大切だからね。
部屋に唯一ある本がそれなのは、アレだけど、ありがたく受け取るよ。思い出の品として」
「よかった。
よくわからないけど、本だったら受け取ってくれるって思ったんだ」
「受け取るよ、ありがとうねー」
うんうん、うなずかれる。
※生徒会長と副会長のやりとりです。
頭に、頭にレベルの差が…。
後、チョコレートもあげると言ったけど、やっぱり断られた。
いや、食おうぜ?
ありがとうございました!




