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グリッドランナー  作者: 末比呂津
マンスローター編
19/63

何か言ったかな“素人”さん?

 海斗は腰を落としてそれを迎え撃つ。

 まずは右側から振り払われた斬撃を、相手の手首を掴んで受け止め、ほぼ同時に左側からの斬撃も同様の手段で防ぐ。が、その直後に突如としてマンスローターの胸元が縦にぱっくりと割れ、内部から肋骨の代わりに鉄の処女(アイアンメイデン)を彷彿させる無数の刃物が襲い掛かった。


『うわっ!?』


 海斗は咄嗟に仰け反ることで、それを回避した。勢いそのままに後方に飛び退き、一旦距離を取ろうと試みる。

 マンスローターはしかしそれを予期していたのか、即座に追撃し、左右両側から立て続けに怒涛の斬撃を繰り返した。

 鉤爪の刃先がLED照明の光を反射し、極彩色の軌道が弧を描く。

 海斗はどうにか攻撃を躱しながら反撃のタイミングを窺う。相手の斬撃は確かに早いが、振りが大きく、隙が生じやすい。マンスローターが右手を振り切ったところを狙って、脇腹に拳を打ち込んだ。

 だがまるで効いていない。どころか殴られても全く怯むことなく左手の鉤爪を突き出してくる。切先が首筋から僅か数ミリのところを掠めた。

 この男は今までの相手とはレベルが違う。四体のRX300を同時に相手にしている時よりもギリギリの状況を強いられている。ヒリヒリとした緊迫感が全身を包み込む。


「天下のヒーローも大したことねえな……」

『こっちは丸腰だってのに大人げないね。そーいうことなら俺も奥の手使っちゃおうかな!』


 と、威勢良く言ったは良いものの、あの鉤爪をどうにかしないと状況は好転しない。プラズマ砲の出力を上げて攻撃するか。しかし万が一、威力が強すぎて周囲に危害が及んだら元も子もない。

 多少リスクはあるが、それ以外の方法で何とかしなければ。


「どうした、逃げ回るのが奥の手か?」

『ちょっと急かさないでくんない。気が散るでしょ!』


 そう言っている間に、とうとう壁際まで追い詰められた。鉤爪の刺突が眼前に迫る。

 海斗は寸前のところで一回転ジャンプを決めて背後に回り込む。そして相手が振り返るより早く、がら空きの背中を思い切り蹴り上げた。

 壁に突き立てた鉤爪が腕ごと深々と突き刺さる。


「ちぃっ!」


 マンスローターは直ちに腕を引き抜こうとするが、どこかで引っかかっているのか、抜くのに手間取っている。その隙を海斗は見逃さない。


『おっと、ちょうど良いサンドバッグ発見!』


 両方の拳で、無抵抗になったマンスローターを一方的に殴りつける。

 頭、脚、胴体、ダメージが入りそうな箇所を集中して攻撃する。それまで無反応だったマンスローターが初めて苦悶の呻きを漏らした。


「くそっ……調子に乗るな!」


 堪らずマンスローターが鉤爪を切り離して肘鉄を繰り出してきた。その手にはもう凶悪な鉤爪の姿はない。


『あらら、ゴメンねー。ネイルサロンで新しいのつけ直して貰えば?』

「クソッたれが……」


 ともかくこれで幾分か楽に戦える。

 あの鉄の処女のような胸といい、相手は全身に凶器を仕込んだサイボーグのようだ。その身体にどんな武器を隠し持っているかわからない。正面から近づくのは危険だ。ここは回り込んで不意を突くのが得策である。


『今度は俺のとっておきを見せてあげようか』


 海斗は光学迷彩を起動して姿を消した。


「光学迷彩か……」

『その通り。さて問題、俺は今どこにいるでしょう。正解したら十点、殴ることが出来たら二十点!』


 音もなく背後に回り込み、後頭部に上段蹴りを叩き込もうとする。ところが――

 蹴りが目標に到達する寸前、マンスローターの両肘がピクリと動いたかと思うと真っ二つに割れて、内部から露出した銃口が火を噴いた。

 弾丸が胸の真ん中に直撃し、肺の空気が一気に押し出される。海斗の身体が紙くずのように飛び、テーブルを倒して壁に激突した。


「これで百点だろ?」

『イテテ……そういうルールじゃないんだけど、ほんっと大人げないよねまったく……!』


 光学迷彩が通じなかった。

 恐らく動体センサだろう。海斗のサイバーウェアに内蔵されているのと似たようなものを備えているのだ。動体センサなら相手が見えていようがいまいが、動く物体を感知して素早く反撃を繰り出すことが出来る。

 サイボーグになってから初めて痛みを感じた。それはつまり、相手は海斗と同程度かそれに近い力を持っていることを意味する。

 加速装置で攻撃を仕掛けるか。だがもし加速装置にも動体センサが有効だったら?

 海斗の動体センサは銃弾さえ回避出来る。ならば加速装置でも同じことが可能なのではないだろうか。だとしたら危険だ。自動車の速度が速ければ速いほど、衝突事故が起きた時の被害が大きいのと同じ原理で、こちらが高速で動く分、反撃を食らった時の威力も大きくなる。

 加速装置は諸刃の剣だ。相手の攻撃を躱しつつ、通常の速度で反撃の糸口を探るのが得策か。


 ――待てよ……ひょっとするとアレならいけるかも……。


 海斗はある策を思いついて、一度それを試してみることにした。


「ふん、少しはやるようだが所詮はガキのママゴトだな。俺様がプロと素人の違いってヤツをその身体にたっぷり叩き込んでやるぜ!」


 そう豪語するや、マンスローターが愚直な突撃を開始した。こちらが態勢を整える前に、さらなる攻撃を叩き込む腹積もりだ。右手首から刃渡り二十センチ程度の短剣が露出し、海斗に迫る。

 次の瞬間、吹き飛んだのは――しかし海斗ではなくマンスローターの方だった。


「くっ……何ィ!?」

『何か言ったかな“素人”さん?』


 海斗の痛烈な右拳がこめかみに直撃し、マンスローターを反対側まで勢い良く跳ね飛ばした。

 殴られた部分が赤く滲んでいる。

 やはりそうだ。海斗が光学迷彩で攻撃しようとした時もそうだったが、動体センサはあくまで使用者が回避可能な状態の時にのみ作動する仕組みになっており、攻撃動作に入っている時は機能しないのだ。

 さらに今の海斗のパンチは、一見すると普通の一撃にも見えるが、実際は加速装置を使って同じ個所に何十回も拳を打ち込んでいた。

 一回の威力では大したダメージを与えることは出来ないが、それが何十回も連続すれば決定的な痛打になり得る。

 昔、読んだ漫画で覚えた技の知識が、まさかこんなところで役に立つとは。


「チッ!」


 マンスローターは握り拳を床に叩きつけて立ち上がった。


「テメー楽に死ねると思うなよ……」

『駄目だよ、学校で“死ぬ”なんて言葉使ったら。先生に怒られるよ』


 再び手首の刃物を振りかざして、マンスローターが襲い掛かる。が、海斗は的確な動作で攻撃をいなし、その際に生じた隙を捉えて加速装置を利用したカウンターを加える。次第にマンスローターは追い詰められていった。

 形勢は海斗の方が有利だったが、格闘能力は向こうが上回っており、決して油断は出来ない。気を抜けば簡単に逆転される恐れがある。

 危なくなったらすぐさま天井や壁に張り付いて、一時的にマンスローターの手の届かない場所に逃れる。そのようにして着実に相手の体力を削っていく。

 手首の高周波ブレードは鉤爪ほどの刀身はなく、それほど脅威はない。が、真正面から接近すると鉄の処女の餌食になる。


「ムカつくガキだ!」

『あらそう、カルシウム足りてないんじゃないの?』


 実際はカルシウム不足が苛々を誘発することはあまりないのだが、相手の冷静さを奪うのが目的なので科学的正確性は気にしない。

 これで一層逆上して闇雲に突進してくるかと思いきや、マンスローターは案外冷静にこう言った。


「はっ認めてやるよ。テメーは今まで殺した奴の中で一番強え。正直ここまで追い詰められたのは初めてだぜ」

『そりゃどうも、じゃあ仲直りの握手する?』

「馬鹿言うな」


 マンスローターは不敵に笑うと、足元に転がっている“何か”を盾にするように持ち上げた。


「けどな、いくら強くてもこうすりゃどんな反応をするかな?」

『げっ』


 それはさっき腕を切り落とされた高橋だった。

 テーブルの陰に隠れて見えなかったが、まだ避難していなかったのか。


「動くなよ。少しでも動けばこいつの首は胴体と永遠におさらばすることになるぞ」

『それ何かの比喩? それともそのままの意味?』

「そのままの意味だ。何なら証明してやろうか?」

『……いや、わかった。大人しくする』


 刃物が僅かに首筋に食い込んだのを見て、慌てて言う通りにする。あの目は本気だ。ここは一旦大人しくした方が得策か。

 まさか高橋が人質になるとは。

 このシチュエーション、ドラマや漫画ではありがちなシチュエーションだ。こういう時、主人公達はどのようにして危機を乗り切ったか思い出してみる。様々な手段が思い浮かぶが現実でも応用可能かはわからない。

 失敗すれば自分も高橋も殺される。

 高橋を見捨てる、という選択も確かにある。親しみよりも恨みの方が圧倒的に勝る相手だが、ここで死なれても寝覚めが悪い。

 マンスローターはサッと身を屈めると、右の膝頭から小型のロケットランチャーが露出した。海斗は思わず両腕で身体を庇う。直後、ロケットが火を噴いて海斗目掛けて発射された。

 対サイボーグ用のロケット弾が腕に着弾し、鈍い痛みが走った。

 床に倒れ込んだところに、マンスローターが容赦なく蹴りを浴びせて来る。


「ようタフガイ、次はテメエがサンドバッグになる番だぜ」


 海斗の身体がサッカーボールのように転がる。

 そして止まったところをさらに踏みつけ、殴る蹴るの暴行を加えた。それは殺すよりも痛めつけることが目的のリンチに近い状態だった。

 今までの鬱憤を晴らすかのごとく、激しい怒りが海斗の身体に叩きつけられる。


「最後に何か言い残す言葉はあるか?」

『た、頼む……助けて、くれ……』

「今更命乞いとは情けねえな、天下のグリッドランナーともあろうものが。そんな無様な姿を晒すくらいなら潔く死んどけよ」


 ぐったりして惨めな格好で横たわる海斗の胸倉を掴んで立たせると、高周波ブレードを構えてこう吐き捨てた。


「じゃあな」


 喉元に高周波ブレードの刺突が迫る。

 刹那、マンスローターは見た。まるで独立した意志を持つかのように、海斗の左手が動き、ブレードを突き刺そうとする手首を掴み取るのを。

 と同時に海斗の顔が突然こちらを向き、ひょうきんな声が室内にこだました。


『なーんちゃって♪』


 マンスローターの顔面に加速装置を利用した会心の蹴りが直撃する。これはさすがの動体センサも対処出来まい。


『忍法・やられたふりして敵を油断させるの術、大成功っ!』


 マンスローターが人質を取った時、海斗は捨て身の策を講じた。高橋を殺すのと自分を殺すこと、両方同時にするのはどんな超人にも出来ない。

 そこで大人しく痛めつけられるふりをしながら、少しずつ高橋から離れた距離まで誘導することにした。マンスローターの攻撃が当たる寸前に急所を逸らすことで、ダメージを最小限に抑えて。そして隙を見計らって反転攻勢に出る。

 とはいえここまでとんとん拍子に上手くいくのは予想外だった。

 海斗に対する激しい怒りと、自分の実力への絶対的な自信が、正常な判断を狂わせたのだろう。


『こーんな単純な罠に引っかかるなんて。ひょっとして君オレオレ詐欺に引っ掛かりやすいタイプなんじゃないの?』

「クソが……ほざいてろ!」

 

 海斗は高橋とマンスローターとの間に入り込み、再び人質にされるのを阻止する。

 マンスローターはかなりのダメージを負っていた。制御を失ったロボットのように足元が大きく揺らいでいる。勝負を仕掛けるなら今しかない。


『悪いけど、パーティはもうお開きの時間だよ』


 もう何度目かわからない斬撃を、海斗は難なく回避して、相手の側頭部に右フックをお見舞いした。そして間髪入れず今度は左手でストレートを叩きつける。

 繰り出す拳が、蹴り上げる脚が、相手の急所を幾度となく捉え、反撃する暇も与えず一気に畳みかける。

 そして最後の一撃がマンスローターの下顎に食い込んだ途端に、身体が床にくず折れて昏倒した。

 室内に平穏な静寂が訪れた。

 全てが終わって一息つくと、今まで蓄積された疲労感が急激に押し寄せてきた。

 しかし今回は運良く一人も被害者を出さずに済んだが――約一名除く――大勢の人の前でプラズマ砲を使うのはやはりまずかった。それに『逃げろ』と叫んだのも失敗だった。一歩間違えたら怪我人が出たかもしれない。

 海斗は倒れている高橋に歩み寄って容態を確認してみた。素人だから良くわからないが、命に別状はなさそうだ。

 とその時、ルナからショートメッセージが送られてきた。


『今どこにいるの?』

『……ヤバ』


 避難した先で海斗の姿が見えないので身を案じたのだろう。

 とりあえず別の出口から避難したことにして、今からそちらに合流する旨を伝え、光学迷彩を使用して屋上から外に脱出した。




 校舎前は誰かが通報したと思われるセンチネルの車両で埋め尽くされていた。上空には垂直離着陸機《VTOL》も飛行している。

 周辺には規制線が張られ、重武装した隊員達が慌ただしく動き回っている。その中央でプリヤが声を張り上げて指揮を執っていた。

 教師の時は暑苦しい印象しかなかったが、今のきびきびした動作で指示を送る姿は非常に頼もしく見えた。

 避難した学生達に合流すると、ちょうど逮捕されたマンスローターがVTOLに乗せられるところだった。


「慎重にやれよ。コイツは普通の犯罪者とは訳が違う、超危険人物だからな」


 プリヤがそう念を押す。

 マンスローターを乗せたVTOLが飛び立つのを見届けた後、背後から誰かに肩を叩かれた。叩き方からして、確認する前から誰なのか予想がついた。


「どこに行ってたのよ?」

「いやーちょっと道に迷って……」


 咄嗟にそのような噓をつくと、ルナは呆れ顔で溜息を吐いた。


「しっかりしなさいよ、探したんだから」

「ご、ごめん」

「……いえ、私も言い過ぎたわ。ごめんなさい」


 ――あれ?


 割とあっさり引き下がった。自分の作り話に納得してくれたのか。それともこれ以上言っても無駄だと思って諦めたのか。

 そんなことを考えていると、またしても後ろから肩を叩かれた。ルナが何か言い忘れたことでもあったのだろうか。


「あー今度は何?」


 ところが予想に反してそこにいたのは意外な人物だった。

 その人物――卯城惠は何故か照れ臭そうな様子で毛先をいじりながらこう言った。


「あ、あの……さっきは助けてくれてありがとう……」

「え、ああ良いんだよ。咄嗟のことだったし」

「でも一応お礼言わせて。今までアンタのこと根性ない奴みたいに言ってごめん。い、意外と男らしいとこあるんだ……」

「はあ」


 “みたい”も何も、過去に何度か同じ台詞を直接言われたことがあるのだが、この場でそれを指摘するのは野暮というものだろう。


「それと……アンタが必死に私を庇おうとする姿はその……か、格好良かった……」

「ど、どうも……」


 普段は自分のことを煙たがっていた恵が、頬を染めながら素直にお礼を言う姿に、不覚にもドキッとした。

 これがギャップ萌えというやつか。




 マンスローターは全身を拘束具で固定され、VTOLでセンチネル本部に連行されていた。


「何かずいぶん物々しいな。ここまでする必要あるのか?」


 VTOLの格納区画にて、拘束された容疑者を見張る二人の隊員の内一人が口を開いた。


「何だお前知らないのかよ。こいつは超大物だぜ。何せあの世界一の殺し屋、マンスローターだからな」

「そんなに凄い奴なのか?」

「ああ、世界中の警察がこいつを血眼で探して、一度も捕まえられなかったって話だ。センチネルは大々的にこのことを宣伝するだろうな」

「捕まえたのはグリッドランナーなんだろ?」

「それでもセンチネルは自分の手柄だと言い張ると思うぜ」

「何だかインチキだな」

「俺達が気にする必要はないさ。俺達の仕事はこいつをきっちり本部に送り届けることだけだ」

「それもそうだな、早く終わらせて家に帰りたいぜ。今日は彼女と付き合い始めてちょうど一周年記念なんだ」




 そのVTOLを、高層ビルの屋上から眺める者がいた。

 両手には携帯式対空ミサイル(MANPADS)を抱えて、VTOLが近くまで来るのをジッと待ち構えている。

 そして適切な距離まで接近したと判断するや、MANPADSの照準をVTOLに合わせ、躊躇なくトリガーを引いた。発射されたミサイルは深紅の軌道を描いてVTOLに直撃する。

 突如としてメガトーキョーの空に鮮やかな光輪が散った。

 VTOLは黒煙の尾を引きながら地面に向けて落下し始める。AIが懸命に姿勢を制御しようとするが、墜落から逃れることは出来ない。搭乗者は、突然の死の恐怖に成す術がなかった。




 墜落現場はデルタ地区のゴーストタウンにある小さな廃工場だった。

 これは偶然ではない。意図的にこの場所に落ちるよう、最新の数理アルゴリズムを用いて緻密に計算した結果だ。

 センチネルの隊員が一人、墜落したVTOLの残骸から這い出してきた。


「うぅ……た、助けてくれ……」


 そう呻いた隊員の胸に、三発の銃弾が浴びせられた。

 動かなくなった隊員の脇を抜けて、散乱した瓦礫をかきわけながらVTOLの昇降口を開けると目当ての人物を発見した。


「ご無事ですかマンスローター?」

「……ずいぶん手荒な救出劇だな」


 気怠そうに首をポキポキ鳴らしながら、皮肉交じりにマンスローターは毒づく。


「この程度の攻撃でアナタが死ぬことはない、と判断しました」


 全く感情のこもっていない冷酷な口調で、RX300は淡々と告げる。


「戦闘データは取れましたか?」

「ああ、正直一回目で殺れるかと思ったんだがな、甘く見てたぜ。だが、もう実力は十分わかった。次は確実に仕留められる」


 マンスローターが世界一の殺し屋と呼ばれる由縁は、サイボーグとしての実力だけではない。仮に一度目は失敗しても、その時に得たデータを駆使して最後には必ず標的を殺害することにある。

 相手がどれだけ防護を強固にしようと、これまで二度目の襲撃を生き延びた者は二人しかいない。そして三度目を生き延びた者は、ゼロであった。


「ですがその前に一緒に来ていただけますか? 依頼人クルーガーがお呼びです」

「ああ、わかったよ」

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