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16万回目の選択肢  作者: 夢実
3章 選択が変えた未来
9/17

2024年12月11日 ーご招待しますよー

 季節は冬になった。

「こんばんは。今日も選択の時間です。」

 また真っ白な部屋だ。

「おー元気だった?」

「はい、元気でしたよ。では選択を。」

「まぁまぁちょっと待ってよ。話でもしようよ。」

「何を?」

 相変わらずAIみたいなやつだ。

「そうだな、まずさその石板?みたいなやつって俺の今までの人生の選択にしては少なくない?」

 みおと旅行に行った時に知った情報を惜しげもなく使う。

「ここに書いてあるのはあなたの人生を左右した選択のみです。」

 そうか、だからなのか。

「それとさ、俺五回目の選択って言われたけど、今まで何選択したか覚えてないんだけど。」

「そうですね。選択が変わるたびに多少ラグはありますが、あなたとその選択に関わった人全ての記憶をいじっています。」

「そうなんだ。関わった人まで、そりゃすごいな。」

「そうでもしないと、ずれが生じますから。」

「ふーん。そうなんだな。そうだ、今までの選択の履歴って教えてもらえるの?」

「いえそれは不可能です。選択を変えたことで、石板の選択も変わリます。よって選択の履歴なるものは存在しなくなります。それに多くの人の記憶を改ざんしているので、あなたに教えるとずれが生じます。」

「なるほどね、ってか早く言ってよそれ。」

「聞かれなかったので。」

 こいつはAIだやっぱり、よっぽどAlexaの方が優秀だが。そう思うと怪訝そうな顔になった。

 心が読めるのか?

 

「でも不思議だな、選択内容は覚えてないが、お前と会ったことは覚えてる。お前が誰かも。」

「それは夢ですから、それより選択はいかがいたしますか?」

 話題を変えたな。突っ込まれないで欲しいのだろう。

「特に変えたいものもないし、今日はなしってのでもいいのか?」

「問題ございません。」

「なら今日はなしってことで。」

「承知いたしました。ではまた会いましょう。」

「ちょっと待った。」

「まだ何か?」

「ありがとな。幸せだよ俺。」

「そうですか、よかったです。一つだけアドバイスをしましょう。」

 彼女はアドバイスをして去っていった。


 その日の朝は寒い日だった。

 みおの寝息が聞こえる中、会社携帯の音で目がさめる。

 音を立てないようにリビングに向かう。

 「選択はあなたの性格を作り出す。選択があなたを強くも弱くもします。」

 なんのことだかわからないアドバイスだった。

 まあ考えても意味がないので、コーヒーでも飲んで朝飯作って仕事の準備でもするか。

 

 「おはよう。」

 「おはようございます。翔さん。」

 皆んなに挨拶をして会社の中を回る。

 グループリーダーとして積極的にコミュニケーションを取っていく。

 20分遅れでみおが出社する。付き合っていることは会社に言っていないので別々に会社に行く。

「おはようございます翔さん。」

 今日も俺の彼女はすこぶる可愛い。

「おはようみおさん。」 

 禁断の恋愛をしているみたいだ。

「グループリーダー、イチャコラしてないで承認してくださいよ。」

 杉浦め幸せな時間をぶち壊しやがって、却下してやろうか。

「さっきのやつね、承認しておくよ。」

「全く若い子に鼻の下伸ばしちゃって、俺はあの日のことを一生忘れないからな。な高岡。」

「あの日のことってもう、9ヶ月も前だぞ、、」

「お前が飲みすぎなければ、、」

「はいはい、ごめんって仕事するぞー」

 あの日杉浦は狙っていた子といい感じになっていたのだとか、心配して駆けつけてくれた結果、

 その子からは置いていかれたと思われ、最低なやつになっているのだとか。


 その日のランチに高岡から話があると言われて、怯えながら二人で行くことにした。

 ご飯を食べて中々本題に入らないので痺れを切らして聞いてしまった。

「何かあったのか高岡。」

「いえ、ただ、お話ししたいことがあって。」

「なんだよあらたまって。」

「単刀直入に聞きます。」

 鼓動が早くなるみおとのことがバレたか、高岡はみおのこと好いてたもんな。

「僕、結婚することになったんです。」

「えっ?なんて?」

 意味がわからない。

「結婚することになったんです。」

「おいおいおい、めでたいな。おめでとう。それでなんで俺に?」

「来年の3月に結婚式をするんです。そこでスピーチをして欲しくて」

「俺が?高瀬さんとかいるだろ……」

「出会いの件もあって、吉村さんが良くて、ダメですかね。」

「そりゃ光栄なことだが、いいのか?」

「はい!お願いします。」

「わかったよ。それでお前みおさんのこと、」

「みおさんが何かあったんですか?翔さん付き合ってるんでしょ?」

「えっ……そんなこと……」

「隠さなくていいです。流石にみんな知ってると思いますよ。」 

「そうか、でもお前、みおさんのこと」

「みおさんがどうかしましたか?いい同期ですが、別に特別な感情はないですよ。」

 あれ、前に好きって行ってなかったか、しかし内容が内容でこれ以上突っ込めず。

「悪い悪い、それでお相手は?」

「翔さんと同じ30歳で3月に31歳になるんですが、誕生日の日に式をしようと思ってて。」

「いいなそれは、いつなんだ?」

「3月8日です。」

「8日ねわかったよ。開けておくよ、準備しておく。」

「よかったー緊張しましたよ。」

「そうだ名前聞きたいんだけど、原稿のために」

「もちろん、でもその前にあってもらえませんか?」

「いいの?」

「はい!来週の土曜って空いてますか?」

「空いてるよ!」

「そしたらご招待します。」

「そりゃ楽しみだ。」

 そんな話をしていると昼の時間が終わってしまった。


 この時に何か引っ掛かる感覚はあった。

 なぜだかわからないが。喜ばしいことなのになぜだったんだろか。

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