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16万回目の選択肢  作者: 夢実
2章 別れと出会い
7/17

2024年5月25日 ー多分幸せって何気ないー

「お待たせ」

「おう、大丈夫だった?」

「うん荷物はばっちりです!全部準備できた。」

「オッケー、じゃあ乗って。」

 あの日からはや3ヶ月。みおと俺は付き合った。

 今日は1泊二日の温泉旅行。付き合った記念日というのは中々いいものだと、感じる。5月25日の朝。


「まずは、ここでお昼を食べてその後、この美術館に行って、それから旅館に」

「ちょっとまったー」

 そう言って旅行プランを話す声が遮られる。

「翔さん、今日は仕事じゃないんだから、そんなねんみつに練らなくていいよ、もっと気ままに楽しもうよ!」

 彼女は意外とその場のノリとやらが好きらしい。

「それに私ね、翔さんと2日間も入れるだけで嬉しいから、もっとお話しとかしたいし……」

 可愛いやつめ。ここでその攻撃は困る。

「そうか、わかったよ、でもランチだけはここにしないか?」

「うん!わかった!」

 あー可愛い。昨日悩みに悩んで作った計画はのことは、忘れよう。すまない昨日の俺。

「それと、ねんみつじゃなくて、綿密な。」

 そういうと、彼女の顔は赤くなった。白い肌だからこそよりわかりやすい。

 もう彼女が可愛すぎる。

「…………しゅっぱーつ!」

 何もなかったかのように言う彼女もまた愛おしいと思った。


 車で2時間半の道のりを、いろんなことを話しながら進む。

「翔さんって、意外とモテるから心配になるんだよね。」

「何それ、聴いたこともないし、てか告白されるとか人生でないよ。それに俺のこと好きって聴いたこともないし。」

「それは、翔さんが知らないだけ、てか興味ないでしょ。」

「うーんそうかな?俺だって彼女欲しいと思ってたよ。」

「早速、浮気ですか?」

 むーっとした顔でこっちを見るみお。

「いやいや、文脈的に言っただけで、そんな、今はありがとうしかないです。」

 何を言ってるんだ俺は、、。

 あはは、と言いながら、笑う彼女。

「私、翔さんのその困ってるようなとき好きなんだよね。可愛いと思う。」

「あんまり、運転中にからかわないでください。」

 車の窓を開けると、暖かい風が流れ込む。みおの髪が少しなびく。

 この距離感は心地のいいものだと感じる。心が安らぐ。これが運命というやつなのだろう。

 

 ランチはどうしてもイタリアンが良かった。

 みおとイタリアンを食べていると、それが日常であると確認できるから。

「美味しかったー、そしたら旅館に行こうか?」

「ちょっとまってね。さっき少し調べて、ここに行きたいんだけどだめかな?」

「いいけど、、そこ神社?」

 なんでもない、日本のどこかにある神社である。

「うん、ここに寄りたいの、少しだけ、ねっお願い。」

「わかったよ、旅館の方だしちょうどいいね」

「ありがとうー」

 特別に大きく、特別にすごい神社ではないのだろ。でも彼女が行きたいならどこへでも連れて行く。

「なんかあるのそこに?」

 社内で外を見ているみおに話しかける。

「うーん。少しだけね。」

「何があるの?」

「私この辺に家族と来たことがあるの」

「そうなんだ。その時によったの?」

「そう。それであそこでみーさんに出会ったんだー。」

 みーさんはみおの猫のことだ。

「その神社のそばの旅館で泊まってて、たまたま朝散歩してたらそこにみーさんがいたの。」

 みーさんは俗にいう捨て猫というやつなのだろう。

「みーさんの近況報告と感謝したくて。」

「そっか、なら飛ばして行きますか、お嬢様。」

「はい、お願いざます」

 そんな寸劇をして笑い合いって、20分。 


「ついたよ。」

 やっぱり、特別な神社ではなさそうだ。

「ありがと、うわー何も変わってない」

 お世辞にも多くの人が来るような場所ではなさそうだ。

 鳥居から境内までは、そこまで長くない。

「ねえ翔さん。人って1日に3万5千回も選択してるんだって。」

 どこかで聴いたことのあるセリフだ。

「そうなんだ。」

「そんないっぱい選択肢を選んでる中で、翔さんと結ばれたことに感謝しないと」

「いやいやそんな大層なことか、?」

「全く翔さんは、翔さんの年齢を考えたら、ざっくり何億回と選択してるんだよ?その結果私を選んでくれたんだよ。すごいよね。ありがとう」

 そういうと境内につく。手を合わせる彼女。

 慌てて、自分の手を重ねる。目を開けると、隣にではまだ手を合わせている彼女。

「お願いはできたか?」

「いや、お願いじゃなくて、感謝だよ。」

「そっか。」

「そうだよ、お祈りは感謝するんだよ。お願いばっかりだなんて翔さんらしいけど」

 笑った彼女。

「なんだとー」

 また寸劇を始める。彼女との空気感はとても心地がいい。

 ありがとう神様。

 

 お待ちしておりました。

 吉村 翔様、池田 美桜様。

 無事に旅館につき、みおと部屋に入る。

 夕食は豪華な山の幸を食べる。

 温泉に入って二人で晩酌をする。本当に幸せな時間だ。


 そうこうしていると夜の12時に楽しい時間はあっという間だ。

 二人でひかれた布団に横になり真っ暗な部屋の中。突然みおが聞いてきた。 

「そうだ、あの時聴きたかったんだけど、」

「うん?なに?」

「なんで泣いてたの?」

「自分でも思い出せないんだ。」

「そっか、」

「うん、でも悲しかったんだよ。本当に。」

「大丈夫?」

「大丈夫。多分なにか思い出したんだと思う。」

「なにかあったら言ってね彼女なんですから」

「ありがとうございます」

 そんなことを言いながら笑い合う。

「さあもう夜も遅いからねるよー」

「わかりましたー。おやすみ」

「うん。おやすみ」

 

 目を瞑るとふと夢をみた。

 自分の家の中。朝からうるさいよと女性に言われている。

 顔は見えないが、この人は誰なんだろうか。

 怒られているのに幸せそうな自分がなんとも不思議だった。

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