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【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~  作者: 椿紅颯
第四章

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第26話『探し求めた素材を入手』

 第15階層へ辿り着いた一行は、窟蒼透石(カタスマイト)鑛石(こうせき)の捜索を開始。

 環境は今までと変わらず、天井にある苔によって照らされており、ゴツゴツとした岩肌の壁。

 しかしその岩壁には所々凹凸があり、様々な鉱石が露出している。


 一行は、それら金銭になる鉱石に目移りしながら目標物を探しつつ進行を続ける。


「うわあ……」


 鉱石採取の依頼が入った探索者は、必ずここへ来る。

 だからこそ、初見だったとしてもそれら価値をある程度知っているから、視界に鉱石が入るたびに目移りしてしまう。


 そんな進行中は当然モンスターとの遭遇戦も。


「はぁっ!」

「はっ!」


 スライム型、狼型、蝙蝠型――と、系統は同じでも強くなっているモンスターと戦闘になるも――。


「おらっ!」

「やっ!」


 ――未熟なりに試行錯誤している連携は上手くいっている。


 和昌(かずあき)が盾で防ぎ、真綾(まあや)が突撃し、すぐ背後から天乃(そらの)が空かさず連撃、2人が回避すると同時に芹那(せりな)が飛び込む。

 それぞれがそれぞれの立ち回りを意識し、戦闘中のモンスターを速やかに討伐し続ける。


 時折、切り込んでいく真綾(まあや)が地面に躓いて転倒しそうになっても、天乃(そらの)が肩を支えて補助。

 2人に攻撃が集中しないよう、和昌(かずあき)が大盾を展開して防御したり、芹那(せりな)があえて大立ち回りをして危機を脱する。


「これさ、冗談抜きで探すの大変じゃん」


 一同は、薄々は予感していたものの体感してみると一気に実感が沸いてしまっていた。


「探すだけでも大変だけど、モンスターと戦いながらって無理だよね」

「効率重視しても2人が採掘で2人は戦闘してないとダメそう」

「だねー。それを交代して継続しても、休憩なしの動きっぱなしってわけだし」


 辺りを警戒しつつ、同時にため息交じりに肩を落す。


「もう、強引に盾を円形上に展開して採掘するしかないよな」

「そういえば、指示書もといメモ紙には『窟蒼透石(カタスマイト)鑛石(こうせき)を沢山採ってこい』って書いてあったんだよね」

「ああ。その大雑把加減にとんでもなく悩ましい状況なんだが」

「細かいのは私たちもポーチに入れたらいいけど、数とか大きさを把握できていないならそれ以上も考えないといけないよね」

「そうだが、リュックを持って来ているわけでもないしな」

「重さってどれぐらいなんだろう? 魂紅透石(ソールスフィア)と外見は一緒なんでだよねー?」

「希望は、硬度と重量も一緒だと助かるよね。採掘と帰りが楽になるから」


 天乃は腰ポーチの帯に掛けてある小ピッケルを触りながら、希望を言葉に出す。

 その様子を見た、後ろを歩く真綾と芹那も同じく小ピッケルを撫でる。


「これで砕く時間が長くなっちゃったら、それはそれで大変だよね」

「そうね。もしかしたら戦ってた方が楽な可能性もある」

「採掘中は俺が警戒と盾役として立ち回るから、みんな、頑張って」


 そんなこんな話をしていると、まさかの偶然、和昌が蒼光する箇所を発見した。


「もしかして、あれじゃないか?」


 3人は和昌が指差す方向へ視線を向け、疲労からくる幻覚ではないから目を擦る。

 さらに目を何度もパチパチと開閉した後、現実だと確信を得た。


「あれだーっ!」

「目標発見」

「逃すわけにはいかない!」

「いや、石は逃げないだろ」


 和昌は芹那へツッコミを入れ、向かって右側の通路へ足を進める。

 広場から細道へ進行し、作業開始前に辺りを警戒するも幸いにもモンスターは出現していない。


 もしかしたら挟み撃ちになってしまう可能性を危惧し、和昌は早速【朱護の盾ヴァーミリオン・プロテクトシールド】を円形上に展開した。


「本当にこの盾、凄いよねぇ~。朱くて綺麗だし」

「なんだか温かさを感じちゃうよね」

「わかるわかる」


 中々な範囲で、通路左右の両壁を覆い――壁を貫通して盾を展開している。


「ん?」

「どうしたの真綾」


 3人はそれぞれ小ピッケルを取り出すと、真綾が首を傾げる。


「盾の方は、物に干渉できるんだね?」

「どういうこと?」

「なんとなくだけど、剣は物に干渉するとか壊したりできないけど、盾は物を弾いたり貫通することができるんだなって」

「言われてみたら、たしかにそうだな。でも、そろそろ採掘を始めてもらえると助かる」

「ああ、ごめんごめん」

「だね」


 和昌は左右を警戒しながら、真綾と天乃のやり取りについて考える。


(本当に、言われてみたらその通りだ。なんとなく盾を自由自在に変形させたりしていたけど、地面に触れているのかは確認していなかった。現に今もこうして壁を貫通させているだけではなく、地面も貫通して完全な球体をイメージして盾を展開している)


 目線を上下させ、事実確認。


(穴を掘ったり天井を砕いたりしていないから成否は確認できない。ん? 待てよ。だったら他にも気になることがある。そもそもの話、この展開している盾の部分を切り離したり固定して自分が動くってのもできるんじゃないか?)


 物は試し、と和昌はイメージで円状の盾をこの場に固定。

 そのまま移動を開始すると、想像通りに展開されている盾の部分は動かず。

 であればとそのまま外に出てみる。


「おぉ」


 関心のあまり小言が漏れてしまう。

 すると、一番手前側で作業をしている芹那が何事かと振り向く。


「え――な、何やってるの!?」

「何、どうしたの。って、え?」

「なになに? あれあれ?」


 3人は作業の手を止め、和昌へ視線を集める。


「作業の邪魔をしてごめん。そのまま続けて」

「いやいや、気になりすぎるでしょ」

「試行錯誤は良いこと。でも、今やられるとさすがに驚くって」

「すごーいっ」

「モンスターがちょうど居ないことだし、いいかなって」


 悪びれる様子もなく、和昌は次の行動を試みる。


「最後は、戻れるかって話なんだけど。さすがに使用者がどうなるのか気になってさ。まあ怖いけど」

「そこまでやったら、こっちとしても気になるところだけど前例を踏まえたら危ないでしょ」

「まあな。使用者である剣がポキっと折れたんだから、俺も例外なくぶっ飛ばされるかもしれない。と、まあそんな感じで続けるから、そっちも作業に集中してくれ」


 和昌は今、猛烈にゲーマー心が燃え上がっていた。

 未知を既知に変える楽しみに。


 ゲームであったら武器性能について説明文があり、運営が能力を公表する。

 だから、プレイヤーはその性能や能力を最大限に活かすための手段を模索し、未知を解体し道を切り開いていく。

 その過程に楽しみを見出すプレイヤーは数多く、和昌もまたその1人であった。


 であれば今、現実で2つの装備の未知を試行する至高を諦めるわけにはいかない。


(今までの経験から、盾によって防がれ拒絶されたとしても命を落とすことはない。支給された剣がポキっといったときは、強引に引き戻そうとしたから。後は、盾の形状を明確にイメージしていたから、盾が形状を維持しようと剣を拒んだだけ――のはず、はず……)


 朱い盾の前に立ち、凝視する。


(とは考察していても、さすがに怖いな。どこから触れる? 足? 指? もしかして、触れたら凄い衝撃で弾かれたら確実に骨は折れるだろうな。てか、手から触れたらこの手袋が壊れる可能性があるじゃないか。破損したら盾は消えるのか? だったら避けないと――)


 和昌が佇んでいる光景をチラッと横目に、3人は小ピッケルで壁をカンカンと土や岩を破砕し続ける。

 懸念していた、材質的には硬質すぎるとこがなく作業は順調に進んでいて、ポーチに入りそうなものは次々に収納していく。

 拳より大きい物は地面へ置き、互いに量を確認し合う。


 幸いにもモンスターの襲撃がないことから、全員の心は穏やかに作業は進められている。


 しかし、和昌は思考を継続。


(もしも盾がなくなった帰りに影響が出る。俺だけならまだしも、みんなを巻き込むことになるし、窟蒼透石(かたすまいと)鑛石(こうせき)の大半を持ち帰ることができなくなってしまうから、それだけは避けなければならない。だったら剣を……なんてのは絶対に無理だ。前例がある以上、100億円を捨てるような真似はできない)


 和昌(かずあき)は悩みに悩む。

『じゃあいっそのこと体当たりでもしてしまおうか』と思うも、『敵の攻撃と判断されて反発されたら、肩の骨が砕けるんじゃないか』と恐怖心を抱く。


「このままじゃ埒が明かない。手袋から盾が出てるんだったら、手から行けば大丈夫だろ――たぶん」


 迷いはそのままに、俺てもなんとかなりそうな左手を肩ぐらいまで上げて前進。


「――おお!」


 和昌は、無傷のまま盾を通過でき、そのまま全身も行けたことに歓喜の声を漏らし、結果が気になっていた3人も作業の手を止めて振り返る。


「よかったぁ~」

「無事でよかった」

「こっちは気が気じゃなかったけどね」

「凄い、凄い! これができたんだったら、まだまだいろいろと試せることもある。可能性は無限大だぁ!」


 子供のように――まだ成人していないからその通りなのだが、無邪気に飛び跳ねて喜ぶ和昌(かずあき)は、安堵している3人の声が耳に届いていない。


 そんな姿を見た3人はホッと胸を撫で下ろした後、すぐに作業を再開した。


(ついさっき、真綾(まあや)が言っていたことは実現可能なんじゃないか? この剣は、たぶん名前通りに俺の願いを叶えてくれる代物のはず。だから、想いの丈の分だけ威力が調整される。だったら、この盾も融合してなんやらかんやらできちゃったりするんじゃないか!?)


 ワクワクに心躍らせている和昌であったが、作業を終えた3人が接近していることに気が付いて目線を向ける、と。


 ドサッ、カランコロン――と、音を立てて窟蒼透石(カタスマイト)鑛石(こせき)と他の鉱石が地面に転がる。


「これ、お願いね」

「綺麗なのもついでに」

「この赤いのとか、加工したら綺麗だよね~」

「え? これ、ポーチには入らないよな」

「うんうんっ。でも、和昌くんは両手が空いてるよね?」

「上着をカンガルーみたいにすればもっと持てる」

「カズは両手が空いていても、すっごくハイスペックだもんね」

「え」


 それだけを言い終えると、芹那(せりな)が追加で。


「これ、解いてー。早く戻ろー」

「お、おう」


 和昌が盾を解除すると、3人は歩き始めてしまう。


「えっ、ちょ。これ、本当に俺が全部持ってくのかよ」


 天乃(そらの)の提案が耳に残っていたから、そのままカンガルーのように鑛石や鉱石を急いで集める。

 その間、振り返りもしない3人がどんどん遠ざかっていくことに焦り、疲労手の速度が上がった。


「置いてかないでくれー!」

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