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【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~  作者: 椿紅颯
第二章

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第7話『彩鑛の剣を手に入れるため』

『それでは集合時間に遅れる事がないようにね!』


 和昌(かずあき)は、グループチャットに投稿された真綾(まあや)のコメントにスタンプを送信する。


 彩華(さいか)紅務(こうむ)店を後にした和昌は、その足で真綾(まあや)天乃(そらの)芹那(せりな)との集合場所へ向かっていた。

 その際中、少女から手渡されたメモ紙に記入されている内容に目を通す。


――――――――――――――――――――


『【彩鑛(さいこう)の剣】を作成するために必要物リスト』


 ・窟蒼透石(カタスマイト)鑛石(こうせき)→沢山!


 目指せ第15階層!


――――――――――――――――――――


「……」

(なんだよこれ)


 和昌は、てっきり様々な種類の材料を調達してこなければならないと思っていた。

 しかし、いざメモ用紙に目を通して観ると……種類は1つだし、量も表記も大雑把。


 さすがに疑いの眼差しを向ける他なく、なんなら来た道を引き返そうとも思ってしまった。


(どうしたものか。もう人混みの中まで進んじゃったし、戻るのはちょっとめんどくさい。それに、店に戻ってあれだのこれだのしていたら集合時間に遅れてしまう)


 連絡をすれば、少しぐらいは大目に見てくれるだろう。

 3人は和昌の剣がポキっと折れた現場に居合わせており、新しい剣を探している事も把握しているのだから。


 だが、こうも思う。


(ゲームをやっていた時だって、こんなもんだったからな。たぶん現実でも、あんな感じなんだろう)


 と、めんどくさい行程に言い訳をして自身の行動を正当化した。


 しかし内容を軽く捉えているのには、理由がある。


 窟蒼透石(カタスマイト)鑛石(こうせき)とは、少女からの説明があった通りでレア素材となっている。

 これを入手するのは簡単ではないが、実は探すための手段があるのだ。


 ――それは、ボス部屋の付近を探す事。


 第15階層と第16階層の間にある、巨大な部屋もとい空洞がボス部屋と称されている。

 そして、その付近にはレア素材が出現しやすい傾向にある。という有力な情報があるのだ。

 逆に、第16階層のボス部屋付近にも同じように。


(第15階層……そんなところ、俺にとってはまだ見ぬ地だ。それだけじゃない。そんな階層で、レア素材が採掘できるまで滞在しなければならない。それが、どれだけ大変な事か想像もできない)


 どれだけ強力な装備を所有していようとも、精神面が強化されたわけではない。

 しかも、和昌(かずあき)は順当に階層を下ったわけではなく、ダンジョントラップによって強制的に第10階層に落下した。

 そこでは未知との遭遇、そして戦闘を繰り広げ――無事に恐怖を植え付けられてしまったいるのだ。


 この流れで不安な気持ちになってしまうのは無理もない。


(はぁ……これ、どうしような。言ってしまえば、俺には幸いにもこの剣と盾がある。わざわざ無理をして、急いでもう1本の武器を手に入れなくたっていい)


 やっと、順調に階層を進められている今、本当にその必要があるのか。

 そして、いくらパーティメンバーだからといっても、個人の用事に付き合わせていいものか、と悩む。


 逆に考えれば4人も居るし、連携力も上がってきている。

 別にボス攻略をしようという話でもない。

 だったら、あえて目標を明確にして行動するのもありではある。


(どうせ、この件で話題提起したとしても最終決定は俺になるんだろうなぁ……)


 だからこそ、いろいろと思考を巡らせて悩んでしまう。


 人にぶつからないよう考えながら歩いていると、いつの間にか目的地である時計台下まで辿り着いてしまっていた。

 しかも、3人ともお揃いで。


「みんな早いね。集合時間まで20分ぐらいあるよね」

「いやぁ~、本当にそうだねぇ~」

「こういう日もあるって事で」

「私は家が近いからね。気分で早めに出てきた」

「まあ、俺も合流しているんだから変わらないけどな」


 時計台の下、4人は向かい合う。

 近くには3段の噴水があり、それを囲むようにベンチが並んでいる。

 平日ではあるが、半分ぐらいのベンチが休憩している人や談笑している老父老母の姿が。

 時々雲が流れてくる青空の下、心地良い風が肌を撫でる。


 少女達はそれぞれにオシャレをし、目の前に居る少年から何かしらの言葉を期待している。

 しかし、そんな期待を裏切るように和昌は口を開いた。


「そういえばさ、今日の予定って結局のところなんなの? ここまで来ておいて、俺は知らないんだけど」


 3人で話がまとまっているんだろうな、と予想していた和昌は、自分の用事もあった事から無責任にも任せっきりにしていた。

 ある程度は予想していて「全員で集合するのだからショッピングなんだろう」と。


「せっかくの休みなんだし、和昌くんの家に行きたいなって」

「え?」

「ほら、話が出てたじゃん? 私だけゲームの話についていけないからって、どうせなら和昌くんの家で遊べばいいんじゃないって」

「まあたしかに。記憶にはある。でもさ、それって今日じゃないとダメなの? 俺、部屋の掃除とかしてないよ」

「それはごめんなさい。でも、全然大丈夫だよ」

「まあそれなら良いんだけど……真綾(まあや)はわかったとして。じゃあ、天乃(そらの)芹那(せりな)は?」


 和昌は至極真っ当な疑問をぶつける。


「私は、久しぶりに友達の家に行きたいなって」

「ほう?」

「だってほら、カズと話さなかった時期があったでしょ? でも、それまでは結構な頻度で家に行ってたじゃん」

「そうですね?」

「だから、真綾が行くんだったら私もちょうどいいタイミングかなって」

「なるほど?」


 いまいち納得ができない理由に、和昌は首を傾げる。


「いいでしょ! 私だって行っても!」

「わ、わかったよ。別に拒否してないんだから、怒んなって」


 地団駄を踏み始めた芹那をなだめる和昌。


「最後に私の理由ね。全部うまくまとめてあげる」

「はい」

「それぞれ、あれだのこれだの言ってるけど情報共有の場を設けたいって話よ。外でゲームは集中してできないし、全員が同じ空間で話をすれば共通の話題もできる。そして、今後の方針とかも気軽に話す事ができる。装備の能力も含めて、ね」

「なるほど、それは納得できる理由だ。でもさ、それって俺の部屋じゃなくてもいいんじゃない?」

「ぐっ」

「まあでもいろいろとわかった。だから、珍しく集合場所が俺の家に近かったってわけか。これからみんなで別の場所に移動するのも面倒だし、行くか」


 3人は、少しだけでも期待していた言葉は貰えなかったものの、無事に目標を達成することができたのだった。

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