中
僕は、ドラヘルに会っては色んなことを話した。彼女に一目惚れをしたから……でも
(……なんか彼女、どこかで見たような気がする)
……気のせいかな。
「おうおう! 最近楽しそうじゃないか! 彼女とラブラブしてるからか?」
「ただの世間話だって」
「それにしてはお前、幸せそうだけど?」
「それは、否定しないけど」
「はは、良いスタートダッシュだな!」
「うん、そんな気がする」
「ふっ、お前のガキを拝むのも時間の問題だな」
「展開が早いって」
「良いじゃねぇか、俺は大歓迎だ。っと、ほらお相手さんのお出ましだぜ」
兄さんが笑って促す。僕はドラヘルのもとへ向かってそのまま腰を下ろした。いつものように、言葉を交わす。
「……ふわぁ」
「寝不足?」
「えへ、アルカディアに会いたくて興奮して眠れなかったの」
「それは、嬉しいな。……くぁぁ」
「アルカディアも寝不足?」
「……うん、君に早く会いたくて。この時間が待ち遠しかった」
「それでねアルカディア―――」
「―――アルカディア。おーい」
「ん、ぁ………あっ!? ごめん寝てた!!」
「寝顔も可愛い」
「可愛い!? そんなことない!!」
「照れ隠しも可愛い」
「や、やめてくれー!!」
―――――――――――――――――――
「アルカディア、そろそろ潮時だよ」
「へ?」
「さぁ告白をするんだ!」
「何言ってんのさ!?」
「ふっ、いきなりって時期はもうとっくに過ぎている。そろそろ視野に入れても良いと思うよ。かなり距離が縮まっているように見えるし、違う?」
「まだ心の準備……」
「なら今晩整えること! 明日は告白の日だ!」
「で、できるかな……」
「アルカディアならできるって!」
「……うん、頑張る」
―――――――――――――――――――
「………あのさ、ドラヘル」
「何?」
「ドラヘルは、好きな人とか居る?」
「アルカディア!」
「そ、そっか……僕も、君が好きだ。僕は……君に一目惚れしたんだ……」
「…………」
「君を、幸せにできるかはわからない。でも、僕なりに努力はする。だから、もし、君が良ければ……僕の彼女になってほしい」
「……うん! 僕もアルカディアのことが大好き!」
「……あはは」
―――――――――――――――――――
「今日は初デートだな! ポカやらかしたりするなよ!!」
「わ、わかってるって!! それじゃあ行ってきます」
「土産話よろしくなー!!」
「アルカディアー!」
「おお、元気だね」
「今日は本当に楽しみだった! 楽しみすぎて自分の尻尾噛みちぎっちゃった!」
「ええ、大丈夫!?」
「すぐに生えるから大丈夫!」
「それじゃあ……行こうか!」
「うん!」
僕はドラヘルをエスコートして、自分が知っている、色んな場所を巡った。
「楽しかった?」
「うん! たくさん綺麗な景色が見れた! 特に最後!」
「それはよかった! 最後の場所はよく兄さんと一緒に行ってた場所でさ、僕が一番好きな場所なんだけど、気に入ってくれてよかったよ」
「お兄さんか、良いなー」
「ドラヘルには兄弟姉妹居ないの?」
「…………」
「ドラヘル?」
途端に、彼女は黙りこくってしまった。
「ご、ごめんね? 不味い話だった?」
「……ううん、大丈夫。僕の家族は昔死んじゃったから」
「え、ご、ごめん! し、知らなかった……」
「もう大丈夫だから気にしないで」
ドラヘルが僕を宥める。家族を亡くしていたのか……これからは発言に気をつけなきゃ。
ズキッ
「いっ……!?」
「アルカディア?」
「ぅ、だ、大丈夫。ちょっと疲れただけだ」
「座って休もう。……落ち着いた?」
「ああ、ごめん。せっかくのデートなのに」
「ううん、アルカディアの方が大事だから」
「ありがとう。もう大丈夫。さぁ、デートの続きだ」
「……うん!」
……なんだ? いきなり頭痛が……目の前がくらくらして……でも、この調子ならしばらくは大丈夫そうだ。