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異世界と魔女  作者: 氷魚
第一部 異世界と勇者 第三章
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第4話

「ここが研究棟となります。タケル様はここに来るのは初めてですよね?」


俺はエルザに連れられ、城内の研究棟と呼ばれる場所に来ていた。


「はい、このような場所が城の中にあったなんて今日初めて知りました。」


俺は素直にエルザに言った。


そこではエルザと同じような白衣を来た人たちが、とある部屋と違う部屋を忙しそうに行き交っていた。このような人たちが城内に居たことを3年もこの城に通っていて今まで気が付かなかった。


「私たちは薬師でありますが、一般の治療にあたる薬師とは異なり、ここの薬師は薬草などを研究し、新薬を作ることが主な仕事となります。そのため、関係者でもないとここの存在を知らないという人は多いのですよ。」


俺の返答にエルザは特に気にすることなく笑顔で答えた。


「私の研究室はさらに奥となります。さあこちらへ。」


エルザに促され、俺は研究棟の廊下を進み始めた。


・・・


「ここになります。お入りください。」


廊下を進んだ先にいくつか扉があった。その内の一つの扉に「エルザ」という表札があり、その扉をエルザは開けた。


部屋の中は書類や器具がしっかりと整理整頓された場所だった。毒と言う単語が勝手に危険な部屋を想像させたが、一見毒物となるようなものは見当たらなかった。


「ここがエルザさんの研究室なんですね。もっと危険な薬品がゴロゴロあるのかと思ってましたけど綺麗な部屋ですね。」


「ふふ、そうですね。ここに来る誰もが同じ感想を言いますよ。どうしても毒を使う場所っていうと、危険なイメージがあると思いますが、毒物は別の場所で管理していますし、実際に使う時にうっかり落としたり、こぼしたりしないように部屋は常に片付けるようにしているんです。」


エルザは楽しげに話してくれた。なるほど、毒を扱うなんて言うから何となく危ない人なんだろうなという偏見があったが、仕事に対しとても真面目でしっかりした人のように思えた。こういう人じゃないと毒のような危険物は扱えないのだろう。


・・・


「どうぞ、”カーフィ”です。」


俺は研究室にあるソファーに座りながら、エルザからカーフィを頂いた。カーフィとは俺の世界で言うところのコーヒーのことだ。コーヒー好きの俺からすると、この世界にもコーヒーが存在していたことに心から感謝していた。


「ありがとうございます。早速いただきます。」


俺はカーフィを飲んでみた。うん、中々の味だ。苦みが強くて俺好みであった。カーフィはこの世界では酸味が強く、苦みが薄いのが特徴だが、エルザの用意してくれたものは割と俺の世界のモノと近いような気がする。なんだか懐かしい味だ。


「美味しいです!俺カーフィには少しこだわりあるんですけど、これは本当に美味いと思います!」


「ありがとうございます。そう言ってくださいますと、用意した甲斐があったというものです。」


エルザは微笑みながら言った。その後、エルザもカーフィを一口飲むとカップを机に置いて、こちらに真剣な表情を向けた。


「それではそろそろ本題に入ろうと思います。タケル様にはぜひとも私の研究に協力して頂きたいのです。」


「えーと、さっきも言いましたけど、何で俺なんですか?確かに死ぬような毒キノコを食べて無事だったのは奇跡だと思いますけど、だからと言ってエルザさんの研究に協力できるようなことは何もないと思いますよ?」


俺は真剣に見つめてくるエルザの視線をかわしながら答えた。あまり期待されても俺にだって出来ることと出来ないことがある。


「・・・コホン!私たちのような研究者からすれば、何かが起きた時に、それを単なる偶然や奇跡なんてことで片付けることはあり得ません。必ず理由があるはずです。それを調べたいのです!」


エルザはわざとらしい咳払いをしながら言った。確かにあの時は「助かって良かった」で終わってしまったが、大した治療法もないこの世界でなぜ俺が無事だったのか謎であった。


「そもそも、なぜ私が毒の研究をしているのか分かりますか?」


「え?」


急に違う話となり俺は意表を突かれた。一体何の話だ?毒の研究の目的?うーん全く見当がつかない。


「えーと、趣味って訳では無いですよね?」


俺は半分冗談のつもりで言ったが、半分は本気だ。ただの偏見だが、研究好きな人って趣味と仕事が一緒になるっていうし、案外エルザも同様の人間かもしれない。


「あの・・・タケル様?私を一体何だと思っているんですか?毒が趣味の女って、それただの危ない人じゃないですか!」


エルザはムッとした顔をしてタケルを睨みながら言った。その顔を見ながら俺は、意外と年齢に似合わない子どもっぽい表情をする人だと失礼なことを考えてしまった。


「はあ、すみません・・・それじゃあ何のために研究しているんですか?」


「よく聞いてくれました!そこまで言われるのであればお教えしましょう!私はですね・・・」


エルザは誇らしげに語り始めた。俺は内心面倒くさい人に絡まれてしまったなと思いつつも、黙って話を聞くことにした。


「この世界にある、あらゆる毒に効く特効薬を作るために毒の研究をしているのです。」


エルザは再び真剣な表情に戻って話し始めた。

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