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第3話
「奴隷…?」
奴隷ってあの昔のヨーロッパとかにいた、粗末な服を着させられ、過酷な重労働を休みなしでやらされるあの奴隷のことか?
俺はだんだん今の自分の立場が理解出来てきた。もしかするとこれから死ぬより辛いことを一生やらされるんじゃないか。
「これからの事だけど、あなたももうずぶ濡れだし、日を改めた方が良いわね。」
俺が不安と恐怖で何も答えられないでいると、女性は独り言のように呟きながら一枚の紙を手渡してきた。
中を見てみると、手書きの地図だった。
「明日の12時にここに来なさい。詳しい説明はその時にしてあげる。」
女性はそう言うと、そのまま背を向け、立ち去っていった。歩くスピードはゆっくりだったはずなのに、すぐに姿は見えなくなった。
俺は女性が立ち去った方角を呆然と眺めながら、その場からしばらく動けずにいた。