表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界と魔女  作者: 氷魚
第一部 異世界と勇者 第四章
132/246

第42話

「・・・」


オルズベックは空になった瓶を地面に落とすと、そのまま虚空を見つめていた。


(・・・何も起こらない?)


俺は剣を抜き、オルズベックに身構えていたが、予想外なことにオルズベックの身に何ら変化は現れなかった。


「・・・オルズベックさん、一緒に城に来てもらう。なんでこんな事件を起こしたのかちゃんと全て・・・!?」


俺が話をしながらオルズベックに近づこうとした時、突然オルズベックの体から眩しい紫色の光が溢れ出した。


「グワア!・・・グゲ、ゴギャ・・・ボワグ・・・ギギ!」


オルズベックは体が光り出すと同時に言葉にならない奇声を上げ始めた。


・・・オルズベックの声だけではなかった。全身の骨が一本一本折れていくような、耳を塞ぎたくなる音も聞こえてきた。


「おい!オルズベックさん、大丈夫か!」


俺は必死にオルズベックに声を掛けたが、オルズベックは既に白目を向いていて意識があるようには見えなかった。


次第にオルズベックの体は光とともに大きく膨らみ始め、まったく別の物体へと変化していった。服は破れ、中から青く固そうな皮膚が現れた。


オルズベックの顔も徐々に原型がなくなっていった。そして新たな顔が代わりに現れた。


その顔はこの世界の人間でなくても分かる、あの生物だと俺は確信した。


「これは・・・ドラゴンか!?」


俺の目の前に巨大なドラゴンが現れた。


・・・


目の前にはかつてオルズベックだったものがいた。


その姿は青い皮膚で全身が覆われていて、トカゲのような顔をしたものだった。しかし、トカゲと決定的に異なるのがその体の大きさであり、体長は最低でも俺の五倍はあった。


その巨体の出現により、この部屋の天井は破壊され、奇麗な星空が俺の真上に広がっていた。


「グ、グゥ!」


突然ドラゴンは低い音で鳴きながら、ゆっくりと部屋を破壊し始めた。


(・・・マズい!このままじゃ、建物の倒壊に巻き込まれる!)


俺は近くの窓を突き破りいったん外へ避難した。


・・・


(・・・しかし、なんなんだあれ!?)


屋敷の外に出た俺はドラゴンから距離を取り、ドラゴンが屋敷を破壊する様を眺めていた。


その姿は昔に見た怪獣映画の怪獣そのものだった。


(このまま”あれ”が屋敷を出て街の中心に行ったら大変なことになる!なんとかあれを倒さないと!)


ドラゴンの強さがどれほどのものなのか未知数だったが、俺は覚悟を決め、剣を握り締めながらドラゴンに向かって走り出した。


・・・!


突然、後方で大きな爆発音が聞こえた。何が起こったのかまったく分からなかった。


急いで振り返ると、建物が爆撃にでもあったかのような無残な姿になっていた。


「何が・・・?」


その瞬間、目の前から今まで感じたことのない、とてつもなく膨大な魔力を感じた。


「ギュウウウ。」


ドラゴンの両手に巨大な水の球が現れた。


「おい、冗談だろ!?」


俺は急停止し、体勢を崩しながらも、すぐに真横に飛んだ。


「ギュアアアア!」


ドラゴンは咆哮しながら、生み出した水の球を俺のいた方向に投げつけた。


水の球は俺に当たることなく通り過ぎていったが、そのまま新たな建物に衝突した。そしてその衝撃によって軽い地鳴りが起こった。


すぐに建物は崩壊し、辺り一面に砂煙が舞うとともに爆散した水が雨のように周りに降り注いだ。


「・・・はは。」


上空から降る水を浴びるとともに、自然と俺から乾いた笑いが出ていた。


あれは恐らくウォーターボール”、水魔法を使う者の基本技だ。


だが威力は普通の魔術師の比ではない、あの魔法で建物を消し飛ばせるなんて話聞いたことがなかった。


「グウォオオオオオ!」


ドラゴンは俺を睨みつけながら低い鳴き声で唸っていた。


(・・・クソ!)


俺は立ち上がりながらドラゴンを睨み返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ