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God's Locus  作者: フリート
12/19

第十一話 ラキエルの修行

活動報告にも載せましたが、一応ここにもTwitterIDを載せます。

@fleet6125520

です。

アイコンはラキエルとアウリエラのイメージ画像です。

よろしければ、ぜひフォローしてください。

詳しくは、活動報告にあります。

今後ともよろしくお願いします。

「いや、無理ですって、師匠。俺後ろに目なんかないんです。」

「なぁに、直に慣れるわい。当たるのが嫌なら当たらないようにすればいいんじゃよ。ほれ、バケツ。」

「……はぁ。簡単に言ってくれますね。わかりました。やってやりますよ! 動けなくなったら運んでくださいよ。」

「ほっほっ。まぁ、頑張りなさい。」

 位置について、師匠に合図をだす。すると師匠は思いっきりロープを引っ張った。丸太が落ちてくる。

「やってやる。」

 ガアンッ

 よし、一発弾いた。次は――

「ぐはっ!」

 やばい、判断が遅れた。バケツの水も零れた。どうすれば……。

「まぁ、最初はこんなもんじゃろ。ほっほ。」

 師匠が来て、結界を張ってくれたようだ。

「どうじゃ? やめたいならやめても良いぞ。」

 挑発するように言ってくる。

「冗談はよしてくださいよ。」

「ほっほ。では、二回戦じゃ。」

 師匠が風の星術で丸太を無造作に吹き飛ばした。ちゃっかりバケツに水も入れてくれている。

「行くぞおぉぉ!」

 ガアアンッ

 まずは一回! 

「もう一回ぃ!」

 カアアンッ

 よし次は、どこだ?

「ぐはっ」

 後ろから丸太が飛んで来た。後ろからの丸太は防ぎようがない。師匠は一体どうやってあれを……。

 それから何十回と挑戦したが、弾けた数は良くて三回だった。

 夕方になって師匠から止められた。それとなく聞いてみたが、儂はもう示したぞい、としか言ってくれなかった。

 なんだ、もう示したって。

「ほれ、ぼーっとしとらんで帰るぞい。」

「あ、はい。」

 とりあえず、腹減った。

 歩いている内にいい匂いがしてきた。てか、体がべたべたするな。帰る前に川で体流しとけばよかった。体が臭い気がする。

「ん? あぁ。ソラァ!」

 うっ、師匠、声でかい。

「なぁに? お爺ちゃん。」

「風呂は沸いてるかのぅ?」

 なんだって?

「沸いてるけど……でも今――」

「お、お風呂があるんですか?」

 思わず聞いてしまった。何せお風呂とは、平民はもちろんのこと、貴族ですら中々入れないものなのだ。何故なら、体が浸かるほどの水とそれを沸かす分のマナ消費が激しい上に、使ったお湯を捨てる場所もないからだ。そのお風呂がっ、ここにはあるっ!

「おぉ、あるぞい。」

「おぉふぅろぉぉぉぉっ!」

 俺は走った。まだ自分にこんな力が残っているとは。だが気を抜けば倒れてしまいそうだ。いや、限界を超えろ! 走れラキエル! 楽園はすぐそこに――

 バアァン!

「お風、ろ……。え?」

 楽……園……。わぉ。楽園どころか、ここは天ご――

「キャャャァァァァァァァ!」

 バチィィッン!

 その瞬間、俺は気を失った。

 目が覚めると、桜さんが鋭い目を更に鋭くしてすごい剣幕でこちらを睨んでいる。

「あれ、俺は天国にいた……はず。」

「はんっ。そりゃよかったね。だがこれからもっと良い夢見せたげるよ。」

「はは、お手柔らかに、お願いします。」

「それを頼める立場に己があるとでも?」

「あ、えぇと……いいえ。」

「あんたは一体いくつだい! 常識もわからないガキなのかい! 自分の欲求に素直なのはある意味ではいいことだけどね! それで視野が狭くなったら人としてダメなんだよ。それなのになんであんたは――」

 一時間ほど説教は続いた。

 戻ってアウリエラに土下座した。彼女は許してくれた。あぁ、アウリエラもうまじ女神だ。

 その後は飯を食って即寝た。というか寝落ちしたのだ。

 次の日もその次も、そしてその次の日も、毎日丸太と格闘する日々が一週間続いた。

 今日は昼前の挑戦でやっと七回まで行けた。とは言えこのままでは、師匠のように何十回も連続で、というのは夢のまた夢。本当にどうすればいいのかわからない。

 いや、考えろ。この前師匠が言っていたじゃないか。思考の停止は人としての終わりだって。ええと、確か師匠は、もう見せたって言ってたな。多分、手本のどこかにヒントがあるのだろう。思い出せぇ。

 あの時師匠は後ろからの丸太を全く見ていなかった。でも打ち返した。何故だ。目じゃない。振動とか音とかか?

 試してみるか。

 ……ダメだった。いや、落ちてくる丸太の音なんて小さすぎるし、正確な場所の特定なんて不可能だ。振動に関しては、俺がバカだった。そんなもの一切感じなかった。次だ、次!

 振動でも音でもない。逆に本当に目で見るとか。視野を広く保ち、かつ動かし続けることで周囲を把握する、みたいな。

 よし試そう。

 ……さっきよか、良い線いってたと思う。十三回、新記録だ。最初の方は景色の変化に感動さえしたが、十回くらいを過ぎたところで集中が途切れた。なんとかニ三回弾いたが、これは、いつも以上に疲れる。特に頭が。

 これなら慣れれば師匠に追いつくかもしれない。けど、どうもそれだけじゃない気がする。

 それに、気になるのはアウリエラだ。彼女の成長はすごい。前に母さんに稽古をつけてもらってた時はすごい吸収力だと驚いた。ゼルギアと会った日は教えを実践して妖を一人で屠っていた。だから今も、多分もっと先を行ってる。俺も負けてられない。

 くそ、丸太の動き全部わかればいいのに。

「ん?」

 全部。全部……。来てる。今何か来てる!

「……そうか、マナか!」

 閃いたぁ!

 そうだ。確か手本の時、師匠の周りだけマナが濃かったんだ。多分師匠は、マナを放出し感知し続けることで、そこに生まれた歪み、つまり丸太の位置を把握しているんだ。

 いざ、実践!

 ………いや、難しい。マナは時間が経つと霧散してしまうから、常に放出してなければならない。だが、空間全体にマナを敷き詰め続けるのはめちゃくちゃ燃費が悪い。

 すると

「ほっほっほぉ。まぁ、一応は合格かのぉ。よくやったぞい。」

 師匠がいきなり声をかけてきた。

「え、何がですか? 俺まだ全然……」

「ラキエル、答え合わせと行こうか。お主、マナをどう使っているのじゃ?」

「えっと、マナを空間全体に放出して、」

「どこまでじゃ?」

 言葉を遮るように師匠は聞いてきた。

「あー、とりあえずここにある丸太全部覆うくらいまでです。」

「ほほっ、それはそれですごいのぉ。じゃが、不正解じゃ。よいか、マナは自分の周囲だけに、一回放出すれば良い。」

「自分の周囲に、い、一回だけ?」

 何を言っているのか、意味がわからない。マナは霧散するから、閉じこめでもしないかぎり……。

「自分の周りに極薄の結界を張るんじゃよ。」

「あぁ! なるほど。じゃあ、範囲は?」

「マナの歪みに反応し、かつ攻撃が間に合う範囲じゃ。要は自分の間合い、じゃな。」

「……師匠、もう一回お願いします!」

「よかろう。」

 それから、自分の間合いを把握し、マナだけが通らない結界を教わり、それを試し、という感じで稽古は進んだ。

 名前はないようだったので、勝手に空間把握と呼ぶことにした。

 一週間後にはバケツを卒業し、木刀を使って丸太弾きをするようになった。

 また一週間後には遂に師匠に近い動きができてきて、丸太弾きは四十回を達成したのだ。

 そしていよいよ明日から、アウリエラと一緒に稽古だ。

 どれだけ強くなっているだろうか、楽しみだ。

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