ロイシンと色恋
ーーー行商近くの森ーーー
???「いいな、今日の夜だ。暗くなってから結構しよう。」
???「へい、カシラ。」
???「カシラ、あの妖艶な女、良いんじゃねぇですか?へへへへへ」
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チョメ婆の依頼とは大木整理だった。チョメ婆はキノコ栽培を生業にしている。てっきりヤラシイ仕事を任されるとばかり思っていた。
「よし!さっさと終わらせようか!ここには長居するつもりないしな!」
そういってロイシンは服を脱ぐ。ロイシンって着痩せするタイプだよなぁ、服を着てたら私よりもスラットしているのに、脱いだら大きい。羨ましい。
あらわになった大胸筋と板チョコ腹筋。
ヒステラの顔が急によそよそしくなり赤くなっている。
(この人、ロイシンに心奪われたな。)
ロイシンになのか、筋肉になのかよく分からないが明らかにさっきと態度が違う。
そんなこともつゆ知らず、ロイシンと私は大木の移動を始めた。移動しつつ持ち上げた大木を上下に往復させる。腕上部の腕橈骨筋が喜びの汗を流している。
チョメ婆を見ると目が点になっていた。
「あ、あんれ、まぁ。」
「てっきり、魔法で移動させるのかとばかり思っどったけど、あんたたち…なぜそんな原始的な方法で…」
「アハハ、これ、すっごく腕に効きますねぇ!」
はにかみながら答えるロイシン。あの、全然大木の移動できてないんですけど。
さっきから上下に移動しているだけで横の距離が稼げていない。
そんなこんなで30を超える大木の移動が完了した。報告をしに行くとチョメ婆は感嘆の声をあげた。
「ひええええええ!!!あんれまぁ、あの量を1日で?!魔法使っても1日5本が限界でしょおにぃ!?」
「すっごく効きました。」
ロイシンは袖を捲ってお礼を伝える。
ーーーしばらくして
ロイシンと私はチョメ婆が紹介してくれた客人用テントに向かって歩き出した。もうすっかり夜だ。辺りではスパイシーな匂いや行商の見学に訪れた冒険者の楽しそうな声、まるで繁華街を歩いてるかのような雰囲気に包まれる。
「イシン、僕ちょっとヒステラに聞きたいこと思い出したから、テント、先行っててくれるかい?」
色恋だろう。ここは大人な私が空気を読んでカッコよく去っていく。
ーーーわけにはいかない!そんなのずるいぞ!ずるすぎる!!
「わかったロイシン。テントで先寝てるな。」
そんなわけなかろう。かっこいいのはセリフだけである。私ついていくぞ!ロイシン!
行商に訪れた人混みが上手く尾行のカモフラージュになる。
久々に青春が見れる!!そんな淡い期待を抱いていた。




