オネェさんと翻訳タトゥー
だいぶ歩いた。途中で生えてるイチゴのような実も食べた。キノコも食べた。崖も登った。
全然疲れない!!!
すごい!!筋肉すごい!!筋持久力すごい!!
改めて筋肉の良さを思い知る。
ロイシンはそれを見て笑っている。
「アハハ、やっぱイシンは面白いね!昔の僕のようだよ!アハハ」
そんな横で歩きながら笑うロイシンの手には大きな石がダンベルがわりに握られている。
そうか、ロイシンは基礎筋力が大事なんだっけ。そんな会話をしながら平野を歩いていると、重なった木々の向こうにわずかだが住居が見える。
「おおおお!珍しいなぁ、行商だ。イシン!行ってみようか!」
ロイシンが少し浮かれている。
「行商ってそんな珍しいのか?」
「そうなんだよ!森の行商は各地の珍しい魔法道具とかを流してくれるから楽しいんだよね!」
ちょっと興味がある。
「よし!いってみよう!金はないけど!」
まるでモンゴルのテント、ゲルのような仮設店舗が両脇に500mほど並べられている。だいぶ大所帯だ。
「¥&@%^{$~*」
「${*<^|>€」
やはりそこかしこで聞こえる言語はよくわからない。
その中で一個気になる店舗を見つけた。
「パワー、ビルド、パンプ」とそそられる名前が書かれている。
…?!
読める?!読めると言うことは、もしや…!
「よぉ!!お前たちいい体してんダなぁ!!」
中から出てきたのは小さく小太りなおじさん、ドワーフなのだろうか。
「あんたも異世界人なんですか?!」
興奮のあまり単刀直入に聞いてしまった。失礼だよねごめんなさいおっさん。
「イセカイ?何言ってんだお前ダち。俺はこの言語が好きで使ってるだけダ。俺の親友がこの言語使うもんデな。おかげで周りからは少し気味悪がられてるがよ。」
ロイシンが突っ込む。
「ほほう、それは勉強で培った言語力なのかい?それとも…」
「ああそうダ。これ使えば何言ってるかわかるがよ。他言語理解なんて、ここら辺の行商には必要ないからな。ほぼ書いてるやつはいないよ。」
そう言いながら肩の刺青を見せてきた。
「この刺青で言語がわかるの?!」
またまたごめんなさい、興奮のあまりつっこんでしまった。
「そうダがよ。知らんのか??おまえら不思議だなぁ。書いてくれるやつなら向こうにいるから。紹介するがよ。」
言われるがままついていく。私たち、お金ないけど大丈夫なの??
「ここダがよ。このテントの中だ。」
良い匂いだが、トイレの芳香剤のような濃い匂いが漂うテントに着いた。
中に入ると
「うわっっっ!!」
ロイシンのこんな声初めて聞いた。
中にはほぼ全裸の、わかりやすく言えばエステ中のような体勢をした女性が刺青を入れられていた。
刺青を入れている魔術師風の女が怒る
「${^~^{^|${*!!!!!! >|€|*~>{*{€\!!!!!!!!!!!!」
ダントツと呼ばれた先ほどのドワーフ風の男はそそくさと逃げていった。怒られたんだろう。これ、狙ってやっただろ…
テントの外で待機していた。だいぶ時間が過ぎたあと、施術をしたであろう女性がテントから出てきた。幸い寝ていたのだろう、何も気にしていない様子だ。
満を持して中に入る。
「>^*#~~**}$*#」
何を言われているかわからない。
ロイシンは拙い声で
「<%/ ¥>) (;;)」
「ロイシン、なんて聞いたんだ?」
「言葉、わからない」
「すごい、話せるんだねロイシン。」
「異世界に来てからよく言われた言葉だからね。大体意味は察したよ。アハハ」
やっぱスマートだなぁ。
オネェさんも意味を理解したらしく、私から順番に掘ってくれた。