大草原と大鹿
一マッスル
日本人、平たい顔、だがマッスル
二マッスル
台湾人、美形、だがマッスル
三マッスル
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四マッスル
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五マッスル
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六マッスル
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思い出した。
「そういえばコルトは?!どうなった?!」
ごめんコルト、君のことを忘れていた。あまりにも筋トレに精を出し過ぎてしまった。精を出し過ぎたあまり、私の体はまだ細いとはいえ、6パックのチョコレートがお腹に現れ、引き締まった筋肉が腕を覆っている。ロイシンの大きさにはまだまだ届かない。おっとまた筋肉について語り過ぎてしまった。
ロイシンが笑いながら話す。
「コルトはとっくに復活しているよ。彼もまた魔道兵士になるために強くならなくてはいけないらしい。これを渡したらこの街を飛んで出て行ったよ。」
なんだコルトは私のことを気にしてなかったのか。と少し安心すると共に彼を忘れていたことが許された気がした。
ロイシンの手には紙が握られていた。
「魔道兵士訓練生募集、学歴身分問わず、か。へぇ、コルトにはうってつけの条件だ。」
「だろう?これを探すのに随分苦労したよ。おかげで1ヶ月も筋トレをする時間が減ってしまった。」
そう嫌味を言いながらも何故か嬉しそうにロイシンは話す。
「ロイシンはコルトのこと、気に入ってるんだね。」
「そっか、イシンには言ってなかったね。彼はね、僕の筋肉に初めて興味を示してくれた子なんだ。話すと長くなってしまうけど、簡潔にまとめるとファンって奴だね。」
「そうだったんだね、どうりで慕っているわけだハハハ」
コルトの行方も分かったところで、身支度を終える。
今日から遂に始まる…筋肉行脚の旅!!
しかし、やはりここは異世界。道中では様々な魔物と接触した。接触したというよりも接触しに行った。筋トレのために。
「イシン!あれを見てみろ!トルディアーだ!」
前方の鹿、それも大きな扇状に広がったツノを指差してロイシンが興奮する。
「あれに突進されるのを利用して胸筋を鍛えるんだ!!あれは効くぞ〜」ハスハス
こんなかっこいい顔をしておきながら涎を垂らしている。筋トレに余念がない。
しかし、
それを聞いて滾っている私がいる!!!!私も!!!そのツノで胸を刺激したい!!!
「「うおぉぉぉぉぉおおお!!!!」」
私たちの雄叫びに反応し、トルディアーが突進してくる。
ズガァァァンッッッ!!
大きな音と共に、2つの肉塊と2つの扇がぶつかる。
2人がかりであっても押し負けている。押し負けてはいるが、、、効く!!!これは効くぞ!!!筋肉が悲鳴をあげている!!!今までにない嬉しい悲鳴!!!目に喜びを浮かべた2人の男性はさらに胸に力を入れる!!!
「こいつ強い!!こんな奴が周りにワラワラいるの?!」
「ここまで強いのは久々だよ!!そもそも危ない道をわざわざ通ってるからね!正直君と2人だから挑戦した…!2人じゃなかったら…押し負けてしまうかもしれない…!だがそれがいい!!!!いい負荷だ!!」
ロイシンの強い意志に呼応するように、この鹿も勢いを増している…!!
「「うおぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」」
バチンッッッ!!
大きな音がした。
切れた…?!筋が切れたか?!
いやちがう…押している!!!押されていた我々が押している!!
隣でロイシ…ロイシン?!ロイシンの腕がすごいことになっている。一言で言うなら2回り大きくなっている。
「キタキタキタキタァァァァッッッッ!!!」
「これが僕のレベルアップ!!!!!!」
そのまま一気に押し返してしまい、トルディアーは裏返った。
息の根は止めない。それを察したトルディアーは全速力で去って行った。