フェニルと魔力コア
近くの魔法大国の属国グリセリに潜入。
ここが科学者を派遣した王がいる。
今回、フェニルと私イシンが任務に当たる。
しかし、ここの国は一筋縄では行かない。魔法大国の属国故、高い魔力を持った魔力兵団を抱えている。その上魔道兵士の軍団も持っているという。魔力を注ぎ込んだ重機すら抱えているこの国で目立つようなことをしたら、それこそ戦争を仕掛ける口実を作られる。
慎重に任務を遂行すべきだ。
だから、私とこの無口なフェニルがアサインされた。
目的は敵国の城中にある魔力コアを破壊すること。
調査庁ハクのおかげで、玉座の間にコア反応があることはわかっている。
バレないように玉座の間まで行かなくては。
ロイシンが科学者に造らせた鋼鉄ロックピック。これを使って魔装戦車搬入用の城裏大扉を開ける作戦だ。
なぜそこを狙うか。
城裏大扉は魔法のロックが多重にかけられており、彼らはそれを信頼し切っている。見回り兵士が1時間に一回見回りにくるくらい抜け目がある。むしろわざと抜け目を作っている。
「魔力の前には皆無力。」
そのメッセージが込められているのだろう。
しかし、私たちには筋肉がある。
この筋肉と鋼鉄のロックピックさえあればなんとかなるはずだ。
1番の関門はロックピックで開けられるか。これだけだ。
様々な思考と工夫を凝らし、ここまできた。
裏大扉の鍵を開けようとするイシン。
ガチャガチャ、、、
なかなか開かない。
もう一度確かめるイシン。
がちゃがちゃ
開かない。
見回り兵士が近づいてくる。
また確かめる。
がちゃがちゃ
やはり開かnばこぉぉぉぉんん!!!!!
フェニルが扉を蹴飛ばす。
プオォォォォォォォォォォオオオオオン!!
警報が鳴り響く。
「何やってんだよフェニル!!」
「…」
フェニルはスッキリしている。
敵に囲まれる前に一気に玉座へと階段を駆け上る。
あと一歩、玉座の間、手前で魔道兵士に囲まれてしまった。
敵王と謁見する2人。
「アホな侵入者どもにお礼を言おう!!我らが国の大扉は壊された!!!さらに魔法を加える必要があると学ばせてもらったよ!ガハハハ!!」
「しかし武力だけでは心許ないであろう!!事実、お前さんたちは今、魔道兵士に命を握られているのだからなぁ!!さぁ!頭を下げて這いつくb」
パァン!!ビチャ
王の顔が弾け飛ぶ。
フェニルの拳が王の顔面に当たる。
お、おいフェニル。何してんだよお前…
「終わった。殺される。」
イシンは死を覚悟した。
イシンたちを囲む魔道兵士たちは慌てふためいている。王が死んだからではない。
王の顔面に魔力コアが埋め込まれていたのだ。
そこからはもう凄まじいものだった。
折衝が嫌いなイシンの前で、フェニルは、ただ、その鋭く研ぎ澄まされた双爪を筋肉に任せて敵胸中へ叩き込み、次々に魔道兵士に穴が開いていく。
あまりの荒さにフェニル自身の服が破れていることに気づいていない。
フェニルの丸い胸が片方あらわになる。
そんなことも気づかないほど、一方的な殺戮を楽しむフェニル。その口角は緩んでいる。
ビチャビチャ。
血。
私はまだ、血に慣れていない。
敵の血か、はたまた鼻血か。
バタン。
フェニルは失神したイシンを抱え、城を後にした。
【フェニル】
獣人村出身、寡黙、レディビースト、殺戮マシン、だがマッチョ。
パンプアップスキル: ロケットマッスル
限界まで溜められた筋肉熱は、実際の筋肉と同等の硬さを誇り、自身の体から解き放つことができる。




