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マッスル6max〜筋肉転生〜  作者: Reek
おまけ
2/21

筋肉の素晴らしさ

グサッ


2発目だ。薬草の群生地に倒れ込む。

足音がする。近づいてきている。柄の悪そうなスキンヘッドの男2人だ。もう終わった。こんなか弱い低レベルの自分を狙うとなると十中八九奴隷目的だろう。そう感じていた。


「近寄るな!」


大きめの火球がその2人を襲う。

あたり一面に広がった薬草が燃え盛り、その2人は逃げていく。


「ゃおい!冒険者!なぜそんな軽装でここに来た!頭おかしいよ!」


小さい少年?6歳くらいの子供が話しかけてくる。今気づいたが痛みも出血も消えている。少年が治してくれたのだろう。


「ごめん、ここ(異世界)は初めてなんだ。」


「どうやったら大木村にそんなレベルで来れるんだよ…まったく」


呆れられている。あ、ここって大木村って言うんだ。そこで初めて知る、、、ん?

この子、言葉が通じる??


「きみ?僕の言葉がわかるの?!」


「だから助けたんだよ。ロイ様と同じ言葉を話すから。師匠と関係ないんですか?」


「ロイ様って、あの!ね!え…だれ?」


「なんだよ!助けなければ良かった!師匠にやっっっと、認めてもらえると思ったのに!」


どちらにしてもありがたいよ…

「もしよかったら師匠に合わせてくれないかい?」

ダメ元で聞いてみる。

「嫌だね!そもそも弱い奴に興味はないよ!見た感じアンタから魔力も感じないしね!」


魔力?言われてみれば確かにないな。

しかし耳が痛い。現世でも同じパワハラを受けた気がする。

「お願いします!連れて行ってくださいいいい!」


「気持ち悪い!近寄るな!助けなきゃ良かった!」



そこから50回を超える懇願を重ねた。しかし、彼の扉を開くことはできなかった。回数を重ねても無理だ。ここは情に訴えるしかないだろう。

「そうか…弱い奴になんて興味はないよな…どうせおれは1人で死んでいく人生…そうだよね…おれになんて…」


「なんなんだよ!!いいか!俺は最強の魔導兵士になるのが夢だ!だから助ける!弱い奴を助けるのが仕事だからだ!けどな!冒険者ならもっと強くなってくれ!自分の身は自分で守れよ!!」

年下にこんなことを言われるなんて、情けない。

「…がんばります。」

僕は生きていければそれで良いのよ…そんな消失感と強い魔法?を使う少年に安心感も覚えながら道を歩く。


先ほどの村には戻らないようで、平原を進んでいく。しばらくして先ほどよりも大きな町、いや街だろう、に着いた。

関門のような場所を避けて町外れの小さな柵の隙間から中に入る。

(このガキンチョ、不法入国かよ…)


しばらく歩くとそのガキンチョの住処に着いたみたいだ。一言で言うとスラム街。物騒だな…

そう思ったのも束の間、中から大柄で態度のでかい豚、いやおじさん?が出てきた。


「&&${$$~^<€.?」

「>>~^|$$$」


少年はとても罰の悪そうな顔をして、何かを取引している。周りの連中もニヤニヤした顔でその少年を見る。怖くて陰から見てる自分ですら鳥肌が立つほど嫌な空間だ。


帰ってきたガキンチョに聞こうとした矢先、彼の方から口走る

「仕方ないんだよ、不法入国した俺の居場所なんてあんなところにしかない。それでもあんなところでも生き抜いて、あんなやつら、いずれ根絶やしにしてやる…!」


彼にも大変な事情があるようだ。

少し同情してしまった。


そんな彼が先ほど取引していたのは貝殻?メダル?のようなもので、いわゆるお金だろう。

資金が増えたからか同情からか、ご馳走してくれた。といってもなんの肉かわからない串焼き一本。


空腹も解消され眠くなる。今夜は寒くもないし路頭で寝ようか。




ドゴォッッッ!

不気味な音で目を覚ました…地鳴りのような不穏な音だ。


目の前で人が燃えている。その奥で家屋が崩れている。僕は知っている。その炎はあの子の炎だ…!その横で炎の男が吠える

「あいつ!!火をつけやがった!!クソ!!ざまぁみやがれ!!家ごとぶち壊してやった!!」


なに…?!すぐに崩れた家屋に駆けつける、僕のこんな貧弱な腕じゃ助けられないかもしれない、ただ!助かってほしい。



見つけた!大きな柱に挟まれている。少年はまだ意識があるようだ。

「あ、アンタ…なんでここに…」


「待ってろ!今助ける!」

柱を持ち上げてもびくともしない。手が火傷している。そんなことは正直どうでも良い。手の火傷で済むなら…!

ーーーびくともしない…


少年はにこやかに笑い、諦めの表情を浮かべている。ごめんね、力がなくて…ごめんね、筋トレ、しておけば良かったなぁ…


ズガガガガガッ!




思いっきり柱が浮いた!


「少年、大丈夫か!」


見上げるとそこには端正な顔をした、筋骨隆々の青年が柱を持ち上げていた。

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