青バラの科学者
「これはひどい…」
水を通した食物のみが魔法の影響を受けていた。
「問題は食料じゃなくて水源だったんだ!!」
原因究明をすべく、コルトはこの国アリサの地下水路へと赴いた。
ひどくは匂わないが、油がこぼれたような床の滑り具合だ。密かな魔力を認識しながら水脈を辿る。
水源にあったのは小さな小さな地下施設。
そこには青く発光したバラとそれを貪り食べる科学者らしき大男がいた。
そうか、彼は元ブドウ軍の残党科学者だ。
彼が騒動の原因だと目算し、呪縛魔法を放つコルト。
「抵抗はやめろ!何をしたのか話してもらうぞ!」
その研究者は魔法にかかるや否やひとしきり光を放つ青バラを食した。
とたん
「ぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛」
みるみるうちに大男の体がぶくぶくと膨れ上がり大きな大きな肉塊へと変化した。コルトの魔法を砕き壊す。
コルトは驚きを隠せぬまま炎を纏った剣先を振るう。
切れども切れども修復を繰り返す肉塊。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛」
肉塊は樹木のような腕を一本生やし、コルトを握りつぶした。咄嗟に防いだ防御魔法はちょうど噛み合った。しかし、負けたのは魔法。
下水に投げ飛ばされ意識が途切れる。
いくら時間が経っただろう。
タブが場外ランニングを終えた頃、浅瀬に浮かんだコルトを発見した。