荒事とマダム
???「けっへっへ」
人相の悪い髭面の男がヒステラに迫る。
「何よ、あんたたち。気持ち悪いんだけど。」
ヒステラの刺青が光る。
???「おおっと、魔法なんか使わせないぜオネェさん。」
もう1人の髭面がポケットから粉を撒く。
ヒステラは咳き込んでしまい魔法を発動できない。
カシラ「ひひひ!収縮魔法!収納魔法!大人しくこの木箱に入r…」
ロイシンが腕を掴んでいる。
「おい。マダムに手を出すのは紳士じゃねぇよ、お前。」
驚いたカシラの取り巻きが一つにまとまる。
「「なんなんだてめぇ!!」」
「おいヒゲ!魔力を抑えろ!!」
「「へい!!」」
ロイシンに青い球体がぶつかる。
「おい!ヒゲ!こいつ全然力抜けねぇぞ!!当たってねぇんじゃねぇのか!!」
「くっそ、これじゃラチがあかねぇ!!ヒゲ!おれに増加魔法!!」
「へい!」
みるみるうちにカシラの体が大きくなっていく。そして、腰にかかった短剣を抜き出s…
剣が無い。無いというよりも折れている?
ファイティングポーズを取るロイシン。
「武器はいいよぉ。殴り合いで戦おうぜぇ。」
カシラも腕っぷしに自信があるようでファイティングポーズをとり返す。
異様な間合いに助太刀ができないヒゲ達。
テントの外を取り巻く雑踏が静まったその刹那。
ロイシンとカシラ、お互いの右ストレートがお互いの頬にめり込む。
コンマ数秒、そのわずかな時間すらも悠久の時に感じられた。 とヒゲ達は感じる。
倒れたのはカシラだった。
カシラの左頬には拳のあざがはっきりと浮かび上がっている。
ロイシンが口を開く。
「弱い子達に興味はないんでね、逃げるなら逃げろ。反撃したいなら、まずはそこ、変えるといいよ。」
ヒゲ達の足を指差すロイシン。
ヒゲ達は口から泡の出たカシラを抱き、風のようにさっていった。
ヒステラは腰を抜かしたようにその状況を見ていた。
「マダム。目前で荒事を、申し訳ない。」
正直ヒステラは目の前で行われた戦闘に腰を抜かしてるのではない。マダムとして扱われたことに驚き、ショックを隠せないでいる。
そんなことを察しないまま
「ほらマダム、起き上がれますか?」
マダムは怒っている。
「あ!マダム!聞きたいことがあったんだよ。」




