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ワールドゲート  作者: 一本の杉
第1章
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第1章 4

 ふぅ、お腹いっぱい。今日の昼食も大変美味だった。満足満足……。って違う違う。それよりも魔法だ。魔法……どうやって使うんだろう。そういや母さんは詠唱してたな……。いや、恥ずいな。中二病かよ。決めポーズとかはなさそうだけど詠唱は……うっ俺の黒歴史がっ! ……というのは置いておいてだ。やっぱ詠唱しないと使えないとかあるのかな? ファンタジーモノのラノベとかだと無詠唱で魔法使うとかあるけど、この世界には無いのかな? ……うーむ。


「ねぇ、トール。さっきお父さんの怪我を治してる時に、じっとこっちを見てたけどもしかして魔法に興味ある?」


 おっとバレてたか。でもまぁ当たり前か。あれだけジロジロみてたらそりゃバレる。嘘つく理由もないし肯定しよう。


「あい」

「そっかそっか。そうねぇ……。教えることはなんの問題もないんだけど、道具がねぇ……」


 道具? もしかして、これまたラノベでよくある魔力量を図るとか属性を調べるみたいなやつかな? やっぱファンタジーすげぇなぁ。


「ん? ルーシア持ってなかったか?」

「持ってたけど……。実は去年に確認したら壊れちゃってね。修理を頼むにしても新しいものを手に入れるにしても少なくとも今年中は無理かなぁ。それにどうせなら真新しいものを使ったほうが確実だし」

「そうか。真新しいのとは言ってたけどアテはあるのか?」

「それが無いのよねぇ……。雑貨屋とか専門のお店にいっても精々買い取った中古品を修理した物だし、組合でも協会でも借りれるかどうかだしね……」


 組合? 協会? あれか、冒険者ギルド的な。おぉ……なんか感動だわ。


「連れて行くのはダメなのか? 連れて行けばできると思うが……」

「あれって確か、登録しないと使えなかったはずよ?」

「あー……そういえばそうだったな。うーん……それなら教会はどうだ?」

「だから協会は無理だって」

「いや、『きょうかい』は『きょうかい』でも『協会』じゃなくて『教会』のほうだよ。ほら、もしかしたらシスターさんが持ってるか教会に置いてあるかもしれないし。無くても相談に乗ってもらえるかもしれないだろ?」

「……まぁ確かにそうね。それにトールがシスターに会ったのまだ産まれて間もない頃だしね。トールもちゃんと挨拶できるようになったし、今度相談に行きましょうか」


 そういえば、あの銀髪シスターさんに会ったのってそれっきりか。外に連れてもらったのもあれ以来か? ぶっちゃけ外の光が眩しすぎて、あまり街の景色を見れてないんだよな。まぁ大体中世くらいかな? とは思っているけど、ファンタジーだし。もしかしたら、とんでもない物もあるかもしれないしな。正直、超気になる。太陽とか月が二つあったりして。



 ―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―



 数日後、俺は母さんと一緒に教会へ行くために外出していた。太陽は一つでした。はい、この星の恒星は一つです。

 まぁそんなことよりよ。マジでゲームの中みたいな街だなぁ。文明的には中世から近代のヨーロッパ? みたいな感じかな? ヨーロッパなんて一度も行ったことないし景色なんてテレビとかネットでしか見たことがないけど。それに嫌でも目に入ってしまうあの巨大な門。壁のない扉とその枠、そしてその枠を支えるための2本の支柱が街の中にポツンとあった。しかも門が空いてるはずなのに門の向こう側の景色が見えるわけじゃなく、真っ白でわずかにゆらゆらしている。めちゃくちゃ気になるけど、今は母親と移動中だし、あれはもっと成長してからだな。


「教会に行ってシスターさんとお話ししたら、帰りに市場によるからね」

「あい」


 市場か……なんか面白そうなものありそうだな。

 そんなことを思いながら数分後。目的地であろう教会に到着した。うわすげぇ。教会なんて前の人生じゃ見たことなかったけど、よくイメージするようなザ・教会って感じ。それに大人から子供まで年齢問わず出入りしているのが見える。……懺悔とかしてるのかな? それとも寄付とか?


「さぁ、中に入りましょ」


 頷いて入ってみるとこれまた綺麗な場所だ。ステンドグラスもたぶん一度も見たことなかったからなんというか……綺麗というか美しいというか在り来りな言葉しか思いつかない。


「さてさて、シスターさんは……いらっしゃらないのかしら? トール、ちょっと椅子に座って待っててくれる? シスターさんを探してくるから」


 そう言ってシスターさんを探しに行く母さん。シスターなら三人ほど既にいるけど……たぶん前に言ってた俺を産む時にお世話になったシスターのことかな? この世界のシスターはなんというか……ミステリアスさを感じる。俺が最後に見たシスターさんも含めて舞台に出てくる黒子みたいに顔を隠している。それもうっすらと顔が見えるならいいのだが、サングラスやサンバイザー以上に真っ黒で前が見えるのかと心配になるレベルだ。っとシスターをジロジロ見ていたせいかこっちに気づいて近づいてきた。どうしよ。


「どうかしましたか?」

「え、あ、う、あ」


 やっべ、コミュ症みたいになっちゃった。いやでもどうしよ。


「大丈夫。落ち着いてください。……あなたのお母さんはどこですか?」


 知らん。近くに入ると思うけど少なくとも見える場所にはいない。


「いないようですね……。では、お母さんの名前は言えますか?」

「るーしゃ」


 惜しい! あとちょっとだったけど言えなかった。滑舌良くしていかないとなぁ。


「ルーシャ……。いえ、ルーシア……でしょうか? 少し待っててください」


 よしよし、なんとか伝わった。にしても近くで見ても全く顔が見えんな。

 シスターが他のシスターに聞きに行こうとするが、そこへ


「その必要はありませんよ。シスタークラウ」


 ……お? なんか聞き馴染みがあるような……? そう思って声のする方を見ると母さんと一緒に別のシスターが来ていた。……気づかんかった。


「シスターアリア様……。そちらの方が?」

「はい。この子の親のルーシアさんです。少しの間、お二人と話をするので1部屋使います」

「わかりました。それでは失礼します。」


 そう言ってシスタークラウと呼ばれたシスターが立ち去る。聞き馴染みがあるのは、たぶんこの人が俺が髪を引っ張った人だからだろう。相変わらず綺麗な長い銀髪をしている。……そういえばさっきのシスタークラウさんも銀髪だったな。姉妹かな?

 

「それでは、こちらへ」

「さぁトール、付いていきましょ」

「あい」


 ゆっくり付いていこう。どんな話になるのやら。


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