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王様の耳はロバの耳、王妃のツノは鬼のツノ

作者: オジ3号

「王様ー。起きてください」

「ちょっと王様!」

「おい!起きろロバ耳!」


一人の従者がスリッパで王様の頭を叩きました。


「もう朝か。」

長い長い髭とロバ耳を生やした王様が、ベッドから起き上がりました。


「おはようございます。王様」


「お前、さっきワシの頭スリッパで叩いた?」


王様は一人の従者に聞きました。


「いいえ、気のせいでございます。」


「いや、スリッパを片方しか履いてない足で言われても……。」


従者は即座にもう片方のスリッパも脱ぎました。


「そういう意味じゃないんじゃがの……。」


「じゃあさ、お前、さっきわしのことロバ耳とか言った?」


「歳のせいで幻聴じゃないでしょうか」


「……そうかの。不敬じゃの。」


「さあ、行きましょう。ロバ耳」


「やっぱ言ったよな!」


「あ、やべっ」


ロバみ……王様はそろそろ従者をクビにしたいなと思いました。


「ナレーションまでわしの敵かぁ!!」


ロバ耳が叫んだ所でもう一人の従者が部屋に入ってきました。


「まぁまぁ落ち着いてください王様。彼らも一生懸命やっているのですよ。」


新しく入ってきた従者はダウテーという名前でした。

ダウテーはいつも王様がキレたタイミングを伺って部屋に入ってきます。


「ダウテー、お前いつもワシのこと気の短い老人みたいに扱うけどさ、ワシ悪口に反応してるだけなんだけど。」


「彼らも一生懸命やっているのですよ。」


「ワシへのイジメをか?」


「子供のちょっとしたイタズラぐらい許せないんですか。」


「いや、朝からスリッパで叩かれんのは」


バシッ


どこからともなく、ダウテーがスリッパを取り出して王様の頭を叩きました。


「ね?」


「なにが『ね?』じゃ‼︎その行為で伝わるのは悪意だけじゃよ!!!もっと言葉を使って説明しろじゃ!」


「私としてはこのスリッパが『そんなに痛くないんだから許してあげなさい』と言っているように見えたのですが。」


「それが分かったらワシは人間じゃなくてスリッパの友人を作った方がいいかもしれんの!」


「いや、スリッパの裏に文字で書いてあるじゃないですか」


「ポルターガイストじゃねーか!」


「まあ、まあ、落ち着いて。王様、王妃様がお待ちですよ。」


「落ち着けないのはどこの誰のせいじゃ?」


「ここのスリッパのせいじゃないですか。」


「スリッパを出してきたのが誰かって話じゃよ!」


王様とダウテーは王妃様と朝ご飯の待つ部屋へ向かいました。


王妃様は立派な鬼の角をプルプルさせて王を待っていました。

王妃様が王を呼ぶようにダウテーに言いつけてから、もう3時間も経っています。


ガチャ


「遅くなってすまんのぉ、オコリー。」


王様が少しすまなそうな顔でやってきました。

オコリーは王妃様の名前です。

初登場がキレた場面の人には妥当な名前です。


「わたくし、生まれ変わったら神になりたいです。」


「髪?ワシの?最後の一本?」


「小ボケは求めてませんわ。神になって、不愉快なナレーションと女を待たせる男を全員ハゲにします。」


復讐方法が惨虐かつ冷酷……。ナレ子は戦略的撤退を選びます。


ゴキリ


なななんで!王妃がこちらを向いています。ナレ子の居場所に気づいたの⁉︎

ナレ子は泡を吹いて倒れました。




はあ、ナレ子倒れました。倒れるとこまでナレーションしたのは立派ですけどね。

という訳でこれからはナレ子2号のナレーションとさせていただきます。


「なんでナレーションが人格確立させてんの⁉︎」


うるせえハゲ。


「1号戻ってきて!この子怖い!」


「それで、私を待たせたことについては?」


「王妃も怖い!だってダウテー呼びに来たのついさっきじゃよ⁉︎」


「しらばっくれないでください!私は3時間前に呼びに行かせました!」


王様と王妃が言い合っています。

ダウテーは部屋の隅で土下座しています。


これ完全にダウテー犯人ですよね。


あれ、ダウテーがこっちに来ました。

ナレーションは一応人間に見えない設定なんですけど。


え、5000円払う?だから誤魔化して?

いや、私ナレーションですし。一応プライドとかある……あ、10000円、あ、はい。



ナレ子2号はここ一番の大声でナレーションしました。




王様は嘘をついています。3時間前から呼ばれていることに気づいていました。


「え、ちょ、2号さんいや2号様。何をおっしゃられているのですか!」


王様が必死な顔でこちらを向き、尊敬語を使い始めました。

王族なのに尊敬語とか使えるんですね。

すいません。欲しい服があるので。


「あなた?言い逃れなんて許されると思って?」


「そうですよ!王様!私は何度も呼びましたのに!」


さらっとダウテーも攻める側に加わっています。


「いや、本当にわしはなにも!」


「あなた、認めてください!」


パシッ


王妃がスリッパで王様を叩きました。


王様は何かに気づいたような顔して叫びました。


「ダウテー、お前が犯人じゃったか!」


「な、証拠がどこに?」


「スリッパの裏に文字で書いてあった。」


「ポルターガイストじゃねーか!」



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