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悪意に満ちる街

お久しぶりです(小声)

モチベが低下したところに、お馬さんを育成するゲームが来てしまって気づいたらこんなに期間が開いてしまいました。

 日も頭上高く昇り、サンサンと輝いている。コンクリートで舗装された道の上を多くの人が行き交い、話し声や怒鳴り声などの喧騒に溢れている。


「……ねえユウリ、いつまでこんなところにいるつもり?」


 そんな光景を物陰に隠れながら、周囲の様子を窺うように覗き込んでいた。

 朝になってから街の中に入ったまではよかったけど、いざ大勢の人を前にしたら不安がこみあげてきてしまった。


「だって……ほら、急に叩いてくるかもしれないじゃん」

「はあ……大丈夫。そんなことするひどい人なんて早々にいないから」

「そうなの?」


 ルージュの言葉を信じて、勇気を持って看板の裏から足を踏み出す。が、ちょうどスーツに身を包んだ男の人が看板の前を横切ろうとしていたところだった。当然僕とその男の人はぶつかってしまう。


「うわっ!?」


 その男性と僕とでは体格の差があまりにも大きく、突き飛ばされるような形で尻もちをついてしまった。


「す、すまない。こちらの前方ふちゅういだっ……」


 男は謝罪を口にしていたがだんだんと尻すぼみになっていく。どうしたのだろうと顔を上げて見上ようと顔を上げると、男性の顔はなぜか憤怒に染まっていた。そして次の旬化には――


 頬に強い衝撃を受け、熱を持ったように熱くなり、遅れて痛みが駆け巡る。そして焦点が定まらす、星が瞬いている。

 状況が分からない。どうして僕は地面に転がっているのだろう。どうしてあの人に僕は蹴られたのだろう。何もかもが分からない。


「魔法少女風情が、人間様の進路を塞いでんじゃねえよ。ってかなんで廃棄地区から出てきてんだよ。あ~、せっかくの昼休みなのに胸糞が悪いぜ」


 男の吐き捨てた言葉に絶句する。魔法少女はアカネお姉ちゃんみたいにみんなを守るヒーローなのに、どうしてあの人はこんなにも嫌悪を露わにしているのだろう。


 道端でこんな騒ぎが起こっていれば、当然野次馬も集まってくる。しかし野次馬たちも当然のように、僕に厳しい目を向けてくる。


「さっさとゴミ溜めに帰れよ、この化け物!」

「ここは人間様の街なんだよ!」

「かーえーれッ、かーえーれッ」


 なにこれ。何語起こっているの。

 僕を取り囲んでいる人全員が「帰れ」コールを行っている。誰も暴力を振るった男性のことを非難する人はいない。


 ――こわい


 ただでさえ施設での経験のせいで大人に対して恐怖心があるというのに、施設以上の悪意を街の人から感じる。


 手足から熱が引いていき冷たくなっていく。心臓が破裂するのではと思えるほどに速く、激しく鼓動している。


「――――」


 何か不快になるようなことをしたのならば謝罪をしなくてはいけないのに、口からは空気が漏れ出るだけで言葉が口にできない。


「うわッ、なんだこの犬!?」


 ついに我慢できなくなったアッシュが野次馬たちに襲い掛かってしまった。


 場は混迷を極めるばかりで、収束する兆しすらも見えてこない。どうしたらいいのか分からない。こういうときに頼りになるルージュはいったいどこに行ってしまったのだろう。いつの間にかいなくなっていた。


「キャウン」


 アッシュの悲鳴が聞こえる。大勢の人に取り押さえられ、暴力を振るわれている。


 だめ……ダメだよ。アッシュだけは守るって決めたんだから……。大切な家族を二度と失わないためにも、だからッ。


「あああああああああああああああああああ」

「飼い犬の躾ぐらいちゃんとしとけや、ボケッ」

「ぃひぎゅッ」


 無理やり気力を振るい立てようとしたのに、その直前で鼻っ柱をへし折られた。先ほどと同じ男性かは分からないが、髪を掴まれて地面に叩きつけられる。何度も何度も叩きつけられる。


 頭のどこかをアスファルトの凹凸で切ってしまったのか、瞳に血が流れ込み視界が赤く染まっていく。頭に何度も強い衝撃を受けたがために、脳が揺さぶられて意識が朦朧としてくる。


 もう訳が分からないよ。


「君、こっち!!」


 悪意に支配されている野次馬を潜り抜けて、氷のような蒼銀の髪を持つ少女が僕の前に現れた。彼女が現れた瞬間、野次馬たちの勢いが少し弱まったように感じられた。


「行くよ!!」

「え?」


 その少女は野次馬を潜り抜けてきた勢いそのまま、僕の手を握ると猛ダッシュでその場から逃走をはかった。


「おい待て、ゴラァ!」


 野次馬たちの姿がどんどん小さくなっていく。追いかけようとする者もいたが、少女の走るスピードが速すぎて距離を離されていた。

モチベ維持のために投稿頻度は不定期になると思います


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