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第四話 二度目の始まり

「え、どゆことどゆこと?」


「あっ、やっぱりよく覚えてないよね。私はアイリス。そして、あっちに居るかもしれないのが、フィーリア。ちっちゃくて可愛いのよ」


「ちっちゃい言うななのよ! アイリス!」


 なんと言う事か、まるで一週間前の出来事を真似ているかの様だ。なんかのネタか? それともドッキリか? どっちにしたってタチが悪い。これは一発言わねば、だがその前に状況を理解しなければならない。


「え、あ、うん?」


「もしかして混乱してるの? まぁ、それも無理ないかな、ここはね私たちの家よ、私とハルトとフィーリアで暮らしているの」


「あ〜、うん。知ってる」


「え! 覚えてくれて居るの? じゃあこの町はなんて名前か言ってみて!」


「いや、そこまでは、分からない」


「ん? 覚えてないの?」


「いや、て言うか一週間ぐらい前に記憶喪失の話したじゃん。俺も記憶喪失は悪い意味で心に残っているわけで、そういう事辞めて欲しいかな。俺も記憶喪失をネタか、ドッキリ使われるの嫌なんだけど」


「?」「?」


「いや、黙られても困るんだけど……」


 二人は何故か黙ってしまた。ポカンと呆けた様な、困惑の様な感じな表情を見せる。ただ、なんにしろその表情が偽物には見えなかった。




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 





「じゃあ、ハルトは一週間前も同じ様な事があったって言うの?」


「ああ、そうなんだ。まさか、あれが遊びじゃないなんてな。驚きもんだぜ」


「あんな大事な事遊びなんかにしないわよ! でも不思議よね。フィーリアはなにか心当たりあるの?」


俺とアイリスが情報交換している最中。顎を左親指の付け根辺りで撫でている手が、パッ! と、効果音を付けたくなる様な、頭の上のに電球が光った様な感じに目を見開きながら離れる。


「フィラは心当たりと言う物は無いのよ。でも憶測はあるのよ」


「憶測?」「憶測?」


「なのよ。まず、考えなれるのは一つ。副能の線なのよ」


「副能? なにそれ美味しいの?」


「副能は食べ物じゃ無いから美味しくは無いのよ」


 なにそれ美味しいの? と言うテンプレ返しはスルーされつつ、フィーリアは髪の毛先を指先で弄くり回しながら「いいかしら?」と、前置きし、説明を始める。


「この世界には主能と副能があるのよ。基本的にはみんな主能しか持つ合わせないのよ。でもごく稀に副能と言う物を持って生まれる生物もいるのよ。もしまだ見ぬ副能をハルトが持っていたとしたら可能性の問題として、あるのよ」


 その可能性は見過ごせない。副能はごく稀と言う話だが、なんせ俺は異世界転生者だ。異世界転生にはなにか特別な力を持って転生する事が鉄板であるからだ。それもとてつもなく強大な力。この話は深く聞く必要がありそうだと、転生初心者が考察していると、


「でも副能なんて未だに発見されて無いんでしょ? その副能の言葉も流言飛語の類だって完結したはずじゃ」


 ここで新事実! 副能は未発見どころか噂程度の物をと言う事! なんて頭も急がせているとフィーリアが口角を尖らせ渋い顔をしながら


「いや、そんな事ないのよ。確かに副能は珍しい能力なのよ。でも、有り得ない能力でもないって訳なのよ。理論上の話だけれど」


「もし、副能だとしたらどんな能力なんだ?」


「どんな能力でもおかしくないのよ。未来予知。時間の巻き戻し。あるいはそれ以外か、如何せん副能なんて前例が無さすぎてどんな能力でも有り得るか、わかったもんじゃないかしら」


「でも私、やっぱり有り得ないと思うの。副能なんて、現実的じゃ無いもの」


 こんな感じに俺には訳の分からない論争を繰り広げられている。だが、ここである一つの疑問が浮かぶ。


「ちなみに俺の主能はなんなんだ? 俺の主能が分からないだったらそれが主能なんじゃないか?」


「ハルトの主能は魔法を使う程度の能力なのよ。結構めじゃーな能力なのよ」



「おお! 魔法! 魔法か〜、憧れるな〜、夢があるな〜」


「何言っているかしら? ハルトの能力なのよ? 憧れる理由が分からんのよ」


「おう、そうだった、そうだった」


「ちなみにハルトの魔法能力は世界一、いや、歴史上最高の才能なのよ」


「んな! そうなのか!」


「そうなのよ。そういう事だからひとつよろしくなのよ」


「ま、ま、まっ、この話はここまでっ! それよりもフィーリア、ハルト、街を散歩して来たら? この町がどんな町なのか知る為にも」


「それは名案なのよ! ハルト散歩に行くなのよ。すぐ準備するかしら!」


「まぁ、それもいっか、よし行ってくる」


「あっそれは良かった。そのついでとは何だけど少しお使いを頼んでもいいかしら?」


「絶対それ目的だろ」


「えへ、バレた?」


「フツーに分かるから!」


 天然だと思ってたアイリスがまさかの策士的一面を見せる。あれ? 意外と頭が回るタイプ? ぶりっ子ちゃんタイプ? なんて想像していたら舌先を見せながら「てへぺろ」なんてぶりっ子らしい事をして一瞬尊死でもした様な感覚になる。そして俺はここで悟る。俺はこの子には絶対に逆らえないだろうなと……



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 




 同じくスーパーらしき所で買い物を済ませその帰り道、事件は起きた。(知っていた)何を隠そう、火事だ。相変わらずフィーリアがちっちゃいから下を向いていたせいで発見が遅れた。そして今回も同じ様に、、


「おい! 火事だぞ! フィーリア!」


「ホントなのよ。ハルト! すぐに消火するのよ!」


「おお、わかった! 水よ、出て来い! 少しの水、シャワー位の水!」


 その詠唱に身を任せる様に水のマナが空中から生み出され降ってくる。しかし、相変わらず手加減知らずのマナで、バケツをひっくり返した様に落ちてくる。否、めちゃくちゃデカい市民プールの水を全てひっくり返したと言っても過言では無い位の水だ。あれ俺言ったよね? シャワー位の水だって。


「何なのかしら? その出鱈目詠唱は」


「仕方ないだろ。魔法の名前知らないんだから!」


「今の魔法はハイドロレインかしら。レイン系統だと、最高級。ハイドロ系統だと二番目の魔法なのよ」


「待っ、待ってくれ。水圧(ハイドロ)(レイン)。どこにシャワー要素があるんだ?」


「ん? 何を言っているかしら? あれがシャワーなんて、天候操作系の最低級って見られてもおかしくない魔法なのよ シャワー要素なんてある訳ないのよ」


「オッマイガー」



 ひとまずはこれで良さそうだ。被害も大して大きくない。前みたく、津波みたいになって気化熱で氷点下にならずに済んだ。今回は少し家が窪み、道路には少し水が溜まり、そこそこの水が服に付き、風邪を引かないかが今の不安と言ったところか。あれ、本当に大丈夫だよね?



そうして見事問題を解決? し、帰路に着く。忘れもしないあの日と同じ様に

どもども、のぎすけです。


とりあえず書く事が無いので、キャラ紹介でもやって行きます。

(後書きに書く内容じゃない気が)


フィーリアはたまに俗に言う江戸言葉を使うのですが、その江戸言葉が少しズレていると言うか、使い所が間違っているか、ま、そんな感じなので暖かい目で見てあげてください。


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