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第一章 幕間 束の間の休息

 今は家の広すぎる庭にいる。何のためかと言うと優雅な雰囲気になりたいとハルトが調子に乗って始めた事である。


「こちら、レモンティーでございます。ご主人様」


 と言いながらお盆の上に乗っていたティーカップをそっとテーブルに置く。ハルトはおもむろにハンドルをつまみ、アトリアがじっと見つめる中紅茶の香りを感じ、少しの量を口に含んでから飲み込む。


「お見事」


「ありがとうございます」


 とハルトが短い言葉で褒めると同時にアトリアが胸を撫で下ろす。するとお盆に乗っていたもう一つのティーカップをハルトの隣の席にそっと置く。そして「失礼します」と呟くように言ってから隣に座る。


「いいお天気ですね」


「ああ、そうだな」


 短い会話が終わりこのば空気に沈黙が走る。が別に気まづくは無い。アトリアの隣には私の大好きなハルト様がいるのだから、この沈黙さえも心地いい空間になる。


 ハルトは空にゆらゆらと浮かぶ雲を見上げただひたすらに無心になる。ここ最近慌ただしく一息つく暇すらなかったのだ。特にハルトは謎の時戻り現象に巻き込まれ心身共に疲れ切っていた。


 あの後時間が戻ることはなく真相は闇の中と言うやつだ。そんな事を考えていると重いため息が出てしまう。しかし終わり方はあっけないもので今ではアイリス、フィーリア、アトリアと一緒にのんびり生活している。



「あっ、二人ともこんな所にいたんだ! 探したよ」


「アイリス! 探したってなんでさ」


 アイリスが大きく手を振りながら走ってくる。少し息を切らしながら「いやー」と前置きし、


「こんな所でお茶するなら教えてくれてもいいじゃない。私も混ぜて」


「別にいいけど、アトリア。紅茶を持ってきて」


「かしこまりました。ご主人様。お嬢様、紅茶の種類は如何いたしましょう?」


 アイリスが腕組みながら「んー」と言いながら考える。そして「今日の気分は」と前置きしてから、


「ミルクティー、かな?」


「かしこまりました」



 アイリスの紅茶が運ばれてきてしばらくの間は無言、無心の時が続く。その時間を終わらせたのはハルトだった。


「そう言えばアイリスとアトリアの主能って何なの?」


 この質問に対し真っ先に反応したのがアイリスのだった。がすぐに答えることはなくアトリアから答え始める。


「他人から感知されなくなる能力です。対象が見ていたり一部の人には通用しませんけど」


「へー、面白い能力だね。アイリスは?」


 と聞くとアイリスがあたふた様子を見せる。次第に決心したように落ち着いていき口を開く。


「えっと、その、私は分からないの」


 アイリスは両手の人差し指を突っつきながら静かに答える。その返答にハルトは思わず小首を傾げながら、


「分からない? そんな事があるか?」


「いえ、そんな事例は聞いた事がありません」


「うん、そうなの。私の分からないって言う現象は相当珍しくて。私も早く知りたいなーって思うの」


「そうなのか、なんか悪いことを聞いたな」


「そうでも無いよ」


 ハルトの言葉によりこの場にまた気まずい空気が漂い始める。そして沈黙のまま午後のひとときは終わりを迎えるのだった。

幕間そして第一章を最後まで見ていただきありがとうございます!


これにて波乱の第一章は終わり、話が大きく変化する第二章が始まります!


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