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プロローグ 死神カードの前日譚

「俺は何をしてんだろ」


 今まで必死に作り上げてきた虚空の想像物を見下ろしながらため息混じりに呟ている男がいる。


 そこはどこまでも蒼く、澄み渡った空間。とてもこの世界とは思えないほど青く鮮やかさも持ち合わせる綺麗な色だが、しかし、それ一色だと平衡感覚を狂わせる。出来ればこんな場所に長居するのは避けたい。そしてやがて気付く、目の前に見知らぬ男がいる事。その男はどこが見覚えのある奴だ。


「君は知りすぎたんだよ、■■■。この世界の不条理を、汚さを」


「な、にを」


 言葉にならない声を絞り出す。そしてその男は現実を突き付けるように話し始める


「だから君にに託すんだよ■■の■■を■■■ね」


「何、を、言っているか、分か、らないんだよ」


「無論。僕も君に理解されるつもりは無いよ。理解されない方が僕のためでもあるし、あの二人のためでもある。君は何も理解できないまま、職務を全うしてくれたらいいからさ、ね。友達、だろう」


 男が言い終わった瞬間。その世界は音を立てずにヒビが入り、やがて砕け始める。この世界の終わりと言うわけか? 何一つ理解できなかったせっかくここまで来たと言うのに。そしてヒビが入り砕けた世界は津波の様に押し寄せる黒き終焉を呑まれて行くのだった。

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