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とある少女の独白
人は死ぬ間際何を考えるのだろうか。
家族のこと?友人のこと?自分の人生のこと?
金髪の少女は夜空を目に写しながら考えた。
空には満月がどうどうと居座っており一際存在感を放っていた。
雲一つない夜空に向かって手を伸ばしてみるが近づくことはなく遠ざかっていく。
少女の体は地面へと向かっていたからだ。
あと数秒もしないうちに自分の体が地面に叩きつけられてしまうことを少女は悟っていた。同時にきっと死んでしまうであろうことも。
着実に近づく死に対して少女はまるで地面に置かれた金魚のように息を詰まらせていた。
足が地面に着いていないこの状況下で少女は周りの景色がやけにゆっくりに感じていた。
空中を舞う葉も、虫の鳴き声も、自身の体でさえスローモーション映像のように見えた。
そんな中少女はふと視界に入った宝物を庇うように抱きしめた。
まるで自分に赤子を殺人鬼から庇おうとする母親のように。
そんな少女が死ぬ間際に考えたことは一