消し去りたい恋愛昔話
初めて会った第一印象
それはバイオレンス・アンサー
あなたと付き合う人なんていない
そう思ってた
この気持ちが恋だと気づくまでは……
でも、私から声をかける事は出来なかった。
だって言うことがいつもバイオレンスなんだよ?
わけがわからない……
どうしてあんな人を好きになっちゃったんだろう……
そんな私の気持ちを知ってか知らずか
いつもあなたの方から声をかけてきた
その度に私の胸は激しくなる
本当は私の気持ちに最初から知っていたの?
それとも私をバイオレンス・アンサーでからかいたかったの?
「でも、あの時の私はどちらでも良かったの……」
「あなたと一緒にいられた時間が、一番幸せだったから……」
「ふーん……、そ・れ・か・ら?」
「それからね……、え?」
夫は背後に今までに感じた事の無い殺気を感じ、後ろを振り向くと、そこには妻が立っていた。
そして、ゆっくりと夫の右手からスマホを取り上げると、あり得ないほどの怒声を夫に浴びせる。
「一体何をやってるのよ!! あなたは!! 娘に変なことを吹き込むなって何度も何度も言ってるでしょ!?」
「変なことも何も……、これ、君がWeb小説サイトに投稿したやつだよ?」
「分かってるわよ! そんな事! そうじゃなくて、そんな私の黒歴史を聞かせるなって言ってるのよ!!」
妻の黒れ……過去を娘に暴露した夫は、平然とこんな事を言ってのける。
「うーん、この昔話は、今までで最高傑作なんだけど、どうしてウケないのかなぁ?」
「こんな黒歴史、最高傑作な訳無いでしょう!? 一体何を考えているの!?」
そして妻は一言、
「あなたが思っているほど、周りは面白いとは思って無いからね……?」
「それにしても、俺達の出会いを黒歴史だなんて、酷くない?」
「酷くない!!」
ごめんなさい、
あぁ、ごめんなさい、
ごめんなさい。