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遺跡での戦い4

ブクマありがとうございます。


「おはようございます、ご主人様」

「お兄ちゃんおはよー」

「二人ともおはよう」


 サングイネの街についた次の日、二人に起こされる形で僕は起きた。ちなみに二人とも僕とは別のベッドの方で眠ってもらっている。サラちゃんは少し不服そうだったけど僕とルナとで交互に寝たらいいと言ったら納得してくれた。ここにどれだけいるかはわからないけど、彼女たちとはまだまだ一緒に旅をすると思うからね。


「さて、と朝ごはんも自分たちで準備するんだっけ……でもできれば少しずらしたいな」

「そうですね……ユキ様とカナデ様を起こしてきます」

「隣の部屋だね。お願い」


 ルナが部屋から出て行った。そして隣の部屋をノックする音が聞こえてくる。さて、と。僕も着替えたいので


「サラちゃん、着替えにカナデたちの部屋に行ってね」

「うん、わかった!」


 サラちゃんが元気良く部屋から出て行く。こうなることならさっきの時にルナと一緒に外に出した方がよかったかな? 隣とはいえクラスメートと出会うことを考えたら、明日からはそうしよう。そう思っていたらサラちゃんが戻ってきた。


「お兄ちゃん! ご飯いこ!」

「サラちゃん、ノックは……いや、もともとこの部屋はサラちゃんの部屋だったね」


 もう着替え終えていたから問題ないけどさ。てかご飯って、下にクラスメートいないのだろうか。まあ食べ盛りの女の子が食べたい時に食べさせるのも保護者の務めだし、別にいっか。部屋の外に出たら、みんなもう準備ができていた。


「今は下に人がほとんどいないみたいですよ」

「そうなのか? でも、助かる」

「アカリの故郷って吸血鬼とかエルフとか珍しいみたいじゃない。余計なトラブルは避けたいもの」


 カナデが鳥たちに聞いてくれたのか誰もいない時間帯に食事をすることができた。昨日もカナデのおかげでクラスメートが誰もいない時間に食事をとることができたんだよね。


「今朝は僕が作るよ。みんなは座ってて」

「ありがとうございます」

「わーーい」


 昨日ユキたちが買ってきてくれた食材を使って簡単な食事を作る。まあ、卵を茹でてパンに挟むだけだから正直料理とは言わないのかもしれないけどさ。でも、こうして調理器具が揃っているのはありがたい。野外だとどうしても雑になっちゃうからね。


「じゃ、いただきます」

「いただきまーす」


 食事の前の挨拶をして僕たちは食べ始める。食べながら、今日の予定を確認する。ユキが僕に聞いてきた。


「今日はどうするの?」

「できる限り早めに宝玉を手に入れたいから、初日からで申し訳ないけど今日から攻略するよ」

「そう、わかったわ」

「ダンジョン攻略だー」


 簡単に今日の予定を話して一時解散ということにする。僕は準備といっても神杖を持ってくるだけだから一足先に下に降りてみんなを待っていた。みんなを待っている時に神崎が上から降りてきた。久留米、市ヶ谷さん、栞も一緒だ。神崎は僕がいるのに少し驚いたように話し始めた。


「あ、湊。お前は……もう食べたんだな」

「そうだね。お前らは今からだろ? 席譲るよ」

「え? もう上がっちゃうの?」

「栞、湊も湊の用事があるんだし、引き止めるのも」

「ん? そういえば僕たちと一緒に行動するんだっけ? それから今から出発するんだ」

「あ、そういえばそうだったな」


 栞を見て思い出したのだけどそういえばそんなことを言われていたよな。やべっ、カナデとユキにまだ話していなかったよ。栞はなんのことかわからずに不思議そうにしている。


「お兄ちゃん、なんの話?」

「ああ、少しだけ湊のパーティーに入っていいよって話。昨日話した時に決めたんだ。ひとまず湊たちが地下遺跡で目的を達するまで、お前をパーティーに入れるって」

「え? そうなの!」

「う、うん。そうだよ」


 神崎の言葉を聞いて栞はかなり嬉しそうに僕の方を向いてきた。神崎の言葉に嘘はないのでその言葉を肯定する。と、なればサラちゃんと連携を取ってもらわないとね。


「アカリー、準備できたわよ。あ、市ヶ谷さん。昨日はありがとう」

「カナデさんにユキさん、おはよう。いいよー気にしないで」


 栞をパーティーに入れた時のシュミレーションを頭の中で考えていたら、カナデとユキが降りてきた。そうだ。この際に言っておいた方がいいだろうな。


「二人とも、栞が一時的に一緒に同行することになったんだけど大丈夫か?」

「まあ、仕方がないわよ」

「そうですね」


 あれ? なんか思っていたよりもスムーズに進んだっていうか。ユキ、この未来を視えていたな。もしかしたら僕が神崎から言われたことも知っている可能性も高いのだけど。二人ならそれが可能だし。


「そういうわけで、神崎さん? よろしくね」

「よろしく、カナデさんにユキさん……あれ? もう一人いなかった?」

「あーヒヨリは今故郷に帰っているんだ。それから他に二人いるけど気にしないでくれ」

「お兄ちゃん準備できたよー。あ、なんかいっぱい人いる」

「ユキ様たちもいるみたいですね。では、向かいましょうか」

「え、えっと……」


 ちょうどいいタイミングで二人が降りてきてくれた。二人の姿を見てかなり驚いているけど……いや、それは市ヶ谷さんも久留米も同じだけど。そんな僕のクラスメートの反応を見てユキがため息混じりに言った。


「やっぱり時間をずらして正解だったわね」

「神崎、みんなに説明しておいてくれ」

「お、おう。それでお前たちはどうするんだ?」

「今日からもう攻略……というか目的のものを探す」

「そっか。なら、いや、栞を待った方がいいか」

「それもそうか。案内もしてもらるしな」

「ちょっと待っててね」


 そして僕たちは栞がご飯を食べ終わるのを待った。そして栞の準備ができたのを見て、地下遺跡の方に向かっていった。しばらく歩いていると見るからに怪しげな建造物が見えてきた。柱があって、地下へと階段が続いている。そして案内してくれた栞の後について僕たちは階段を下りていく、そこには巨大な空間が広がっていた。


「うわぁ」

「すごいですね」

「私たちは毎日ここに来て、出現する魔物と戦っているんだ。もしかしたら近くにパーティーがいるかもしれないけど」

「そっか。案内してくれてありがとう。さて、とカナデ、いける?」

「この辺りの魔物は大抵殺されているみたいで厳しいです」

「そっか」

「適当に進んでいきましょう。ある程度はなんとかなると思うし」

「そっか。それじゃ、いこっか。栞? 大丈夫か?」

「え、ええ」


 少しだけ唖然としている栞を気にすることなく僕たちは進んでいく。カナデやユキの力を使えば楽にこの遺跡を進むことができそうだな。そんな風に楽観的に僕は考えていた。


「止まって!」

「ん?」


 しばらく歩いていたら、突然、ユキが叫んだ。何事かと思って止まったらユキが目の前の通路を指差して言う。


「この先に罠があるわ。アカリが串刺しになっていたもの」

「まじかよ」


 多分普通に歩いて引っかかったんだろうな。もう少し反射神経がよかったら結界を張ることで防ぐことができただろうに。さて、ユキが教えてくれたからなんとか避けたいんだけど……結界を貼り続けて突っ込むか?


「ユキ様、具体的にどんな罠でしょうか」

「上から岩の塊が落ちてくる感じよ」

「わかりました。では私が全部対処いたしますので、安心して進んでください」

「う、うん」


 僕が悩んでいるとルナが淡々と言った。その言葉を信じて僕たちは進む。そして進んだらユキが言ったように上から岩が落ちてきた。どうやって対処するのだろうと思ったら、


「ルナお姉ちゃんすごーい」

「ありがとうございます」

「すごい……」


 頭上を風が吹いていて、落ちてくる岩を全て粉々に砕いていた。なるほどね。これなら安心して進むことができるな。そしてまたしばらく進んでいると、今度はカナデがみんなに止まるように言った。


「どうしたんだ?」

「この先に何かがいます……ちょっと話してきますね」

「え? さすがに一人では」

「私がお伴します」

「ルナ、頼んだ」


 カナデは緊張しながらも進んでいった。先に行かせてしまったけど、大丈夫かな? ルナがついていっているから平気だと思うけど。そんな風にやきもきしながら待っているとすぐにカナデたちが戻ってきた。特に怪我らしき怪我をしている感じはしない。


「大丈夫だったか?」

「はい、すぐに抜ければこの先にいるゴブリンたちは襲ってこないそうです。また、この階層には宝玉はないそうです。下の階にあるのではないでしょうか」

「じゃあ階段を探さないとね」

「ついでに聞いておきました。こちらです」

「湊くんのパーティーってなんかすごいね」

「うん」


 なんていうか、すごいとしか言いようがない。カナデもユキも。二人の能力が強力なものであるとは知っていたけど、まさかここまでとは思ってもいなかったよ。そんなことを思いながら、僕たちは進んでいった。そしてしばらく進むと、目の前に下に降りれそうな階段が見えた。


「あ、あれは」

「あとはこの通路を進めばいいだけですね」

「それじゃ、行こうか」

「あぶない!」

「え?」


 ルナと一緒に警戒しながら進んでいった時だった。突然ユキが叫ぶ。もしかしてまた罠があるのかな。そう思って上を向いた。でも、特に何かが落ちてくる気配はない。


「どうしっ」


 後ろを振り返ったら、サラちゃん、カナデ、栞の三人が呆然としながら立っていた。……ん? 三人?


「ユキは!?」


 僕の質問に対して、サラちゃんが泣きそうになりながら教えてくれる。


「ユキお姉ちゃん……私たちをかばって、落ちちゃった」

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