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遺跡での戦い3

本日二話目の投稿になります。

ご注意ください。


「僕たちの能力を?」

「ええ、できれば、で構わないわ。私も知りたい、という程度のことだし」


 白園さんの聞きたいことに驚いて大声を上げてしまった。さすがにちょっと反省しないといけないな。白園さんもある程度予想していたのかかなり落ち着いていた。


「ごめん、悪いのだけど教えるわけにはいかないんだ……神崎もできれば教えないでくれると助かる」

「ああ、わかってるよ」

「あら、神崎くんは知っているのね」

「そしてできるのなら知っている人は少ない方がいいだろうな」

「ふーん、ならこれ以上聞くのはやめておくわ。ちなみにサラちゃんとかは?」

「お兄ちゃん? どうしよっか?」

「聞かないでほしいかな。うちの仲間はみんな特殊な能力だし」

「私もできるのならば隠したいです」

「わかったわ」


 二人の答えも聞いて白園さんはこれ以上聞いてくることはなかった。そして他の人にも聞かないように伝えておいた。正直言ったところで信じてもらえない能力が多いけどね。


「どうして気になったんだ?」

「みんながなにを願ったのか知りたかっただけよ。単なる好奇心」

「そうなのか」


 白園さんがこういうのを気にする人間だなんて知らなかったな。もしかしたら僕が旅に出ることがなく王宮にずっといたらクラスメートたちの意外な側面を知ることができたのかな。


『あら、橘たちのことを知れたじゃない』


 あいつらが人を殺すことに躊躇いがないっていうことだけだけどね。てかそういうのじゃなくてもっとこう……面白い感じの?


『どういう感じよ』


 あ、なんかものすごく呆れた感じの声が聞こえてきた。なんかユラムに呆れられるのも久しぶりな気がするな。って、そういうことじゃなくて。


「ま、私も聞きたいことが大体聞けたし、これで失礼するわ」

「わかった」


 そして白園さんは部屋から出て行った、さて、これで神崎と話すことができるわけだけど……さっきの流れで大体話しちゃったからな。


「久しぶり、だな、神崎」

「そう……だね」

『なんでそんなに気まずいのよ』


 いやぁ、なんかこう……改めて話すとなるとね。なんか話しづらいというかなんというか……。


「神崎様、であっていますでしょうか」

「え? うん、そうだけど」


 僕がなかなか話をしないからなのか、ルナが神崎に話しかけた。神崎はいきなりの様呼びに驚いているけどそれでもルナの言葉に反応する。


「ご主人様が宝玉を持ち出すことは問題ないのでしょうか」

「ああ、そういえばそうだな。僕たちが入るのは問題ないのはいいとして、何か持ち出しても問題ないのかな?」


 神崎が認めてくれたというか助けてくれるのはあくまで僕が入るまで。入ってから宝玉、もとい何か宝を手に入れたときにそれを神崎たちに渡したほうがいいのかは気になるところだな。しかし、僕の質問に対して神崎は答えようとしない。


「神崎? どうした?」

「おまっ、ご主人様って」

「あー、なんていうか」

「私はご主人様の奴隷ですので」

「ど、奴隷!?」


 ルナ、今だけはそれを言わないでいて欲しかったよ。とにかく誤解は早めに解いておかないといけない。僕は神崎にルナがもともと奴隷商に囚われていてそして成り行きで僕が買い取ったという話をした。


「なんでそんなことになるんだよ」

「だから成り行きだって……それから特に奴隷らしいことなんてさせてないぞ?」

「はい、ご主人様は私に夜伽をさせようとかはせず、ただ戦闘要員及び、旅の仲間として接してくれています……吸血鬼ということを気にされずに」

「夜伽って……まさか」

「いやいやいや、それこそ誤解だっつーの。同意なしにはしないって」

「お兄ちゃん、夜伽ってなに?」

「サラちゃんにはちょっと早い話だね! ルナ、ちょっと」


 そう言ってルナを部屋の隅に、サラちゃんには聞こえないところに移動してこっそりと話す。


「サラちゃんの前ではそういうことを言わない様にしてくれると助かる」

「そうですね。サラ様はまだ純真ですし」

「それから今だけは僕をご主人様ではなくアカリ様って言うようにして欲しいんだけど」

「神崎様の様子を見ればご主人様と呼ばれるのに不都合があることは予測がつきます。わかりました」

「よし、オッケー」


 そして僕とルナは元の位置に戻る。さて、まずはこちらに興味津々な顔をしているサラちゃんをなんとかしないといけないよね。こういうときに何て言えばいいんだろうか。神崎、ヘルプ頼む。そんな意味を込めて視線を送ると神崎はうなづいてくれた。


「サラちゃん、夜伽というのはね……というか、サラちゃんって何歳なの?」

「え? 15歳だけど」

「あ、うん」


 エルフって見た目年齢と実年齢にかなり差があるっていうのはよく有名だけど女子に向かって年齢を聞くという大罪を犯すことになるなんてね。まあ、とにかく見た目はともかくサラちゃんの年齢になら話しても大丈夫だろうね。


「えっとね、夜伽っていうのはものすごく簡単に言えば子作りのことなんだよね」

「なんか大人の人が顔を逸らす話題だよねー」

「とりあえずそういうもの、だから。僕たちと同じぐらいの見た目になればもう少し詳しい話をルナあたりが教えてくれると思う」

「はい、お任せください」

「これぐらいでいいかな?」

「はい、これくらいで大丈夫です」


 実際のところ僕自身もよくわかっていないからね。知識だけだし。


『童貞だもんね』


 ……なにも聞かなかったことにしよう。それに、色恋よりも今は橘たちを救う方を優先したい。そしてさりげなくルナに投げてしまったのも申し訳ない。奴隷ってこういう使い方をすればいいんだよね? てかルナはなんで知っているんだ? いや、吸血鬼も同様に見た目年齢詐欺だから実は年上なんて可能性もあるわけか。年齢しらないし。


「それで、湊は何か聞きたいことはないのか?」

「あーそうだなぁ」


 場の空気を変えるように少し大きめの声で神崎が聞いてくる。聞きたい事、って言われてもそこまで知りたいと思うことなんて特にないんだけど。そう思っていたら神崎の方から質問が来た。


「なあ、湊はどうやって人と戦う覚悟を決めたんだ? こないだの時、お前は人と戦うことを躊躇っていなかっただろ?」

「ん? まあ、そうしなければ生きていけなかったからだけど……でもどうしてそんなことを聞くんだ?」

「魔王と戦うっていうことは人と戦うってことだからな」

「ん?」


 誰だって自分が死にそうになったら戦うだろ。でも、あれ? 小沼山たちが魔王候補として今いるって話していなかったよな? でも、神崎の口調では魔王が人であるということを確信している口ぶりなんだけど。僕の反応を見て、神崎は僕が知らないと思ったのか、教えてくれた。


「意外だな。湊が知らないなんて。魔王って人間だぞ? そもそも俺たちがイメージするような魔族なんていないし」

「そ、そうなのか」

「そもそも初代魔王なんて女性だったらしいしな」

「そうなのか」


 へえ、それは正直驚いた。まあ最近では魔王という職も男性だけではなく女性が就ている風になっていたし、魔王=男性と思い込むのは男女平等という観点から見て差別かもしれない。気をつけよう。


『……』


 ユラム? なにか言いたげな感じだけどどうかしたのか?


『別に、関係ないわ』


 なら、いいんだけどね。でも、今は話を戻そうか。人と戦うってことなんだけど……、


「お前は普通に戦えてなかったっけ?」


 直接見たわけではないけれど、こいつは王都の通り魔と普通に戦っていたと思う。なら、先ほどの質問の意図がよくわからない。


「俺はいいんだけど、クラスメートのなかには人と戦うってだけで躊躇してしまうやつもいてな……それが自然なことだとわかっているけど、実戦では戦いでためらえば死ぬからな」

「だから地下遺跡で慣らしている、と」

「そうだな。ゴブリンとか人型もいるし……俺の場合はその通り魔と戦ったから吹っ切れたけどそうでもないやつもいたしさ。まあ俺が戦闘系の能力を持っていたっていうのも大きいけどさ」

「なるほどな」

「だから戦闘系じゃない湊の意見を聞けたらって思ったけど……わるいな」

「いや、別にいいけどよ」


 さっき神崎も言っていたけど戦えないのが普通だから。むしろ今の僕みたいに戦うことに躊躇いを覚えない方が異常だから。


 僕も神崎もこれ以上話すことがなかったので、神崎の部屋から出て行った。明日の朝、地下遺跡の攻略について具体的に話をすることになった。僕としてもこういう時にユキがいてくれた方が心強いからね。

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