神の声を聞く少女3
ブクマありがとうございます
「それで…巫女ってどんななんだ? さっきは説明の途中だったし」
そのあとは特に何か会話をするわけでもなく……といっても残ったらさらなる気まずさに襲われそうになったので、さっさと薬草を適当に集めてから帰ってきた。そのあと、ギルドの受付嬢に良い宿屋を聞いてそこにいった。
気になる料金は食事付きで1日銅貨5枚、今日の分の報酬が全部消えてしまった(なんだかんだで半分は収穫した)。そして今、食事を済ませてからベットに横になり、ユラムに質問することにした。
『ん? まあ、さっきの子が言った通りよ』
怪我の治療とか占いとか?
『そうね。神様の使いだし』
ふーん、現代でいうところの占い師と医者の合わせ技みたいなものなのかな。
『医者は別にいるわよ。ただ、多少治療が行えるってだけ……そうね、看護婦の方が近いかしら』
「ああ、そっちか」
それでカナデさんはそんなことが一切できないから悩んでいると。でも神様の声を聞くとなれば当然他のことがおろそかになるのって明らかじゃないのか? そこで悩む必要ないと思うけど。
『うーん、売り出され方が神様の声を聞く巫女って感じだから悩んでいるんじゃないかしら? 本人かなり真面目そうだし』
それはわかる。ちょっと話しただけだけどかなり真面目で自分の今の仕事に真摯に向き合っているような気がする。だから…そこに付け込まれたんだろうな。
『そんなところでしょうね』
「どこの世界にも卑しいことを考える奴がいるんだな」
『ええ、さすがに見過ごすわけにはいかないわね』
「そうえいばカナデさんの能力って実際のところなんなんだ?」
方針が定まってきとところでユラムにカナデさんの能力について聞いて見る。今こいつはそこそこ僕の言葉に耳を傾けてくれているしきっと、答えてくれるだろう。まあ、神様の声を聞くというのが近い能力だろうしその系統なんだろうけど。
『あなたはどうだと思う? 』
「クイズ形式? 」
『そうね……一発で当てることができたら教えてあげるわ』
そううまくはいかないか。というか一発と言われてもね……僕他の人の能力をほとんど知らないから何も言えないんだけど。
『ヒントはたくさんあるじゃない』
あるのかな? 僕は今日のことを振り返ってみる。怪しかったところといえば……カナデさんができることが天気予報とそれから身近な探し物……ダメだ考えても出てこない。
『えーせめて答えようよ。ほら、気になったこととかない? 』
「え? うーん、彼女が相談を受けて答える前に…鳥たちが鳴いていたことぐらいかな」
『どうして? 』
「だって、おかしいでしょ。なんでわざわざ鳥たちが止まるように……というかあそこに天窓が作られているの自体が不自然だよな」
そもそも協会ってあんなの作られているっけ?いや、そもそも僕自身がよく知らないからなんとも言えないけどさ。
『うーん、着眼点はいいわね』
「ははっ、まさか鳥たちと話せるってか? 」
『もういいわ……それで合ってるわ』
「は? 」
神様じゃなくて鳥たちの声が聞こえるってことかよ……あ、なるほど! 野生の感というか、古来より生き物たちは雨とかが近づくとわかるってよく聞くしそういうものなのだろうな。それに忘れ物も……上空から俯瞰で見て……?
『違うわよ。あの子の能力は「自然の導き手」。動植物の言葉が聞き取れるってことよ……言葉を理解できる個体が少ないから一方的なことが多いけど。でもああして助けてもらえているってことは、彼女の優しさ故でしょうね』
そうなのか。って、ということはユラムが僕にもっと協力的だったらたくさんのことを教えてもらえるってことに他ならないよね。
『今ので充分だろうと思うのは私だけかしら?』
全くそうですね。ごもっともです。というかカナデさんの能力もよく教えてくれたな。結構サービスしてもらった気がする。
『しょうがないでしょ? ここの動物たちが私にこんなに期待してくれてるんだし。とにかく一旦寝ましょうか。疲れてるでしょ』
「そうだね」
僕はそのまま眠りについた。思っていたよりも疲れが溜まっていたのだろう。あっという間に眠ってしまった。そして次の日……、
「今日は聞き込みでもしようかな」
『そうね…私も少し気になるし』
「全部わかってるんじゃないのか? 」
『そうだけど…それじゃあつまらないからあえて知らないことにしてるの』
「えぇ……」
それなんの縛りプレイだよ。全部知って僕に教えてくれてもいいのに……ま、それだと僕がしたいことができないしこれでいいのかもね。それに、屈託なく僕と会話もできるし。
『そうねぇ……知っていることを隠すのってなかなか辛いものなのよね』
「それはちょっとわかるかも」
自分の手で頑張りたいって気持ちはね。さてと、とりあえず聞き込みをしていくか。できれば村だったころの人から話を聞きたいんだけど……あの老人に聞いてみるか。
「すみません」
「ん? どうした? 」
「えっと……この街の領主ってどんな方なんですか? こんなに発展している街を修めている方ですからとても素晴らしい方なんでしょうね」
「ああ、ギンガ様のことかい? あの人はすごいよ……坊主は知らないだろうけどほんの10年前はここは寂れた村でね」
「そうだったんですか? 今はもうこんなに」
「それがギンガ様の偉業なんだよ」
『まあ1日で家を建てることができる能力もあるからね』
なにその一夜城みたいな能力は。確かにそんな能力があったのならここまで発展というか家がたくさん建つんだろうな。
「へえ、そういえばこの街には素晴らしい巫女もいるとか」
「ああ、カナデちゃんのことかい? 」
ここで初めて老人の顔が曇った。今まではいかにギンガというやつが優れた人物であるか話していたのに急に暗い表情をした。
「どうか、されたのですか? 」
「あの子もね……ちょっと前に見たときはかなり悲しそうな顔をしていたからね」
「なにか……あったのですか? 」
すると、僕の方に胡散臭そうな視線を向けてきた。まずいと思った瞬間には老人はかなり固い声で僕に向かって呟いた。
「おい坊主……お前なにを嗅ぎ回っている」
「え? いや、ちょっと気になって」
「そうかい。だが悪いが俺も知らねえよ。あの子が今どんな思いをしているかなんてな。でも言っておくがな、あの子が不幸になることをしようっていうのなら……殺すぞ」
「わ、わかりました」
僕はその場を去る。もう少し情報を手に入れたいけどこれ以上は危険だ。それに色々と収穫があったしね。カナデさんが村からの人々にかなり慕われていることがわかった。これはうまいこと誘導すればカナデさんを救うことができるかもしれない。
『あら、村人を頼るの? 』
「人に頼れって言ったのはそっちだろ」
『まあ、そうね』
また教会に向かう。今は誰もカナデさんに会いに行っていないみたいだ。だから教会にいるのは……女性が一人と昨日はいなかった男が一人。筋肉隆々で多分用心棒かなんかなのかな。でも見た感じ客っぽい感じじゃないんだよな。
「あ、アカリさん」
「こんにちわ、カナデさん」
「今日はどうされたのですか? 」
「あー今日も占いをして欲しくて」
ノープランで来てしまったから慌てていい加減な言葉をはく。もう少し具体的に作戦を考えてから来ればよかった。まああんな用心棒がいるなんて予想もしていなかったけどさ。
「占い、ですか? ですが私は」
「実は悩んでいることがありまして……それを実行するべきか否か教えて欲しいのですよ」
「はぁ」
僕の言葉にかなり困惑の表情をしている。
『……』
ユラムの沈黙が痛い。いや、だって咄嗟に出てきた言葉がこれだったから仕方がないでしょ? そんなに責めるように言わなくたっていいでしょ。
『まあ、いいわ……もう少し話しておきなさい。布石は打っておくものよ』
え? なんの布石? 全くわからないんだけど。僕もまた困惑してしまう。同様にカナデさんも困惑していた。そして困惑しながらも教えてくれた内容は、
「えっと、少し待てとお告げが? 」
「……」
お告げ? どういうことなのだろうと上の方を見てみれば小鳥が数匹いるのが見えた。なるほどね。納得した。どうやら鳥たちが僕に……ユラムに助けを求めているからここの街にいるようにとお願いしているわけね。




