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日々を繰り返す少女の憂鬱

ブクマありがとうございます。

頑張ります。


「えっと……行ってくるね、お兄ちゃん」

「ああ、元気でな」

「またね、シンくん」


 僕たちはエルフの里を出発した。だから今の僕の旅の仲間はカナデ、ヒヨリ、ユキ、ルナ、サラちゃんの五人。まあユラムも入れたらもう1柱追加だけど……てか女子率高いなぁ。これは確かに栞に誤解されてもしかたがない気がしてきた。それで、これからどこに向かおうかな。そんな僕にユキが聞いてくる。


「アカリ、次の目的地はどこ?」

「あーちょっと待って」


 ユラム、次はどこだ? まあ、教えてくれないのなら、適当に旅するっていうのでもいいけどさ。サラちゃんにはああ言ったけどのんびりになったとしても、別に構わないし。


『残っているのはあと二つよね。一つはちょっと面倒なところにあるし、もう一つはサングイネにあるわ』

「サングイネにするよ……どこか知ってる?」

「王都に大分近いところだったと思うわ。最近なんか地下遺跡が発見されたって聞いてるわよ」

「じゃあ、そこにあるのかな?」


 場所を教えたらユキから情報が与えられた。地下遺跡か……なんとも怪しげな場所があるもんだ。でも、これが面倒な場所じゃないってことはもう一つの場所ってどれだけなんだろうか。いや、今までのが大分楽だっただけでこれが普通なのかもしれないな。今までだと村長とかが持っているケースとかそんなのばっかりだったもんな。


「そこに向かおう。カナデ、案内できる?」

「はい、大丈夫です。鳥たちに聞いてみますね」

「カナデさんってそんなこともできるんですね」

「はい、私の能力で道に迷うことは決してないですよ」


 サラちゃんの素直な賞賛にカナデは嬉しそうに話している。カナデの能力ってこういう時とかに本当に役立つからね。そして僕たちはカナデの案内のもと、サングイネへと旅立っていった。





 それから一週間ぐらいたった時のこと。急にヒヨリがそわそわし始めた。何か気になることがあるかのように。


「あ……このあたり」

「ヒヨリ? どうしたの?」

「い、いや、なんでもないわ」


 なんでもないのなら、そんな風に慌てなくてもいいと思うのだけどね。見るからに精神的に不安定そうなのだけど……不思議に思いながらユキと顔を見合わせる。この中で一番ヒヨリと付き合いが長いのはユキだ。


「何か気になることでもあるのかな?」

「……一応念のためだけどアカリはこれ以上踏み込まないでね? 私が対処するから」

「そうですね。断定はできませんが可能性はありますし」

「?」


 えっと……カナデとユキにものすごい強い口調で関わることをやめろって言われた。断定はできないけどって何か掴んでいるのなら教えて欲しいのだけどね。ヒヨリは僕にとって大切な仲間だから。まあでも悩みとかは基本的に同性の方が話しやすいか。


『アカリって変態?』


 おいこら、誰が変態だ。てか今の一連の流れでどこに変態の要素が出てくるんだよ。さすがに酷すぎるぞ。でも、ここで下手に口を開いたらヤバそうな気しかしないのでみんなから少しだけ距離を取る。ルナも何か言いたげな視線を向けてきているからね。唯一何もわかってなさそうなのはサラちゃんだ。


「ヒヨリお姉ちゃん大丈夫かな?」

「大丈夫じゃなかな? 何かあればユキたちがなんとかしてくれるだろうし」

「お兄ちゃんは何もしないの?」

「さっき関わるなって言われたんだよ」


 純真無垢な感じで言われるのはかなりキツイ。でも、僕やヒヨリに対しての呼び方からわかるようにサラちゃんもかなり僕たちに慣れてきた。さん付けでちょっと距離があった感じがいつの間にかお兄ちゃん、お姉ちゃんって感じでかなり親しげに話してくれるようになった。最初に僕にお兄ちゃんって言ったから……多分里に残してきたシンくんのことを思い出してつい溢れてしまったのだろうけど、今は使命も何もないし、これが自然のサラちゃんなのだろう。


「もー頭撫でないでよ」

「ごめんごめん」


 つい、和んでしまって頭を撫でてしまったら、すぐに拒絶されてしまった。まあ言葉では拒絶しているけどそこまで嫌がっている感じはしない。僕としても妹と接しているような感じになる。


『ロリコン』


 お前さっきから僕に対して容赦ないな。いつもはもう少し優しめな対応をしてくれるのだけど今日はやけに厳しい気がするのだけど。


『あなたが怪しい対応をするからじゃないの……まあ、戦いの前に少しでも緊張を和らげようっていう心遣いもあるのだけどね』

「え?」

「アカリ?」

「ご主人様」

「助けてくれーーーーーー」


 ユラムからの言葉を聞いて驚きの声を上げた瞬間に、ルナが何かに気がついたようだった。そして、それと同時に前方から叫び声が聞こえてきた。


「ルナ! 行くよ! ヒヨリはここでみんなの護衛」

「ええ、いつものね」

「かしこまりました」


 いつものようにルナとヒヨリに声をかけてルナと二人で走っていく。少し走るとそこには骸骨に追われている男の人の姿があった。


「あれは……?」

「スケルトン、ですね、白骨死体が動き出したものです。動きはそこまで早くありませんが、再生能力が厄介です」

『言うまでもないことだけどあいつらはもう死んでいるから「純潔」と言った精神系の能力はあんまり効果ないわよ。弱点としては炎で間違いないわ』

「助かる」


 ユラムからのありがたい言葉を聞いて僕は作戦を考える。……炎を出す方法がわからないのだけど。


「ルナ、炎って出せる?」

「乾いた風が吹いていますので、自然発火を引き起こすことは可能です……それにある程度砂煙を撒くことができれば」

「粉塵爆発ね、了解」

「あ、あんたらは! 助けてくれ」

「大丈夫です」


 男の人に近づくことができた。そして僕たちが助けることを告げる。男の人は一瞬だけどルナの顔を見て驚いたよう表情をしたけれどすぐに戻した。


「た、頼む……急に襲ってきたんだ」

「わかってますよ……向こうに僕の仲間がいます」

「わ、わかった。ありがとう」


 ユキたちのことを教えるとそのまま礼を言って男は後ろの方に走って行った。さて、どうするかな。僕の目の前にいるのは白骨した人間の形をした生き物……いや、死んでいるんだっけ? スケルトンって言う名前らしいけど、それが見た感じ全部で10体。


「それじゃあ、僕が相手を一箇所に誘導していくからルナがまとめて焼き殺して」

「わかりました」


 ルナと簡単に打ち合わせをして僕はスケルトンの群れに突っ込んでいく。ここで僕が前に飛び出た理由としてはルナがまとめて燃やすという選択肢のためと、それからもう少し近接戦闘での経験をつけておきたかったから。これから先、絶対に橘と戦う可能性がある。その時のことを考えたら経験をしておいても損はない。


「はっ」


 スケルトンたちのことをよく観察する。あいつらは手に木の棒とかそういうものを持っているからそこそこのリーチはあるとみていい。囲まれそうになったらおそらくルナが援護してくれるだろうけど……とにかくさっき言ったように一箇所に集める工夫をした方がいいな。


「このやろっ」


 とりあえず物は試しとして近くにいたスケルトンの頭に神杖をぶつける。やけにいい音がしたけど、向こうも特に傷ついたとかそんなことはなかった。


『あんたもう少し大事にしなさいよ』


 いや、だって絶対に壊れないっていう安心感があるので……。僕が殴ったスケルトンの視線は僕の方に向いてくる。痛みは感じないのかもしれないが衝撃は感じるようだ。だから周りのスケルトンにも当てるように神杖を振り回す。


『後ろ! 頭上』

「おっけー」


 膝の力を抜いてしゃがみこんで、後ろからの攻撃を避ける。どうやら木の棒で殴ってきたようで僕が急にしゃがんだことで僕の前にいたスケルトンにぶつかる。よし、初動は完璧、あとはいい感じにみんなを引きつけよう。

もしよければ、ブクマ評価、感想などしていただけると嬉しいです。

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