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神の武器2

今までの話を一部改訂しています。

また、文章の書き方なども変更しています

 

「小沼山、それに世良!お前ら…どうしてここに?」

「湊こそ、どうしたんだよ」


 教会の前に立っている二人組がいたからどんな奴らかと思ったらクラスメートだった。思いもよらない再会に驚くしかない。それにしても、こいつら王宮から召喚されてなかったけど……ん? あれ? ちょっと待って。


『そうね、恐らくだけど、あいつ(邪神)関連のところに喚ばれたのは間違いないわね』


 ユラムの言うように、それしか考えられない。小沼山達也このやまたつやに、世良風春せらかぜはる。まさかこいつらがいるなんてな。二人ともクラスでそこまで中心的な人物ではなかったけど……あ、そういえば世良のやつは佐倉さくらをいじめていたっけな。佐倉は確か王宮にいたけど元気かな。


『神杖のことは隠しておきなさいね』


 わかってるって。それは隠さないといけないし……。そこら辺のことを思いながら僕は二人と会話を続ける。できれば情報を引き出したいな。


「僕? 僕は旅をしているんだけどその過程でこの村に寄ったんだよ」

「俺たちと同じだな」

「それで……後ろの女たちは? 」

「ああ、僕の連れ」

「連れ、か」


 あれ? こいつらも急に冷たくなったぞ。最近こんなのが多いんだけど。僕そんなにいろいろなところから恨みつらみを持たれるようなことをした覚えなんて全くないんだけど。でも二人も旅をしているのか……まあ異世界にやってきたら大抵冒険の旅に出たくなるよね。


『今の自分を客観的に見てみればわかるんじゃない?』


 客観的に、ねぇ。僕の周りにいるのはカナデとユキとヒヨリ……うん、わかったよ。これってぱっと見ハーレムっぽいね。


『「ぽい」じゃなくて、「そう」なのよ』


 いやだって僕に好意を持っているのって(無自覚の)ユキだけでしょ? 小説にあるように全員が好意を持っているわけじゃないし。そんなことを脳内会話で繰り広げていると、小沼山が何かを吐き捨てるように呟いた。


「神崎さんはなんでこいつを」

「え? 」

「いや、なんでもない。俺たちはもう用事を済ませたから帰るわ、またな湊」

「おう、またな」


 そう言って二人はどこかへと去って行った。小沼山はなんて言ったのだろうか。気になるけどなんでもないっていう言葉を信じよう。それにしても久しぶりに会ったのだからもう少し話していたかったな。


 ……ただ、口では興味ないって感じだけどこの場所に来ているってことはきっとあいつらも神杖を狙っているとみて間違いないだろうな。はぁ、できれば争いたくないんだけどね。さて、ユキたちに説明しないといけないな。さっきから質問したそうに見てきてるし。


「アカリ、あいつらって? 」

「ああ、元クラスメート……じゃ、ないな。僕の故郷の人間なんだ」

「へえ! アカリの。でもどうしてここに? 」

「多分……あいつらも神杖を狙っていると思う」

「えぇ!? じゃあ……私たちの敵となるってことですか? 」

「どうだろう……」


 でも、早いところ彼らが邪神教の人たちであるということを伝えたいのだけどそれをするためには僕が転移者であることを話さないといけなくなるんだよね。これならいっその事ユラムのことを話した時についでに話しておけばよかった。


「そういえばさっきあいつらアカリのことを『湊』って呼んでいたけどどういう事?」

「ああ、僕の名字みたいなものなんだ」


 そういえばそっちの説明もしていなかったな。ただ、カナデには以前伝えたような気がするけど……あ、そういえば。


「ユキも名字ってあるのか? 」

「ええ、あるわ。私の名前はユキ・イルスタって言うの」

「アカリも名字があるってことはどこかの貴族なのか? 」

「いや、違うよ……僕の故郷ではこれが普通なんだ」

「そうなのね……」


 こういう風に説明するしかない。ユキが少しだけ考え込んでいるようだけど、僕はみんなを急かすことにした。ここで自分の正体を晒す流れになったとして、こんなところだと誰が聞いているかわからないからね。


「ねえ、そろそろ入らない? いつまでも外にいるわけにはいかないでしょ? 」

「まあ……それも、そうね」


 教会の前で陣取っていたらかなり迷惑だもんね。ユキもなんやかんやで納得してくれたみたいだ。そして僕たちは教会の中に入るべく、扉をノックする。


「はい」


 扉を叩いたらすぐに扉が開いて修道服を着た女性が顔を出した。そして僕たちの姿を見て、訝しそうにしているけど、それでも職務からか、ちゃんと僕たちに聞いてくる。


「何かご用でしょうか」

「あの、この教会に神の杖があると聞いてきたのですが、見せていただくことはできますか? 」

「……構いませんよ」


 扉が完全に開く。少しだけ断られるかなって思ったけどそういうことは特になく、僕たちは教会の中へと入ることができた。中に入るとカナデがあたりを見渡してつぶやく。


「あ、私がいたところとちょっと違いますね」

「あなたも修道女だったのですか? 」

「あ、私は巫女です」


 カナデの言葉に驚いたように修道女は聞いている。まあ巫女は東洋で修道女ってどちらかといえば西洋のイメージがあるから違うだろうな。教会はアニメとかでみる教会とほとんど変わらないかった。奥の方を見てみれば一本の杖が置かれていてその前に机があり、さらにその前に椅子が並んでいる。


「あれが、神杖…」


 僕はその神杖に近づいて行った。この神杖になぜだか無性に惹きつけられる。また、ユキも同じように近づいていく。


「あ、近寄ってはいけません! ……きゃあ! 」

「え? 」

「きゃっ」

「ん? 」


 あんまり近づけたくないのだろう。修道女が僕たちを止めようとした。しかし、次に何かにつまづいたように悲鳴をあげる。そして次にユキが同じように悲鳴をあげる。えっと……どうしたんだ? どうして僕だけ何もないのだろう。


「なぜ私が弾かれるのですか」

「急に近寄れなくなった…」

「え? 」


 二人の言っている意味がよくわからない。近寄れなくなったって……それならどうして僕は同じように弾かれなかったんだ? ユラムがいたから結界に弾かれなかったのか?


 そんなことがあったけれど、僕は杖のところにたどり着いた。でも、ここで杖をとるわけにはいかないよな。だから僕はその杖をみるだけで済ませることにした。特におかしな感じは見られないんだよね。


「これが、杖、か」


 しかもただの杖じゃない。ユラムが使っていたという杖だ。これさえあれば……僕にも戦える力が手に入る。でも、これを取るということは……村人たちに恨まれる可能性があるということ。そもそも盗ること自体窃盗罪に問われるかもしれない。元々はユラムの持ち物、だったとしても。


「アカリー? 大丈夫? 」

「え? ああ、大丈夫だよ」


 ヒヨリが聞いてくるけど特に問題はない。さて、と。とりあえず実物を見ることができたわけだけど、どうしようかな。そんなことを思っていたら、ユラムが急に提案してきた。


『あ、そうだ。アカリ。あんた今日ここに泊まったらどうかしら?』

「え? 」

「アカリ? 」

「あ、ははは」


 修道女がいるから迂闊なことを話せない。それにしても、ユラム、お前どういうつもりでそんなことを言ったんだよ。


『え? 今日ここに泊まったらいいって思っただけよ? それにそうすれば、宿の問題は解決するじゃない』

「それもそうだな……」


 まあ、確かに、一理ある。なので僕は修道女に聞いてみることにした。


「あの、すみません。今日ここに泊まってもいいですか? 」

「え? 」

「……ここに、ですか? 」

「はい。もちろん杖を盗もうとは思いません」

「……あなただけ杖に弾かれなかったのは何か、理由があるのでしょう。わかりました。では、今日だけですよ」

「ありがとうございます」


 というわけで、僕は教会に泊めてもらえることになった。いや、これは本当にありがたいよ。さっきユラムが言っていたように宿の問題も解決したからね。


 でも、僕はもう少し考えるべきだった。ユラムがただの好意だけで僕にアドバイスをすることがないということを。そして始まる、僕が最も忘れられない、覚悟を決める夜が。

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