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日々を繰り返す少女

ブクマありがとうございます

今回から次の話に移ります

 

「つきましたよ。ここが目的地栄華(えいか)です」

「栄華」


 がっつり漢字なんだな。まあそれは置いておいて、とにかく僕、カナデさん、ワタルさんの三人は無事に侯爵様のいるという都市にやってきた。いや道中ワタルさんがいて助かったよ。色々と探りをいれられたけどのらりくらりと誤魔化して、自分の出身とか能力とかワタルさんが本当に聞きたかったことは一切話さなかった。


「栄えてる……」

「まあ一大都市ですからね」

「それで…まずはどこに向かうんですか? 宿屋? 」

「いえ、侯爵様のところに向かいましょう」

「わかりました」


 それにしても、と思う。ワタルさんはこの道中にて僕たちの旅費を全て負担してくれた。監視しているから……という名目らしい。まあこの人なりの罪滅ぼしというかそんな感じなのだろうな


「わかりました。案内していただけますか? 」

「ふふっ、アカリさんって本当に何も知らないんだね」


 カナデさんに笑われてしまう。もうこの世界においての無知なのは仕方がないので言葉はスルーする。そして二人の案内で僕は侯爵のところへと向かう。館に向かうにつれてかなり大きな館が見えて来る。うわぁ、あのギンガってやつの家よりもかなり大きいな。


「まあ一介の街の領主と侯爵様とでは比べるのも失礼だよ……っとついたよ。ここだ」


 そして僕たちは侯爵様の館に到着した。そして中にいる使用人を呼んで話し合っている。向こうにも話が言っているようですぐに僕たちは通されてさあ僕たちはご対面だ。


「お待たせいたしました」

「すまないな。こんなことをしてしまって」

「いえ……その、お久しぶりです」


 扉が開いて入ってきたのは中年のおじさんだった。金髪で目が青い。うん、普通にイケメンの部類になるだろうな。見た目から判断するわけにはいかないけれどカナデさんを罪に問うような人には見えない。ただそイケメンであるのならば当然僕の敵だ。


『それを言ってみてよ』


 嫌だよ。そんなことを言おうものなら絶対に殺されてしまう。侯爵は僕たちに座るように勧めると静かに語り始めた。


「さて、私が君を呼んだ理由はわかっているな? 」

「はい、私の能力詐称の件について、ですよね」

「ああ……あ、この者たちにお茶を」

「畏まりました」


 侯爵は使用人に指示を出してお茶を運ばせた。そしてお茶が運ばれてくる。毒が入っているか疑いたくなるけどワタルさんもいるし下手なことはできないだろう。


「おいしい」

「ええ、従者の方も遠慮せずに」

「はい、ありがとうございます」


 僕の言われて一口飲む。うん、おいしいな。飲んでいるとリラックスできる。一息ついてリラックスできたのかカナデさんが意を決して話始める。


「それで私の能力についてですが」

「君は神の声を聞けるわけではないのだな? 」

「はい、正確には私が聞く声は神様ではなくて、動物たちの声みたいです」

「そうか……」

『神の声を聞けるのはカナデじゃなくてアカリの方ね』


 それは間違っていないんだけど、なんか僕がいたたまれない気分になるのでやめてください。そして侯爵は僕の気まずさなんて一切気にも留めないで話を続ける。


「ワタルといったな」

「はい」

「この者たちは信頼できるか? 」

「ギンガの不正を正した者と……それから巫女として市民の敬意を集めていた者です。信用できるかと」

「そうか、巫女よ」

「はい」

「私がそなたに相談した内容を覚えているか?」

「はい、『これから私のするべきことについての占いをしてくれ』ですよね」

「ああ、それには理由がある。私には娘が一人いる」

「存じております」

「ああ、親の私が言うのもなんだがとても美しい娘でな、だが……私の娘は、明日死ぬ」

「え? 」


 思わず、口から声が漏れてしまった。明日死ぬ? それってようは不治の病とかにかかっているとかそういうことなのか?


『そういう呪いがあるのよ』


 まじですか。呪い。異世界だからそういうものもあるのね。あ、でも言われてみれば昔は陰陽道とかそういった類もあったしそこまでおかしな話でもないのか。侯爵は僕の方を見たけれども僕が納得したような顔をしていたのですぐにカナデさんに視線を戻した。


「私の娘は呪われていて……その呪いを解くためにあちこちから祈祷師を集めているのだ。それでなんとかなると信じて、だから最後の綱として君を頼ったのだ。君に、神に聞いてうまくいくとわかれば……そう思っていたのだが」

「それは……」


 なんか予想以上にやばい展開なんだけど。これは…カナデさん大丈夫かな?そこまでの思いで来たのにそれが実は偽物でしたって辛すぎる。一応聞くけど『嫌よ』そうですね


「それで君への罰なんだが…」

「はい」

「私の娘を助けることができれば、見逃してあげよう。だが、もしできなければ、君達にも死んでもらう」

「僕もなんですね」


 今さりげなく僕もいれましたね……こんなに巻き込まれるなんて思ってもいなかったけど。


「待ってくださいアカリさんは」

「問答無用」

「はい……」

『しょうがないわね。出来ることはしてあげるわよ。呪いを解く手段ぐらいは教えてあげる』


 それだけでも充分です。それを教えてあげればあとは人海戦術と財産を駆使して協力してくれそうな気がする。娘を助けるためにここまでしてくれているしきっとそうだろう。それよりも大事なことがある。侯爵に無礼を承知で質問する。


「それで、娘さんに会うことは可能ですか? 」

「それは構わないが、会ってどうする? 」

「実際に見たらカナデさんの能力で動物たちから情報を聞けるかもしれませんし」

「それもそうだな」

「では、私はこちらで待っております」


 ワタルさんは残るみたいだ。なんとなくこの人は娘を他人と合わせたくないみたいだし空気を読んだのかな?


『あれじゃない? 万一娘があんたなんかに惚れてしまったらとか考えているんでしょ』


 そんな漫画みたいなことがあるわけないでしょうが。僕は空気を読む気が全くないのでカナデさんと一緒についていくことにする。


 僕とカナデさんは侯爵についてその娘の部屋に向かう。娘の部屋は3階にある一室のようで、そこに近づくとなんだか少しだけムズ痒さを感じた。


『これは、結界かしら? まあ大したことはないけど』

「ここら辺は呪いの蔓延を防ぐために結界を貼らせてるんだ。何か感じても気にするな」

「そうなんですね」


 僕が思わず立ち止まったら解説が入る。言外に帰れって言われている気がするけどそれも無視する。そして僕たちは部屋の中に入った。部屋の中にはベットとそれから本棚があるがそれだけだ。部屋の換気をしているのか窓が開いている。すると侯爵はずかずかと窓に近づいていき、


「ユキ、お前またあいつと話していたのか」

「申し訳ありません、お父様」


 ベットの中で寝ていた少女のか細い声が聞こえてくる。僕はユキと呼ばれた少女の方を見る。親譲りなのだろう金色の髪の毛と青い目が特徴的な美少女だった。


『あ、むこうじゃなくて見に来た人が惚れる可能性もあったか一人娘となれば跡取りとかを気にしなきゃいけないのかー』


 まあこんなに美しい少女ならば一目惚れするような男がたくさんいるのだろうな。僕は違うけどね、多分。


「お父様、この人たちは? 」

「ああ、お前の呪いを解くために来てくれた人たちだよ」

「カナデです」

「アカリです」

「カナデさんに、アカリさんね。よろしくお願いします」

『これはなかなか厄介な呪いにかかっているわね』


 そうなのか? よくわからないけどユラムがいうのなら間違いないのだろう。その間にもカナデさんとユキさんの会話は進んで行く。


「はい、私たちが全力でユキ様をお救いいたします」

「お父様、この人たちにも無理させないでくださいね」

「ああ、わかっている。お前はゆっくり休みなさい」

「お休みなさい」


 その言葉とともに、ユキさんは眠ってしまった。疲れていたのかな? でも、自然に僕たちを気遣ってくれるあたり、かなり優しい性格だな。


「ユキは……呪いにかけられてからかなり病弱になってしまったんだ」

「そうですか」


 呪いってかなり大変なんだな。僕たちは部屋から出て、そして侯爵から簡単な説明を受けて、そして僕たちは館から出て行った。いや、正確には追い出されたといった方が近いかもしれない。近くにいないと呪いを解けないでしょって思ったけどもう、期待していないのかもな。


『まあ最後ぐらい親娘で過ごしたいってのもあるのかもね』


 期待されていないけど、頑張るしかないか。このままだと僕たち、死んでしまうから。

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