表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/120

神の声を聞く少女6

ブクマありがとうございます

 

『で、どこを調べるの? 』

「怪しいのは書斎、かな」


 方針が定まったので行動を決めていく。それで目的の物があるのは一階のギンガの部屋か書斎、この辺りにある可能性が非常に高い、と思う。だからまずは書斎に入った。運がいいことに最初にガラスを割ったところ、そこが書斎だったみたいだ。なので外から侵入することができた。さて、書類を探しているわけだけど……まあ、目に付きやすいところに置いてあるわけはないよね。


『あの子が足止めしておいてくれてよかったわね』

「それを教えてくれるユラムにも感謝だよ」


 どうやら二階のあそこでカナデさんがギンガたちと話をしていたらしい。時間稼ぎをしてくれているのならそれをありがたく使わせてもらうとするか。多分だけど、これも生き物たちが僕の様子を伝えてくれているからなのだろうな。血が点々と続いているから追跡されたらおしまいだし。


「隠し金庫とかないのかな……」

『ちょっと待って。さっきのネズミが』

「え? 」


 壁のとある部分にネズミが居座っている。その場所になにかあるのかな? ん? よく見ればちょっとしたところに凹みがあるな。なんだろう。


「うわっ」


 その凹みに従って取り外してみたら中にちょっとした空間があっていくつか書類が置かれている。えっと……これはもしかして何かやばい書類なのだろうか? というか隠し金庫的なやつか。壁に耳あり障子に目あり。いつどこでどんな生き物が見つめているかわからない……さすがに動物まで気にしだしたら無理だけど。


『書類をまとめてそこの窓から外に出しなさい、はやく』


 切羽詰まった声で言われたので急いで丸めて窓を開けて外に放り投げる。日記らしきものもあったけれどそれは丸めることができないのでそれはそのまま外に出す。壁の凹みもちゃんと直しておくことを忘れない。するとすぐにちょっと大きめの鳥たちがやってきてその丸めた書類を掴んで飛び去っていった。どこに飛んで行ったんだ?


『ギルド会館に運んでもらったわ。あそこなら中立機関だし問題ないでしょう。それよりも……来たわよ』

「ん? 」


 次の瞬間、この部屋の扉が開かれてギンガが入ってきた。うっわ、見つかってしまった。そしてギンガは入ってくるなり僕に問い詰める。


「こんなところで何をしている」

「お前の不正の証拠を探していたんだ」

「ふむ、そんなものは存在しないので痛くもかゆくもないがな」


 どうだか。まあそれが本当のことでギルドに送ったあの書類がただの資料の可能性もあるわけだけどそれは僕の知ったことではない。もう送ってしまったんだしどうしようもないというのが本音だけどね。それに、まだ資料を見つけたことを知られないように敢えて証拠を探しているんだと強調する。向こうも僕に味方がいないと思っているから効果はあるだろう。


「そっか、なら見つけても構わないよな? 」

「窓からは逃げさせんぞ。さっき番犬を放ったからな」

『全部こっちの味方だけどね』


 ちっ、さりげなく窓の方に移動したら番犬の存在をチラつかされた。にしてもあいつ飼っている犬にまで嫌われてるのかよ。それだけカナデさんの人徳が素晴らしいってことなんだけどね。なら、それを利用させてもらうか。


「じゃあ、逃げてみるよ」

「バカが」


 僕はそのまま窓から身を乗り出して外に脱出する。相手は老人だから戦うという選択肢を取っても良かったのだけどもし後ろにハヤテが潜んでいるとしたらまずいし、そもそも戦って勝てるのかという問題もある。


『どちらと戦ってもあなたの負けよ』


 はい、そうですか。まあギンガの能力やばそうだした。手から刀を出すとか。それって全身から武器を出すことができるってことだろうし。銃とか出されたら避けることができる気がしない。


「犬の餌食に…ならないだと!? 」

「日頃の行いだな! 」

「貴様ら…私の日頃の恩を忘れたのか。誰が貴様らの餌代をだしていると思ってる」

『カナデが稼いだお金出しそもそも餌をやっているのもカナデよ』


 あのじいさん……さすがにそれで恩を着せるのは間違っているだろ。さて、これで上手いこと脱出できたわけだしこのまま逃げることにしよう。そのまま館の外に逃げようとしたら急に犬たちが吠え出した。え?


『あの子と一緒に出ないと喰い殺すって言っているわよ。気をつけてね』


 おい!僕にも牙を剥くのか。いや、最初からカナデさんの敵だけを攻撃するってことで統一しているしな。つまり僕の命運は彼女と一緒に死ぬか生き残るかの2択ってことかよ。慌てて僕は館の方に戻っていく。とにかく協力する姿勢を持たないと殺されてしまう。犬以下の存在になっているの悲しい。これも僕が弱いからだけど。


『あの子は生き残るわよ?あなたが死ぬか生きるかってだけ』


 はいはい。つまりはこれってこの館において命がけの鬼ごっこということなんだね。そして僕がカナデさんを助けようとする限り動物たちがみんな味方してくれると。そういえば人は? この館にも当然使用人とかいるよね?


『うーん、まああの子の味方だけど、あなたを助けてくれるとは思えないわね。動物たちは私経由でなんとかなるけど人には伝えられないし』


 じゃあ誰かに見つかってしまったらおしまいと。でもこの館に忍び込んでいる不審者って僕ぐらいだから助けてくれそうなんだけど……って角を曲がったらちらほら見えるな。館を回り込むことが難しいんだけど。


 それに、僕がカナデさんをこの館から連れ出そうとしたことは事実だしそこを突かれると何も言えない。でもひとまずはカナデさんのところに行かないと話にならないな。ギルドの人があの書類を読んでこっちに向かってくるまでにどれくらいの時間が掛かる?


『うーん、まあ内容によるけどやばいこと書かれてたら早いはずよ』


 まあギルドのは当てにしてはいけないってことかな。正直結構期待しているんだけどね。で、多分僕が外にいることがわかったギンガの奴は使用人に外に出るように伝えるはずだから、


 近くにある石を持ってもう一度窓を割る。それはさっき書類を見つけた部屋の隣だ。


「あの野郎。また窓を割りやがった」


 そしてそのままさっき出た窓のところから侵入する。どうやらギンガのやつは部屋から出て行ったみたいだけど警戒が薄すぎないかな? いや……これは罠かもしれない。なのですぐに机の下に隠れる。すると、それと同時に部屋の扉が開く音がした。


「奴は多分この部屋に侵入したはずだ…窓を割ったのは陽動に違いない」

「それだと遠くの部屋の窓を割るのではないですか?」

「無理だな。使用人たちが外を徘徊しておる。それに見つからずに回りこむのは不可能だ。それにやつは血を流している。これも長距離を動くのが難しい理由だ」

「なるほど」


 声の感じからして入ってきたのはギンガとハヤテの二人だろうな。亀の甲より年の功というか僕の企みなんてすぐにわかってしまうだろうな。てことはここにいるのもまずいのか?


「ではこの部屋に……しかし隠れる場所など」

「ああ、恐らくこのつくっ」


 ギンガの言葉が途中で遮られる。と、同時に犬の鳴き声が部屋中に響き渡った。


『今のうちに!』


 よくわからないけど、机から飛び出す。見れば犬たちが窓から中に入ってきてギンガとハヤテを襲っている。なるほどね。さて、ここはもう一度外に出るべきか? いや、それよりも、


 机の上に置いてある瓶を手に取る。中には……よし、インクが入っているな。それを犬に気を取られていて僕のことを忘れてしまっているハヤテの顔に向かって投げつける。


「ぐっ、目潰しか」


 瓶がぶつかってハヤテの顔に黒インクがかかる。いい感じに目潰しになったはずだ。そして脇を抜け…ようとしたら思いっきり殴られた。そのまま吹き飛ばされて、壁に激突する。気配でも感じ取られたのかな。


「がっ」

「よくやったぞ、ハヤテ」


 ギンガの方を見れば、血の滴る刀を手に持ちながらこちらに向かってくる。犬たちが床に倒れている。全部……殺されてしまったのか。


「目を洗ってきます」

「おお、私がこいつを殺すから洗ってくるがいい」


 ハヤテが部屋から出て行く。そしてギンガは僕の方へとゆっくり歩いてくる。まずい。すこしふらつきながらもなんとか立ち上がる。


「さて、どうやって殺されたい? 」

「せめて僕にも武器を渡してくれないか? 」

「自分の能力を使えばいいだろう」


 僕の能力って戦闘系じゃないんですよねー。他に使えるものがないかあたりを見渡してみる。短剣とか置いていないのかな。


「無駄だよ。この部屋には何も置いていない」

「!」


 手に持った刀をそのまま振り下ろしてくる。肩に少しかすってしまった。痛みに耐えながら僕は机が障害物となるように飛びついて移動する。机の上にある羽ペン。あれを使うか。


「そんなもので何ができる? 」

「ないよりはマシなんだよ」


 机を中心してぐるぐると回っていく。刀もそこまで長くないし振り下ろそうにも机が邪魔で振り下ろせまい。これですこしは時間稼ぎができるはず……でもハヤテが戻ってくる瞬間に窓から逃げればならないな。すると、ギンガが不敵に笑う。


「私の刀の射程距離はこの程度ではないんだよ」

「え? 」


 次の瞬間、手から刀が伸びてきて僕の肩を突き刺す。まじかよ、伸びるのか。そのまま上の方向に斬られる。痛い。そしいて痛みのせいで動きが怯んだ一瞬の隙に距離を詰められてしまった


 そのまま壁に追い込まれて、さっき突き刺さった肩とは逆の方の肩に突き刺してきて、壁に固定された。


「これで、終わりだ」


 もう一方の手で僕の心臓に手を当て、刀を生み出そうとする……殺される。そう思った次の瞬間に、部屋の扉が開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ