決戦2
ブクマありがとうございます。
これからも頑張ります。
「有利、ね。それで何ができるっていうんだよ『色欲』」
「!」
僕に対して紫色の光が向かってくる。これは……『純潔』の能力なんだろうな。これは一切僕に効かない。あ、でも、
「僕が普段使う名称と違う……」
薄々感じていたけど、七草たちが宝玉を使う時って七つの大罪がモチーフだよね。そして、それに対応している宝玉の名前がわからないのは痛い。まあ、ある程度はわかるからなんとかなるだろうけど。
「『暴風雨』」
「くっ」
風が吹き荒れて僕に向かってくる。ギリギリで後ろに避けたから直撃することはなかった。それでも大分風に流されてしまった。
「なぜ、幻術をかけてても動くことができる」
「あやつに精神系は効かぬ。伝えてなかったな」
「お前は橘の中から見ていたもんな!」
でも、その言葉は何も間違っていない。だから『純潔』の能力を受けずに済んだ。ついでに言えば七草が『分別』の能力を使うこともわかっていた。だって、それくらいしか、戦いで役に立ちそうな能力はないからね。
「くそっお前の能力をコピーしたところで意味ないし」
「てか、今僕無能力だからね?」
『勤勉』の力を使おうにも……ん? 僕以外から奪えばいい気がする。能力を使うことができる条件って自分の近くにいるだからね。まあ、ルナの能力は似たものがあるし、カナデやサラちゃんの能力は使えない。使えるのってユキぐらいか? ヒヨリは僕と同じく能力を失っているし。
「貴様ら……役に立たない能力ばかりだな。まだ神崎の方がいい能力を持っていたぞ」
「カタログスペックだけを見て、話すんじゃねえよ」
「先読みができれば、お前に攻撃を必ず当てることができるな!『雷』」
「くそっ」
仲間たちの能力をバカにされたから言い返す。この状況下では確かにそこまで便利とは言えないけど、カナデの能力は彼女自身の優しさの賜物だしヒヨリは覚悟の、サラちゃんは誰も死なせない信念を表している。それはそうと、やっぱり先を読まれてしまったみたいで雷に激突する。
「あれ? どうして感電してないんだ」
「はぁ……はぁ……」
危なかった。ギリギリで雷を王宮の外に飛ばしたから、なんとか生き残ることができた。『慈愛』の能力で移動させることができるのは物質だから、雷とかを移動させることができるみたいだ。
「七草、あれは『嫉妬』の力だ。雷を移動させた」
「ちっ、役立つ能力だけ奪っていったのか」
「偶々なんだけどね……」
これで雷もある程度封殺することができた。しかも、ユラムの力を利用していないから制限がないに等しい。その分、効果がかなり落ちているけど、それでもなんとかなるだろう。
「でも、僕からの有効打もない」
物を移動って言ってもここの広間の壁を移動させて七草の上に落とすとか絶対にできないし、回復なんて攻撃とは程遠いからどうしようもない。まあ、それは七草の方も同じだから……もうこれ直接殴りに行った方がいいんじゃないか?
「!、殴ってきた!?」
「こうでもしないと無理だからね」
そうと決まれば善は急げだ。七草の方に近寄っていく。七草も僕にどんな風に能力を使用するか考えているみたいなので僕に能力を使ってこなかった。なので接近することに成功した。
「はっ」
当然、馬鹿正直に殴ったところで意味はないのでフェイントをいれる。それに、近づいたことで『暴風』などの風系統の能力を封じることにも成功した。右手を前に出して注意を引きつつ、左手で殴る。
「うわっ」
「?」
綺麗に左手が七草の顔面に命中する。こいつ……そこまで闘い慣れしていない? そういえばエルフの里にいた時もずっと後ろの方にいて基本的に戦っていたのは橘や坂上だったしな。
「あああ『傲慢』!」
「くっ」
結界が貼られたことで殴ることが中断された。思いっきり殴ったことで反動で少しだけ血が出てしまった。そのまま右足で蹴ってみてもまったくひび割れるどころか反動でこっちが痛い始末だ。
「いった」
「その血をよこせ」
「なら結界を解けよ」
なんだろう。橘と戦っている時と比べてかなりレベルが低い感じになっている。でも、どうすれば勝つことができるかは見えた。そのために、しなければいけないことは。痛みで一旦距離を取りたいけどこのチャンスを逃すわけにはいかないし、痛みをこらえながら殴り続ける。
「いい加減にしろ!」
「うわっ」
七草がついにキレて僕を弾き飛ばした。まあずっと目の前で叩かれたら誰だって苛立ちを覚えるよね。てか、やっぱり七草は戦闘経験がかなり浅いみたいだな。神杖で殴ったり、その場から移動したりすればいいのにね。エルフの里をみても、こいつほとんど動いていなかったし。
「距離ができたね『嵐』」
「ちっ」
そこそこ広間が大きいことを最大限利用して僕は走り回る。風の渦があちこちで発生しているけど……あれって『慈愛』で飛ばすことってできるのかな?
「『慈愛』……なるほどね」
目の前に現れて避けることができないと思ったから能力を使ってみたら確かに飛ばすことは成功したけど勢いを送ることはできないみたいだ。風を送ったけど、単なる空気の塊だったみたいで、七草の近くに送ってみたけど吹き飛ばすことができなかった。
「さっさと死ねよ『雷』」
「『慈愛』……そろそろまずいな」
七草はどれだけ能力を使用している? 僕との戦いだけでもかなりの数、そして僕の前にも神崎と戦っている。今はまだ邪神が軽減させているから平気だろうけど、それを解除してしまったら……それを考えるだけでも恐ろしい。
「ん? どうした? 平等にして欲しいのか?」
「ちっ、今のままでいいよ」
「何の話だ?」
邪神の方をちらっとみたらその真意を簡単に読み取られてしまった。そして白々しくもそんなことを言ってくる。このやろう、わかって言ってやがるな。そして七草も平等という言葉に引っかかりを覚えたようだった。
「なに、少しだけ貴様に手を貸しているだけのこと」
「……」
「それを解除した方がいいか?」
「七草! やめておけ。今のままでいい」
わざと挑発するような物言いをする邪神。でも、それを解除してしまったら、絶対にやばい。
「ああ、それでいい。こやつは言っておるぞ。お前なぞハンデがあっても勝てると」
「おい!」
こいつがなにを考えているのかわからないが、このままではやばいことだけはわかる。だからそれを止めようとしたのだけど……。
「ふざけんな。俺なんぞ目じゃないっていうのか……おい、こいつと平等にしろ!」
「ああ、わかった」
「やめろ!」
僕の声が届くことなく、七草は邪神の加護を解除してしまった。そして邪神がおもむろに指を鳴らすと……
「ぐわあああああああ」
「え?」
「七草!」
急に苦しみ始める。そして同時に口から大量の血を吐き出している。確か一回の戦闘で三回が限度なんだよな……それを軽く超えているし。
「おい……なにをした」
「ああ、言ってなかったな。宝玉の本来の力はな、人の手には過ぎた力でな。使いすぎれば死ぬぞ」
「な、なんで」
「七草、しっかりしろ『節制』、サラちゃん!」
「うん!」
倒れてしまった七草の元に慌てて駆け寄る。そして同時にサラちゃんを呼び、二人で回復魔法をかける。でも、七草の容体は全く良くなる気配がない。
「た、たすけ」
「これでも貴様の願いを叶えてやったのだぞ? 特別な力が欲しいとな……そこのやつを倒して7つの宝玉を手に入れればもっと特別になれたのに」
「く、くそっ」
「アルム!!!」
僕は邪神に向かって叫ぶ。日暮の時もそうだけど、こいつ、どうして人の望みを微妙に変えて叶えているんだよ。それでは、絶対に誰も幸せにならない。
「なぜ睨む、我は人のくだらない欲を叶えているだけなのに」
「くだらないって言うなよ」
「はぁ……お、俺は」
「七草! もうしゃべるな」
「うるせえ」
「きゃああああ」
またしても発動した結界で僕とそれから七草を回復させるために近寄っていたサラちゃんが吹き飛ばされる。これ以上、七草に能力を使用させるわけにはいかない。
「また無駄なあがきをするのか」
「そんなことしないよ」
また七草に近寄ろうとしたら、バカにしたように笑ってくる。いや、もう結界を殴るのは疲れた。だから、
「?、なにをする気だ?」
「『慈愛』」
結界に触れて、そのまま結界を移動させる。移す先は当然、神杖だ。
「うわっ」
神杖を中心にして結界が広がり、七草の手から離れる。そして、神杖から手が離れたことで結界が消える。
「まてっ」
「待つかよ『純潔』」
「!」
その隙を当然見逃すことなんてしなくて神杖に向かって手を伸ばす。そして掴んだ瞬間に七草に向けて幻術をかけて無理矢理眠らせる。不意を突くことに成功したのか、七草をその場に眠らせることに成功する。
「サラちゃん、ヒヨリ、七草を頼む」
「わかった!」
「わかったわ」
二人に頼んで僕は邪神を見据える。そして二つの宝玉を入れ……完成された神杖を手に持つ。……絶対にお前だけは許さない。




