王子達と司書長 ユーエン目線
勢いで書いています。
誤字脱字だらけでごめんなさい。
いつものようにアルティナを図書館の入口に送っていく途中、前方から三人の王子が歩いてくるのが見え、僕はアルティナを背後に隠した。
「やあ、ユーエンおはよう」
第一王子で僕の親友であるディランダル王子の挨拶にゆっくりと頭を下げる。
何故か後ろにいたアルティナが僕に張り付くようにし背中にしがみついたのが解った。
「おい、ユーエン！背後に令嬢の幽霊がとりついてるぞ」
「もう！嫌だな～ライアス兄さん、幽霊じゃなくてご令嬢だよ！」
出来ることなら見せたくないが挨拶させないわけにはいかないか？
「アルティナ、殿下方にご挨拶を」
僕の言葉にアルティナは渋々僕の背後から出ると頭を下げた。
王子達が息を飲んだのが解った。
「ああ、声を失ったユーエンのところの末の姫君だね。はじめまして」
ディランダル王子の言葉にアルティナは頭を上げて苦笑いを浮かべた。
その時、ライアス様とファル様がアルティナの前に立った。
アルティナは驚いたのか僕の後ろに隠れ直した。
「アルティナ」
僕が声をかけると、背後からメモ紙を僕の手に押し付けた。
文字を書くスピードが早くなっていると感心しながらメモを見る。
『私のせいで婚約のお話が無くなったので、合わせる顔がありません』
なるほど。
どう見ても、ライアス様とファル様はアルティナに一目惚れでもしていそうな顔で、どうにかアルティナの顔を見ようと僕の背後を覗きこんでいる。
「では、ディランダル様アルティナを図書館に送り届けたら執務室にまいります」
僕が頭を下げてその場を立ち去ろうとすると、ライアス様に腕を掴まれた。
「そう慌てなくてもいいだろ？ユーエン、お茶！お茶でもどうだ？妹君も一緒に」
「ライアス兄さん名案だね！」
二人が盛り上がる中アルティナに視線を向けると、せつな気な顔で後少しでたどり着く図書館のドアを見つめていた。
アルティナはお茶などではなく図書館に行きたいのだ。
お断りしなくては。
そう決めた時、また声をかけられた。
「王子様方とユーエン様おはようございます。おや？アルティナ様もいらっしゃったのですね？図書館は後少しでですが、どうされましたか？」
アルティナは声がした方を見るとぱ～っと明るい笑顔を作った。
「そういえば、アルティナ様。この間おっしゃられた料理長へのプレゼントの件ですが、自分なりに考えた結果、紅茶かハンドクリームなどが喜ばれるじゃないでしょうか？」
この人物は確か図書館を取り仕切る司書長だったはずだが、こんなに饒舌に喋っているのをはじめて見た気がする。
アルティナは僕から離れると司書長にメモ帳に何かを書いて手渡していた。
「手作りですか？そうですね。では、必要な本を揃えましょう」
司書長は気難しい人間のはずだが、いつの間に仲良くなったんだ？
「ユーエン様、宜しければアルティナ様を図書館までエスコートいたしますが？心配であればご一緒にどうでしょうか？」
アルティナを見ればメモ帳に『シジャル様とお友達になりました。ダメでしたか？』と書いて僕に手渡してきた。
彼が本当に下心を持っていないとアルティナは思っているようだが、信用できるのか？
「アルティナは司書長と友人だと言っていますが……」
「そうですね。お互い本の虫なので本を読みはじめてしまえば、ほぼ会話はありませんが、友人というか同士と言ったところでしょうか？」
アルティナの読書の邪魔をしないなら良いか？
アルティナが司書長に好感は持てど好意を持っているようには見えないから大丈夫かも知れない。
「では、司書長くれぐれも友人の範囲内でお願いいたします」
「勿論。あまり知られていませんが、神聖な王立図書館で不埒な真似、盗難とうをするものがあれば司書には直ぐに解るよう感知の魔法がかかっているので安全ですよ」
司書長の言葉に、早めにアルティナの美しさに惑わされない護衛をつけるつもりだったが慌てずとも大丈夫そうだと思えた。
「図書館内は死角も多いので女性の安全を第一に考えさせていただいております。ご安心を」
「では、アルティナを頼みました」
「お任せください」
司書長はさりげなくアルティナに手を差し出した。
アルティナも躊躇うことなく司書の手をとった。
優雅なエスコートをする司書長に、あんな所作が出来たのかと感心してしまった。
「おい！ユーエン！妹を連れ戻してこい！」
「そうだよ！一緒にお茶したかった！」
ライアス様とファル様がブーブー言うなか、ディランダル様がクスクスと笑いながら言った。
「彼女、君達がグイグイ来るから怖がっちゃったんだよ。今、無理矢理お茶に誘えば二人の好感度は地に落ちるかもね！そう思わないかいユーエン」
「そうですね。すでに地に落ちているかも知れませんね」
僕は良い笑顔を王子達にむけた。
「ああ、ちなみにアルティナは働き者の男性を好ましく思うようなので働き者だと解れば好感度は上がるでしょう」
ライアス様とファル様は顔を見合わせると速足で歩き出した。
「私の弟達は本当に可愛いと思わないかい？」
残されたディランダル様はクスクスと笑いながら言った。
「そうでしょうか？」
「そうだろ？ユーエンのいいように誘導されたりなんかして、可愛いよ」
「……僕には存在するだけで可愛い妹達が居ますので」
ディランダル様はアハハハっと声を出して笑った。
「そうだね。君の妹達より可愛くはないね」
ディランダル王子は本気でツボに入ったようにお腹を抱えて笑い、僕は彼の背中をさすりながら彼が落ち着くのを苦笑いを浮かべて待つのだった。
お読みいただき幸せです！
