決意
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「単刀直入に聞く。アルティナ、司書長と婚約する気はあるか?」
兄と姉達に呼び出され何事かと思って来てみれば、突拍子もないことを言われた。
何故こんなことになったのか?
…………兄の勘違いから姉達が勘違いしたのは、何となく解る。
だが、話がとびすぎでは無いのか?
『ですが、シジャル様は婚約破棄したばかりだと聞いています』
私が書いて渡すと兄と姉達は眉間にシワを寄せた。
「だが、聞いた話では口約束レベルだったらしい。こちらから、ちゃんとした申し出として書面を送れば無理な話ではないと思う」
兄の言葉に姉達も激しく頷いていた。
「勿論、アルティナが嫌だと言えば止める」
「アルティナ、無理にとは言わないわ!でも、凄くいい人だって私は思ったわ」
兄とラフラ姉様の言葉に戸惑う。
そんな私に近寄ってきたリベリー姉様が私の頭を撫でながら言った。
「聞いても良いかしら?アルティナは司書長様と一緒にいてどう?」
私は首を傾げて考えてからメモ帳に『落ち着きます』と、書いて見せた。
「じゃあ、メイデルリーナさんの話を聞いた時はどうだったかしら?」
メイデルリーナさんと口約束とは言え婚約していて、好きだったと聞いた時は……『息が詰まるかと思いました』。
私が書いた言葉は、私が見ても好きだと言っているようなものだった。
小説の中のヒロイン達が感じるもどかしさを今、自分が体験しているのだ。
文字にしたから解った。
私はシジャル様が好きなのだ。
「アルティナ、司書長様は良い男性だわ。ほうって置いたら直ぐにアルティナ以外の女性にもっていかれてしまうんじゃないかしら?私だって結婚していなくてこの前のようにスマートに助けられたら運命を感じてしまうもの」
リベリー姉様の言葉は私の中に染み渡った。
シジャル様の側は居心地が良い。
でも、シジャル様が婚約や結婚をしてしまったら側にはいられない。
シジャル様はお優しい方だから、私以外の困ってる女性がいたら私にしてくれたように他の女性の味方になってしまう。
私は特別な存在じゃないから、他の女性と仲良くしてほしくないなんて我が儘は言えない。
『シジャル様に迷惑ではないでしょうか?』
私が書いた言葉に兄と姉達が苦笑いを浮かべた。
「私と姉様の調べたところ、司書長様はアルティナのことを妹か娘のように思っているみたい」
心臓を槍で貫かれたみたいな痛みがはしる。
思わず心臓の上に手をのせた。
「で、でも!メイデルリーナさんよりは好きだって言ってたわ!」
リベリー姉様のフォローに気持ちが少し浮上した。
「兎に角、アルティナは司書長と婚約を結びたいと思っていると思って良いんだな!」
兄の力強い言葉に私は小さく頷いた。
「解った。僕が必ずアルティナと司書長を結婚させてやる。だから、アルティナも司書長をその気にさせろ!」
兄の言葉に私は頭の中が真っ白になった。
えっ?その気にってなに?
どうやったら良いの?
「アルティナ、この話は司書長が嫌だと言ったら、どうにもならない話だ。アルティナが頑張って司書長にずっと一緒にいたいと思わせなければいけない話だ!解るな!」
解りたくない、でも、解ってしまう。
ずっと一緒にいたいと思わせる。
私は顔に不安を滲ませた。
「勿論、姉様も私も協力するわ!」
「そうよ!ラフラの言う通りよ!自信をもって!」
姉達の言葉に勇気をもらい、私は立ち上がった。
できることをするんだ!
シジャル様との穏やかな時間をキープするために!
私は拳を握りしめた。
そして、シジャル様を誘惑し、好きになってもらうと決意したのだった。
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