プロローグ
やった事ないので挑戦してみよう!と思って、投稿しました!
挑戦しなきゃ始まらない。それだけです!
水と風と生命を司る女神[エラ]。
その女神が中心となり管理する世界[ミラリア]。
人間と人間ではない種族が混在するこの世界では争いが絶える事は無く、
戦乱の世となっていた。
その事を女神は悲しみ、涙を流した。
流した涙はやがて天から地上へと紅い雨となって、
戦いの終わって間もない戦場に降り注いだ。
降り注いだ紅い雨は、戦で倒れた者達が流した血を洗い流し
飲み込むように混じりあった。
すると それが一つの存在へと変貌した。
それはこの世界で最初の吸血鬼である少女だった。
長い黒髪で肌の色は白い。
瞳の色は深紅の煌めきを宿していて、そのキレのある整った美しい顔立ちが
年齢の見当をつかせないものとしていてミステリアスであった。
そして、両手の掌には他者から血を吸収する為の口を隠し持っている。
女神[エラ]はこの吸血鬼の少女に、
我が子として[ティア]と言う名前を与えてこう言った。
「この争いに満ちた世界で、もし困っている人達が貴女の目の前に居たならば
手を貸して上げなさい。」
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二年後
日本の九州によく似た大陸[シムビコート]では、
覇権主義者の<人狼族>の王 [ガルフ]が
軍勢を率いて大陸全土を手中に収めようと戦火を拡げていた。
人狼族の軍勢は
その高い戦闘力と驚異的な身体再生能力を武器に
次々と他の種族らを破滅へと追いやっていった。
そしてとうとう、人間の国の領土まで進軍して
人間達と対峙する事になった。
人間達は必死で抗った。
けれども人狼族の勢いに押されてしまい、
日々追い込まれていった。
窮地に立たされる人間達。
だがここで、人間達の前に救いの手が差し伸べられた。
その手を差し出したのは吸血鬼の少女[ティア]だった。
彼女を見て「お前見たいな小娘に何が出来る!」と外見で判断する人間達に
彼女はその力を示して見せた。
その力は圧倒的で、人狼族の驚異的な身体再生能力を
両手の掌に隠し持つ口からの<吸血>により
無意味なものにして人狼族達を驚かせた。
そこからさらには、一騎当千の働きをして人狼族の軍勢を退けた。
こうして、人間達は破滅から救われた。
(後に、この戦いをその地名からクルディス夜戦と呼ぶようになる)
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クルディス夜戦より数年が経過。
人間達の国で過ごしていた[ティア]が、彼女が助けた人間達に何も言わず
突然姿を消して居なくなってしまった。
[ティア]が消えて数日後。
人間達が暮らす国から
得体の知れない<化け物>が徘徊するようになり
人々から血を吸い尽くしては増殖して[シムビコート]の各地へ広がっていった。
<化け物>は太陽の光を嫌い、夜や天気の悪い時に現れるという。
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更に一ヶ月経過。
段々と<化け物>は活発化し、行動はエスカレートしていた。
相変わらず太陽の光には弱いものの
逆に陽光が届かないなら
いつどこだろうと襲われてもおかしくない状況となり人々は
<暗がりの自由>を失った。
夜に眠る事は危険となり、
それまで暮らしの中で普通として行っていた行動が
制限される形となった。
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十年後。
<化け物>の影響が強く、
昼夜逆転生活の環境に適応性を持たない者は
もはや[シムビコート]で生きていくのは難しい。
もしくは睡眠を必要としない種族でなければ、辛い環境となるだろう。
かつての戦争で広大な領土を獲得した人狼族。
その人狼族が
今やこの大陸[シムビコート]で暮らしている
人口のほとんどを占めている。
人間より深い眠りを必要としない人狼族は、
彼ら人狼族の言葉で
[ヴァンパイア]と呼び
クルディス夜戦から憎み続けている<化け物>と
今も戦い続けている。
<第三者観測史録>より。