表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

第8話 ナルとメル、嬉しくなる

 いよいよブロワ対ナル、メル姉妹の決闘が始まります。

謎の女の人は誰なのか。

 そして、ナルとメルの強さの秘密とは?


 後書きに女王様登場ガクブル


「たちあいにん」になった女の人が、後ろに下がると、ブロワがこう言ったの。


「サプライズ子爵家当主が一子いっしブロワ、参る」


 けっとーって、むずかしい言葉を使うのね。なに言ってるのか分からないわ。


 おヒゲはジュモンを唱えてるわね。あれは、火のジュモンね。 

 ウチのコルナお姉ちゃんが得意だから知ってるの。

 でも、呪文を唱えるなんてダメね。

 パーパなんて呪文を唱えなくてもすごい魔法が使えるんだから。


 ああ、おヒゲのおじさんは、火の玉を飛ばす魔術で、メルを狙うみたいね。

 まあ、やってみればいいわ。

 ブロワは、剣で私にかかってくるみたい、


 最初におヒゲの火の玉が、メルに向かって飛んだわ。

 メルは、ひょいってよけてる。

 当り前よね。あんな遅い魔術なんて、当たるはずがないわ。


 よそ見してたから、ブロワがすぐ近くに来てたの。

 剣で私に切りかかってきたけど、それは遅すぎて、あくびが出るくらいだったわ。

 剣をかわした私が、彼の胸の所をちょっと押すと、ころころ転がって、見ている人達の外まで出ちゃったみたい。


 ブロワは倒れたままだから、あとはおヒゲのおじさんね。


 あれ? 

 メルしかいない。

 あー、あんな遠くの木から足が生えてる。


 私とメルは、本当はエインシェント・ドラゴンだから、人族より少し力が強いの。

 (作者注:エインシェント・ドラゴン=古代竜、竜の上位種、人化能力を持つ)


 周りを取りかこんでいた生徒たちから、すごいハクシュ。

 お姉ちゃんたちが、メルにお菓子を渡してる。


 あんなに食べると、ママにしかられちゃうから、半分もらってあげるわ。


 ◇


 私たち二人が、みんなに取りかこまれていると、まっ赤な顔をした、太った男の人が、ドスドス走ってきたの。

 誰だろう。


「決闘は中止じゃ。

 いや、やり直しじゃ」


「たちあいにん」をした女の人が、前に出てくる。


「私は今回の決闘の立会人ですが、あなたは?」


「ワシは、サプライズ子爵じゃ。

 お前は誰じゃ」


「分からないの?」


 あれ? この声、どこかで聞いたことある。


「どこの馬の骨とも知れぬ者を、知っとるはずがなかろうが!」


 女の人は、少し笑ったように見えたわ。

 それから、ゆっくり帽子を取ったの。

 きれいな長い黒髪がふわりと広がった。

 やっぱり。

 あの声、どこかで聞いたことがあると思ったんだよね。


「サプライズ、主の顔を忘れたか」


「ゲッ! 

 じょ、女王陛下……」


 私、「ゲッ」って言った人初めて見た。


「あっ、じょおーさまー」


 メルが女王様にくっついてる。

 私も、女王様にくっついちゃお。


「二人とも大変だったね」


 女王様が、二人の頭をいい子いい子してくれたの。


「あ、パーパ!」


 急にすぐそばにパーパが現れてびっくりしたの。

 これもパーパの魔法なの。


「ボー、あんたこの子たちに何かあったらどうするの!」


 なんかパーパがしかられてる。


「い、いや、そうならないように……」


「万が一があるでしょうが、万が一が」


「そ、それはそうだけど……」


「まあ、いいわ。

 久しぶりにいい気分転換になったから」


 そこで、女王様は、くるりと振りかえって、膝をついているサプライズさんの方を見た。


「サプライズ、お前と息子の行状は、本来なら爵位抹消と領地取りあげじゃ」


「そ、それだけは、どうか、どうかご勘弁を」


 サプライズは、女王様の前でガマルみたいになってるの。

 青くなってるからよけいにガマル。(作者注:ガマル=地球のカエルに似た魔獣)


「だが、この男がそういう処分は望まぬからの」


 女王様がパーパの方を指さした。


「お主の処分は保留といたそう」


 サプライズが、ホッとした顔をしたわ。

 こいつ、甘いわね。


「ただし」


 女王様が、少し笑いながら次の言葉を言ったの。

 すごくきれいな女王様が、そうすると、とっても怖い。


「これから、ナル、メルに誰かから決闘の申しこみや襲撃があれば、それが誰であれ、保留は取りけしじゃ」


「ひいいっ!」


「よくよくこの二人の周囲に気をつけることじゃ」


 さすが女王様ね。

 さっきまで敵だったサプライス家が、いつのまにか、「たのもしい」味方になってる。


「ああ、ボー、この後、あんたんのあれに入りに行ってもいいわよね」


 パーパの名前はシローなんだけど、女王様と勇者だけは、ボーって呼ぶの。

 女王様がパーパに言ってるのは、屋上にある「おんせんジャグジー」ね。

 時々おしのびで入りにきてるもん。


 パーパは大げさなおじぎをして、こう言ったの。


「これはこれは女王様」


「ばかっ!」


 まあ、パーパと女王様は「しんゆー」だから、いつもこんな感じなの。


 次の日から、学校では、イジメがなくなったみたい。

 キャシーの笑顔がすごく増えたの。

 だから、私もメルもとってもうれしいの。


-----------------------------------------------------------------------

ポータルズ外伝02 少女は初めて学校へ行く -異世界の学校って何 ?- ファンタジー世界入門 終了














 最後までお読みいただきありがとうございます。

「少女は初めて学校へ行く --異世界の学校って何 ?-- ファンタジー世界入門 ポータルズ外伝02」は、これにて終幕です。

 ナル、メルにもう一度会いたい方は、二人のパーパが主人公のお話、本編「ポータルズ」でどうぞ。

 本編最初のページには、読者様から頂いた、ナル、メルの素敵なイラストもあります。


 しかし、家族が過保護なまでに、二人の周囲を見張っていたのは、二人のためもありますが、二人にちょっかいをかける相手の身を心配してのことだったようです。


 ナル、メルとパーパとの出会い 「ポータルズ 冒険者世界編 第17話~20話」

 ナルとメルが登場するエピソード 「ポータルズ 学園都市世界編 第36話」

 ナルとメルが活躍するシーズン 「ポータルズ 聖樹世界編 竜人国編、天竜国編」

 特に、「ポータルズ 聖樹世界編 第15話 魔獣襲来」では二人が大活躍します。

ご期待ください。


「ねえ、作者」

「あっ、これは女王様」

「やっと私を出してくれたのね」

「は、はい。不肖私めとしては、常日頃から、女王様をお出ししようと全力を尽くしております」

「それにしては出番が少なくない?」

(ぎくっ)「えー、現在、『ポータルズ』の舞台はエルフの国、エルファリアでして……」

「言い訳は、よろしい!」

「ひいっ。『聖樹世界編』の最後にちょこっと、それから次のシーズン『地球一時帰還編』でも出させていただいております」

「あら、『地球一時帰還編』って、私がすごく活躍しそうじゃない」

「ええ、(小声:動画で)登場しておりますよ」

「とにかく、私をもっと出しなさいよね」

「はいっ! 承知しております」

「分かればいいのよ、分かれば」

女王陛下は、カツカツと足音を立てて去っていった。

誰か、この美少女、なんとかして~。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ