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あの日全てを失った   作者: 涙山 原点
10/13

家を出ると決めた日

リフォーム後、生活が始まった。梨花の転校手続きもし、気づけば夏になっていた。結生も9ヶ月になり歩き始めるあたりだった。

私達は父と住む時に生活の仕方を決めた。


光熱費などのお金は折半。

決めた食費以外は何も買わない。

自分の欲しいものは自分で買う。

買い物は私と里美が行く。


というシンプルなものだった。


しかし、いざ生活が始まると意外にも里美にたくさんと負担とストレスがかかっていた。それも予想以上に。


私は仕事行っている日がほとんどだったので、家の事は分からない。

しかし日に日に里美が元気というか言葉数が本当に少なくなり、生活を楽しんでいる様子は一切なかった。

それに今まで梨花に怒る事がなかったのに、最近はちょっとした事で怒り、出来ないと手をあげる様になっていた。

里美も複雑な表情で手をあげた事にいつも反省している様子だった。そんなに日々が続く様になっていた。

正直、里美の精神は不安定になっていた。生活への不安や二世帯からくる価値観の違い、誰にも相談できない辛さから、生活する楽しさをいつしか忘れ、人の目を気にしながら迷惑をかけないようにする。パパのお父さんにもダメな嫁なんて思われなきように完璧にこなさないと、という責任感からどんどんプレッシャーを与えていった。

私は当時はここまで里美が必死になっている事は知らなかった。気づかなかった。里美も私にそういう姿を一切見せず、不安もあまり口にしなかった。



私は心配になり、仕事を終え、帰宅した際に、里美に夜話したいと言った。




私は里美に「最近、大丈夫?無理してるみたいだけど、どうした?」と聞いた。

里美「別に何もないよ。」と答えた。


だが笑わない里美を見て絶対に無理してるのがわかった。

私は里美に「言いたくないならいいんだけど、もし話せるなら話してほしい。」と言った。


里美は少し黙る。それから口を開いた。「私、ごめん、もうここでの生活続けていく自信がないかも。」と言った。

私はなんとなくそうでは無いかと思っていたがまさか、生活していく自信がないとまで言われるとは思ってもいなかった。


理由を聞いて私は混乱した。



里美が限界と感じたのは住む前から少しあったらしいが、生活していくうちにそれは現実のものになったらしい。

元々、実家を売却すると決まった時に、両親と離れる事がとてもショックで、まさかお金に困っていたなんて知らなかったそうだ。


その後、私の実家に来たが、正直私も思うが、風呂や洗面所など、リフォームしていない所は崩壊している。

なんとか使える状況。里美はここの部分は使えるだけありがたいと思っていたが、その反面受け入れられない自分もいたそうだ。

せっかくリフォームしてくれたのだからと思い我慢していたそうだ。


私の父に対しては、いつもリビングにいるので、里美は自分の部屋にこもるようになったらしい。

最初は部屋にはこもらず、必死にお父さんとのコミニケーションを図ったが、上手く出来なかったそうだ。それは人に対しての恐怖症がまだ抜けていなかった事が原因にあった。

ひきもりの原因、理由は常に結生を父が抱っこし、触らせたくない金属の時計やらお金やらを結生のおもちゃとして与える。

結生はまだ小さく、わからないので色々と触ってしまうし、父も子育てなんてした事ないから、孫がやる事はかわいいくて仕方なかったんだと思う。

最初は良かったのだが、やめてほしい所はちゃんと言わないといけないと思い、頑張って父に話したそうだ。

当たり障りない様に私の父にできればお金とか口にも入れるから止めてくださいとお願いしたらしい。


父もごめんごめんとすぐやめさせたらしいが、里美がいないところ何度も何度も同じ事を繰り返した。

里美が一番苦しかったのはお昼ご飯の用意だった。

父は昼過ぎからの仕事だった為、昼は家でご飯を食べる。ただお昼は基本別々で食べる様に父にお願いしてた。

その理由は里美は結生に母乳をあげたり、自分のペースでお昼を食べたかったのと、基本里美は昨日の残り物をお昼していた為、父には残り物を食べさせる訳にもいかないという理由で昼だけは父は自分で用意してもらう様に私からも話してはいた。

しかし、父は悪気はないのだが、わざわざ昼前にスーパーに行き、色々と材料を買ってくる。

父は里美にこれ安かったからといろんな肉、魚、野菜など買ってくる。そして父は今日のお昼は何かな?とリビングのソファーに座り昼を待つ様になった。


父は里美が作るものに困らない様にという気持ちで色々と買ってきたつもりだった。

里美は毎月決められていた食費から一生懸命作るものを書き出し、献立を立ててやっていた。それもかつかつな食費で。それにも関わらず、父は自分であれこれ買ってきて里美に渡し、父はもうお金なくなっちゃったと笑いながら言っていた。

父は良かれと思った行動が、逆に里美をどんどん見えないプレッシャーで追い詰めてしまっていた。

父が予定にない食材を勝手に買ってきて、里美に渡せば、里美はそれを使ってお昼を用意しなきゃいけないと思ってしまう。ましてや昨日の残りの材料などを使う為に、毎日献立を考えていたのが全て無駄になる。

里美は笑えなかった。段々と里美は「私が作った料理では不満で買い物してきているのかな?それはもっと美味しいお肉食べたいよね、もっと美味しい魚食べたいよね。」と思う様になったらさしい。


そんな事ばかり、考えていくうちに、うちの父には昼を作るのが怖くなっていったらしい。毎日毎日、決められたギリギリの食費の中で献立を必死に考えても、

父の身勝手な食材によって、里美は頑張る理由、節約する理由、お金の大切さがよくわからなくなっていた。

私、里美、父で節約して、生活を立て直していこうと話したのに。

人って口だけなのかなって里美は思うようになっていた。


私は最初は里美に気にするなと声を掛けたり、父には里美のやっている事に口挟むなと二人のバランスを取る様にしていたが、父はそんなつもりでプレッシャー与えてるつもりはこれっぽっちもないし、里美が少しでも美味しいもの食べてもらいたいと思っていたと考えを言った。

私は父の気持ちも分からなくはないが、それが今は余計だと話した。

里美自身、常に節約したいという一心だった。できる限り満足してもらえる様に、決められた食費でバランスの取れた献立を立てていた。


私から父にしばらく里美だけでご飯作らせて欲しいのと里美には一切話しかけないで欲しいのとなるべく、孫との時間は俺に許可取ってから遊ぶようにしてくれとまで決めるようになっていた。

俺もここまでしなきゃいけない理由がよくわからなかったが、父のしてあげたいという気持ちがかえって、今は対人恐怖症の里美にはマイナスだった。だから、普通では考えてずらい事だったが、ここまでやらないと事が収まらなかった。


しかし父に何度も話しても、つい同じ事を二日後にはやってしまう。もう、私はその度、父に怒鳴り散らしていた。



しかし限界はすでに、そこまできていた。

私はいつもの様に家に帰った。

するともう子供達とは部屋で寝ていた。父はいつもの様に、リビングでソファーに座りテレビを見ていた。

子供が寝るなんて珍しいなって思い自分の部屋に戻った。

部屋を開けると部屋の電気は豆電球になっており、里美がベッドにいた。

ベッドの布団にくるまり、耳を塞いで何かをブツブツ言っていた。よく聞くとごめんなさい、ごめんなさいと言っていた。

私は「里美、里美どうした?」と声を掛けた。

里美は、はっとしてこちらを見た。泣いていた。私は里美に何があったか聞いた。

すると里美は

「今日、お父さんに結生、お昼寝させますって言ったの。ここ最近ずっとお父さん、時間があれば結生、結生って遊んでくれる。いいことなんだけど、嬉しい事なんだけど、私も結生といる時間や母乳の時間とか色々自分の時間がほしい。だから、いつも部屋に戻ってドア閉めて私と結生二人でいるんだけど、ドアをノックしてお父さんが結生と遊んでいい?って言ってくるの。最初は良かったんだけど。段々とお父さんそう言うようになるのが多くなって。その事についても何度かパパから話してもらったんだけど、改善されなくて。今日は口実で当たり障りない様に結生を寝かせると言ったんだけど、今日はノックもせずドア開けて、結生、起きてるならおいでって連れて行っちゃったの。それ見て私の言う事なんて全然聞いてもらえないんだなって思って。そしたらもういいやって思って」

里美は明らかに疲れ切っていた。


里美が父にはっきり言えないのは、以前、老人ホームでの流産の一件から人への恐怖があるのは知っていた。

それはもう理解しているつもりだった。


それだけでなく、里美は唯一の相談相手のお母さんが遠くに行く事がショックで不安だったのだ。

もうこのやり取りが半年以上続いており、里美は毎日ドキドキしながら過ごしていたようだ。

ましてや、近くに友達もおらず、自分から友達を作れるような状況でもなかった。

休みの日はなるべく、父以外で外に出かけ気分転換をしていた。みんなで外で遊び、ちょっと買い物して、夜ご飯食べて。

正直、私は私で外に出かける余裕は無かったが、里美がもう家にいて気分がおかしくなっているのは確かだったので、お金の有無など、その時は考えられなかった。

結局私は、また少しずつ借金が日々増えていった。


毎日やりきれない状態が、父との昼ご飯の件、子供の件、梨花につい八つ当たりしてしまう件、今の家の環境、そして私のお金の件で、色々な面で里美は疲れ切っていた。

だから耳を塞ぎ、父の生活の音をかき消していたようだ。

私は何度も里美の生活に干渉するなとお願いした父が、未だ変わらない事。

今の里美の精神面が不安定である事を父は少し理解しているはずなのに。

という伝えたはずなのに未だ里美に負担をかけている父には私はどこまでふざけてるんだと思い怒りが一気にこみ上げた。

私は部屋を出て、リビングにいた父にキレた。

「お前、ふざけるなよ!里美の事を毎日干渉しないように、一から分かりやすく話したよな!その度、あんたは分かったって、明日からは一切こちらからは話をしたりしないし、なるべく自分の部屋で過ごすって言って一切やってなかったようだな!このクズ野郎!」と言ってしまった。


当然、父はその言葉に怒ったが、私の約束を破っていた分、うまく反論もできていなかった。

私と父が言い合っている中、里美は私達に止めてと声を出していた。

父はついに

「お前達が金が無いからって、住まわせてほしいって言ったから住まわせてやってんだ!リフォームまでして!俺がお前達を住まわせてやってんだ!」と怒鳴り始めた。


その言葉に里美は「すいません!」と大きい声で一言言って部屋に戻る。

私は父に

「俺らにも責任はあるよ。でもあんた、昔からだけど、人に対しての、そういう自分勝手な所は最低だよ」と私は言った。

父はやりきれない表情で下を向いていた。



確か金がなく行くあても無くて実家に来た。父には感謝しているが、里美の事で頭がいっぱいだった。

最初から私が借金を隠さず、ありのままちゃんと向き合えば、他の方法もあったのに、私は自分の都合で家族を道連れにしてしまった。


この結果は誰が見ても私に責任があるだろう。

私は無責任にも今、この瞬間消えていなくなりたいと思ってしまった。





部屋に戻ると里美は泣きながら、無言でやけになりながら、かばんに荷物を詰めていた。

俺は「どうしたんだよ、里美⁉︎」と言った。


里美は「ごめん、パパ。やっぱり無理だ。私。この家では生活出来ない。色々やってくれたのにごめんなさい。私これ以上、ここにいたら本当にいつか、パパに何も言わないで子供達と出で行ってしまう。正直ね、ここ最近ずっと家を黙って出るか悩んでたの。

その事についても、私ずっとお母さんに相談してたの。でもパパを裏切りたくなかったから、何度も我慢した。でもさっきの話でもう、無理だって思った。勝手な事言って本当にごめんなさい。…私ね、パパと子供達だけで新婚生活したかったな。ずっと憧れてたけど、もう無理だね。ごめんね、こんな時に変な事言って」



里美はもう限界とかそんなものではなかった。私はこの時もう、どうなっても、里美の為に何かしなければと思った。


私はここ最近、カードの返済は遅れる事なくしていた。しかし毎週毎週、休みに外に気分転換で、出かけていた為、これ以上使うと破産する。

でも家を出ないと、このままでは里美が壊れてしまう。考えた末、私は借りれるだけ借りて家を出よう。その後、返済していこう。返せない所はわからないけど、土下座なりどうなってもいいから今は家を出て、里美を何とかしようと考えた。

この時ほど、私自身冷静な判断をすでにできなくなっていた事を気づいていなかった。

もう、金が無いとかではなく、借りればあるという、違う世界の考えに飛んでいた。


里美に「里美、家でたいよな?」と聞いた。

里美は泣きながら「出たいけど、無理だよ。」と言った。

里美はもう友達の家なりを行き生計を立て直そうとしていた。

俺はそんな事はさせられないと思い、思い切って里美にキャッシングで借りて家をとりあえず借りる案を説明した。

里美は「借金はだめだよ。」と言ったが、

私は「今は借金だけど、俺も今の仕事に夜バイトして負担もかけないようにする。借金だってずっとじゃないし。返していくから」とその時は話した。

里美も私も結生が保育園入れたら働くと言った。

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