表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虐めたもうなかれ  作者: 自由なゆめゆめ
5/7

俺無敵

 堂本の右の正拳突きが来た。

 反応がいってんぽ遅れた。致命的。


 この場で明かせない不利な条件がある。


 ・・・頬の合成樹脂のシリコンだ。

 顔を殴られたり、汗をかけば剥がれ落ちる可能性がある。

 汗が出る前に仕留める必要がある。腐ってもインターハイレベル。


 その不安が、反応を遅らせた。


 

 が、蚊が止まるくらいに遅い。遅すぎる。今の高校レベルの低さが伺える。

 俺が高校時の全国十位より弱そうだ。


 遊べそうにもないくらいに弱い。さっきの悩みがアホだった。


 しかし慎重になり過ぎても我が身の守るのに足りない時もある。らしい。

 俺はそんな場面に遭遇した事はないが。。


 とっとと終わらせるか。


 遅すぎる右の突きを左の手のひらで外に弾き、右拳を軽く握って

 堂本の六つに割れてるだろう腹筋にねじ込む・・・寸前、


 ・・・美咲が、


 「本間を連れて来てからだ!」


 「うげぇ。。。」


 遅かった。俺の拳が腹筋にねじ込まれていた。


 「ぐぅぉおぅお。」


 腹を押さえて倒れ込み、変な声と同時に昼に食べたであろう物が口を流れる。


 「すまん。手加減したのだが。

  昼は・・・焼きそばか?それもカップ。」

 

 そう言い終わると同時に、副将の川波がかかってくる。

 大振りの右だ。堂本が一発で倒れたを見て動揺してるのだろうか。


 軽くよけ、顎に軽く平手打ち。


 脳を揺らすだけの攻撃だが、効果抜群。腰が抜けた様に座り込む。

 多人数相手の場合の鉄則を忠実に(こな)す。

 

 握り(こぶし)で、数回打撃を加えると拳が痛い。

 拳は相手を倒す必殺拳。よって本能で外さない様に神経を集中させるし力も入る。


 しかし、パーの状態で手のひらでの攻撃は、気分的に楽。拳を痛める心配もない。

 正確にはパーでは無いが。突き指をしない為に第二関節から指は内側に丸めている。


 拳を作らないだけで気が楽になる。それに命中率もあがる。が、攻撃力は低くなる。


 攻撃力が低くても問題無い顎を狙う。


 最も、動体視力、速攻スピードに自信のある俺の戦法だが。


 人間の中心は上から下まで急所で、どこを突いても大ダメージを与える事が可能。

 逆に加減を間違えると致命傷になりかねない。

 

 そこで有効なのが顎。顎の下すれすれを打つ。(てこ)の原理で首を軸に、

 顎の反対にある頭部、つまり脳のある部分を揺らす。

 脳を揺らすと意識ははっきりしてるが、身体が動かなくなる。


 よって、一時的に動けなくできる。そして動ける頃には、自分以外誰も動けない。

 戦意喪失になる訳。


 意識がはっきりしてるのがポイント。何が起きてるか一部始終を見れる。

 見れるだけで動けない。精神的にも焦りが生じる。

 

 複数相手には効率的。 と、

 剣道の竹刀を持って、雄叫び声をあげながら竹刀を振り降ろそうとする奴を確認する。


 それ?どこに隠してたんだ??

 ・・・どこに当たっても痛そうだ。

 しかし余裕だ。

 

 左腕を上げて腕で受け止める。


    ガィン !!


 「何か左腕に仕込んでやがる!!」


 保険掛けててよかった。食堂で借りたアルミトレーだ。

 もっとも、借りたと言っても最初っから返すつもりは無いが。

 腕に当て丸く円柱状に曲げて籠手代わりに早変わり。


 何か得物が出た時の対策が覿面した。

 流石に、素手で得物を受けるとめちゃくちゃ痛い。

 その痛さが隙になる。


 隙以前に、武器と素手。力に差があっても武器を持った方が圧倒的有利。

 よって武器は持たないが、対武器策は必須。

 誰がしも今から戦闘になるかも?の状況では当たり前の事だろう。


 

 受け止めた竹刀を軽く外側に弾き、やはり顎に平手を入れる。


 上手く顎の良い場所を掠めた。

 同じく、腰が抜けた様にペタリと座り込む。


 これで、戦闘不能三人。


 思うに、俺の様な背の低い奴との対戦なんて・・・無かった事だろう。

 ある意味、俺が有利。少し申訳ない。


 「んで、本間さんが何だって?」


 美咲を始め、残った雑魚三人が顔を見合わせ口をパクパクさせている。

 

 「お前ら・・・雑魚は雑魚でも金魚か?」


 その一人にパンツの臭そうな奴もいる。


 三人の一人ひとりに視線を向ける。向けられた者から順に、一歩後ずさりする。

 三人に戦意はない。勝負は着いた。


 「俺は耳が遠くて。悪いが大きな声で言ってくれるか?」


 三人は首を左右に振って慌てている。その三人の目線が美咲に向かう。

 美咲の顔は、真っ青。触れてはならない物に触れた後の・・・

 引くに引けない子供の様だった。


 そんな美咲を無視。


 「臭いパンツ出してる内は、誰にも勝てないぞ?」


 食堂に迎えに来た二人が慌ててズボンを上げる。

 頼りのバックが俺の前に倒れてる。この状況では当然の行動。


 一息置いた。もう安全圏には違いない。しかし、


 最後の追い込みが残っている。チェス、将棋に例えるなら

 詰みの一手。相手に逃げ場を与えながら詰む事が求められる。


 「堂本先輩、手加減したんだ。立てるだろう?

  もっと稽古をつけてあげたいが?」


 俺を見るが、睨む威圧は感じれない。戦意喪失を確認。


 「いや。立てない。俺の負けだ。」


 潔く負けを認め、声には清々しさも感じ取れる。

 爽やかなスポーツマンになったつもりだろうか。


 だが、顎にぶら下がった焼きそばの麺が何とも間抜けで笑いそうだ。


 詰みの一手は成功した。後はこちら優位の交渉となる。


 ・・・はずだが。。。


 沈黙してた美咲が、地団駄を踏んで、

 

 「そんなチビに情けない!」


 再び、沈黙する。。


 美咲のエールとも取れる叫びに反応できるものは居ない。


 まぁ。そうだろう。三人倒すのに三発しか攻撃してない。


 更に、その間一分と掛かって無い。


 大きな力の差で圧倒したのだ。無理もない。

 力の差を見せる事で、報復させる気を持たせない事も重要である。


 「そこの美咲と呼ばれてる美人さん、文句はないな?

  本間さんと俺には関わらない。で、いいな?」


 「クッ」


 「クッ? そんな返事の質問した覚えないが?」


 俺を鋭い目で睨んで、フィっと体育館の出口に向かって歩きだす。


 「まて。返事を聞いてない」


 「本間には手をださない!それでいいか!」


 吐き捨てる様に言いながら、出口の扉で見張りをしてる女A、Bと一緒に去って行った。

 残されたのは、郁美。


 郁美はオロオロして次の行動に移せない。何故なら、俺が郁美を直視してるからだ。

 最初っから郁美は孤立させる事が目的で、視線も避けてた。

 私は蚊帳の外。と思わせる様に刺激しなかった訳だ。


 郁美を孤立させる事に成功した。と、思う。


 だが、郁美の表情には気のせいか安堵した様にもみえる。


 さて、ここから最後の仕事。


 姫は、郁美と元に戻りたいと希望してる。

 それに、俺がこの学校に居られる期間は一ヶ月。

 俺が去った後に、また姫が虐められた!では意味がない。


 そう考えながら郁美を凝視してた訳だが、かなり威圧を掛けたらしい。


 「私も本間には関わらない。」


 早くこの場から去りたいのだろうか。慌てて言う。

 

 「いや、本間さんと話し合いをして欲しいのだが。」


 「えっ?」


 (うずくま)ってる堂本に視線を向けると目が合った。

 が、すぐに下を向いてしまった。


 「堂本先輩、失礼してもいいか?」


 堂本は手で、シッシッとするが顔は下を向いたまま。


 「三井だけは連れていくぞ?」


 郁美の目を見て、付いて来いと目で訴え体育館から出る。

 郁美が付いてくるのを確認後、時間を確認する。

 10分くらいしか経過していなかった。


 姫は・・・まだ食堂に居るのだろうか。

 

郁美と一緒に食堂にきた。中を覗く。。居た。


 郁美と一緒に姫の所に。


 「姫。もとい、ちょじょん。深刻な顔して、100円でも落とした?」


 俺の声に、立ち上がって走って距離を詰める。


 姫の顔がぐちゃぐちゃに崩れるが美少女振りは健在。


 「何かされなかった?無事?無事?怪我してない?大丈夫??」


 機関銃の様な質問が飛んでくる。


 「見ての通り。元から頭が悪い以外は問題ない。」


 姫の目から涙が溢れてる。


 こんな時、何て声を掛けたらいいのか・・・言葉が浮かばない。

 何か。何か言葉を。。

 

 「いや、なに。堂本先輩も広○スズのファンで話しはそれだけだった。」


 「もぅ。」


 姫の顔に笑顔が戻る。少し落ち着いたのか、一緒に居る三井に視線が行く。


 「いっちゃん・・・」


 姫が郁美を ”いっちゃん” と呼んだ。ほんのちょっと前まで仲が良かった

 名残だろうか。


 郁美は身の置き所が無いかの様に、目を伏せたまま動かない。


 「三井がちょじょんに話があるらしい。」


 一瞬俺を見て、また郁美に視線を戻す。


 「みぃっちゃん・・・」


 声が上擦ってる。

 感情が(たかぶ)って噛んだようだ。


 いっちゃんに、みっちゃんか。


 この調子なら大丈夫だろう。


 郁美が叫んだと思ったら泣き出した。忙しい奴だ。


 周りにギャラリーも増えて来た。興味深々で見守っている。


 この場合は・・・保健室か?保健の先生にも俺の話が通ってるといいのだが。

 

 「場所を変えよう。」


 一言発して、姫に耳打ちする。

 「保健室で二人になったら?」


 ちょじょんの返事は笑って返してくれた。


 「いっちゃんみんなが見てるよ?場所変えよう?」


 姫は、三井の腕を抱えてそのまま食堂から保健室へ向かった様だ。


 そっと、円柱状になったトレイを置く。返すつもりは無かったのだが。


 その後、当然途中が心配で距離を置いて二人を見守る。


  あっ。ストーカーだな。ストーカーの気持ちが分かった気がする。


 二人が無事保健室に入った。しばらくすると保険医であろう年配の女性が

 出て来た。二人の雰囲気で遠慮してくれたのだろうか。


 しばらくすると、二人の泣いてる声が聞こえてきた。


 無事元鞘に戻れた事を願う。そして、二人の前に出るタイミングを図るが

 しばらく様子を伺ってたが二人を置いて、教室へと戻る事にした。


 へっぽこ空手部の心配はないだろう。

 美咲の心配はある。警戒も必要だろう。


 しかし、保健室と職員室に近い。泥棒のターゲットの家の向いに交番があるって

 表現がぴったり。


 その場を離れ教室に向かって歩きだすが、職員室の前まで・・・鳴き声が聞こえてくる。

 さすがにこれは。。。 保健室に向けて歩きだした。


 職員室の前を通り過ぎた時、後ろから声を掛けられる。


 「調子はいかがですか?」


 振り返ると、学年主任の野見山先生。


 「あっ。お疲れさまです。穏便に進んでます。」


 野見山先生は鳴き声のする保健室方向に視線を向けて、


 「それは、それは。結果を楽しみにしていますよ。」


 軽く会釈をして立ち去る。


 ふぅ。上から目線って感じだ。最後の語尾に ”よ” は不要だろう。

 その ”よ” は上から目線だろう。


 友達よりかなり上の立場の方には絶対に使えない。

 親しみを込める意味もあるかもだが。学年主任だしいいか。


 くだらない事を考えなら保健室の前に到着し、軽くノックして入室。


 「二人の鳴き声に驚いた、蟻さん達が迷惑してるのだが。」


  二人の視線が俺に向いた。二人とも笑ってる。


 やはり・・・そうか。


 今朝、郁美が姫を虐めてる様に見えた。虐めて見える表面的なものだった。

 それが何とも・・・ 違和感を感じたのはこれだった。


  無事に二人は元に戻れた。良かった。本当によかった。


 「いっちゃん。ありがとう。ずっと私を守ってくれてたんだね。」


 「幼稚園からずっと友達じゃない。」


 「本当にありがとう。」


 「痛い思いさせてごめんね。みっちゃん。」


 姫は頭を左右に振って、止まらない涙をお互いに拭きあっている。


 郁美は美咲のグループに入って姫を守っていたのだ。


 姫によると、郁美が向こうに行ってからはスカートを切られたり、

 髪を切られたりから守られていたらしい。


  ・・・ある意味・・・俺はピエロか。知らぬとはいえ恥ずかしい。


 グループの一人がカッターを出したら、郁美が姫に一歩近づいて

 壁を蹴ったりや、頭や腕を本当に叩いてたらしいが、

 物を壊される事は無くなったという。

 姫も違和感から確信に変わったらしい。


 姫の髪の長さはセミロングより少し長め。左右の長さが不自然。

 それは、郁美を信頼してる意味もあったのだろう。

 姫は、郁美を最後まで信じていた。


 郁美が俺の目を見て申訳なさそうに伏せる。


 「あの。。ごめんなさい。」


 「いや、謝る事はない。逆に、ちょじょんの友達でい続けてくれた

  事に心から感謝する。」


 ぽっと出だが、チビの俺が現れた所で何も変わらないと思ったのだろう。

 俺でもそう思う。だったら姫への攻撃から俺へ逸らせる。

 俺への攻撃は何も遠慮は不要なのだから。

 美咲の監視役の女A、Bにアピールしたかったのだろう。


 目頭が熱くなる。


 二人はうれしそうにじゃれあっている。


 再び郁美は俺に言う。


 「ありがとう。みっちゃんを助けてくれて。」


 事を知ってから郁美を見る目が大きく変わる。

 郁美は美人だ。が、照れてる顔は可愛い。

 俺は、笑顔で返事をする。


 郁美は、続けて俺の方を向いて


 「いい事教えてあげようか~?

  みっちゃん、子供の頃からお風呂上りは自然乾燥って裸なんだよ

  バスケの練習の後にシャワーした時も裸で、周りが引いてたのに

  お構いなしで。」


 「女子しかいないから別にいいでしょ~」


 「いい加減、直しなさい!」


 ・・・見てみたい気もする。


 また二人がじゃれ合う。そして、昼休みは終わった。

 ほぼ、90%は片が付いた。


 後は美咲の出方次第だろうが、郁美が戻った今は心配に及ばないだろう。

次回でちょじょん編&採用試験の終わりです。

鉛筆でノートに書いた、ちょじょんの後ろ姿(裸体)を

アップします。

絵無、絵有と二つ同じ内容なのでご注意ください。

可愛く書きたかったのですが・・・

微妙なちょじょんで、イメージ崩れたらすみません><


ちょじょんイメージ画は自己責任で閲覧ください。お願いします。


タイトルも・・・文章も不細工な所為か・・・

読者が増えないです(_ _。)・・・シュン

読んでもらえる文章を書くのって凡人の私には無理だと思いました。


評価ゼロ・・・感想ゼロ・・・


まだまだ、紹介したい話がありましたが次回で終了しようと思っています。


次回 4/18 17:00 更新(完結) 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ