プロローグ
お久しぶりです。
今回から新シリーズを始めたいと思います。
今回は原案をまとめ、設定などをしっかり決めてあるので楽しんでいただけたら幸いです。
感想や評価、ブクマもよろしくお願いします。
「なんなんだよ……お前ら……」
何が起こっているのかも理解できないまま、俺は銃口を頭に突きつけられていた。
目の前にいる黒いフードを被っている四人組、機械的な声で連絡をとっているみたいだが、恐怖に埋もれている俺にはどうする事もできない。一体俺が何をしたというのだろうか。
何者なのかも知らない、関わった事もないし、見た事もない。
彼らは名乗る。
ーー我らは『魔女狩り』だと
黒いフードの一人が『コツ、コツ』という足音をたて、こちらに近づいて来る。
長身で鍛えられた身体、フードの中に見える火傷の跡がよく見える、そんな彼は俺に聞いてくる。
「君は魔法を覚えちゃったんだよね?」
即座に否定したかった、知りませんと、何をいってるかわかりませんと言いたかった。そんな考えは消される。
「あっ嘘ついたら両親も犠牲にするからね?嘘つく子を育てた罰みたいな」
すぐさま相手の顔色を伺う、相手の顔がチラッと見えた。
「(ニコニコしている……)」
不気味すぎるほどの笑顔をこちらに見せつけ、不吉なことをいってくることが、俺に不安を更に高めている。
どうすればいいんだと、なんて最悪な選択肢しかないんだろうと。
素直が一番とも言われている。
ならば、はいと答えるしかないか……
決心を決め、はいと答える。
すると目の前の傷の男が俺から離れていく。
ここがホラーゲームなら家が崩れて、助かったりするのだろうが、現実は甘くない。
「お前は生まれてきたことが罪である。よって我らが悪しき魂を解放する。」
銃口は俺を向けたまま笑顔で俺のことを見る。
「死にたくないっ!」
とっさに叫ぶが意味はない、銀色の弾は俺の身体へと吸い込まれていく。
身体から力が抜けていく。辺りが赤く染められていく、己から流れ出していく生命の源。そして実感する、これが『死』であると、脳が警告する。
だが、魔女狩りは容赦しない。
更に数発、俺に向かって発砲する。
もう、痛みは感じない、あいつらも見えない……
死ぬ前に色々なことが浮かんでくる。俗に言う走馬灯というものなのか、今までの思い出、家族のこと、たくさん蘇る。
こうして、俺こと機島雷人は殺された。
死体は後日、両親が発見し、葬儀が行われたという。
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唐突で悪いが、君は魔法を信じるかい?
そう答えられたらほとんどの人が"いいえ"と答えるだろう。
当たり前だ、魔法なんてものはアニメや漫画などに描写されたり、昔の人達が憧れて考えた空想の話に過ぎない。そう思って生きてきた。
「なんだよこれ……」
手のひらから小さい火が出現したのは高校生になったばかりの頃だった。
低気圧が空を覆い、冷え込んできた頃に温かいものなにか出ないかなと考え、火を念じてみたのだ。
あら不思議、なんと出来てしまいました。
ただの一般学生だった俺が『特別』になれた日であり、同時に全ての始まりの日のもなった。
この日から魔法の特訓を始め、親に見つからないように夜中に練習を始めた。
世間で注目される訳でもない、親に褒められる訳でもない。
ただ、俺しかできる人がいないという独占欲にかられていただけだった。
それから、一ヶ月、二ヶ月、半年、一年と過ぎていくうちに隠すこともやめ、友人に見せ、クラスメイトにも見せて驚かせ、楽しい学校生活を送っていたはずだったんだ。
これが俺の魔法との出会いであり、これからの物語の序章である。