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酔話奇談  作者: 初菜
2/2

~ちょうだいヶ淵~

何時のころからか、ある村で、

人々の口にのぼる事の多くなった噂に、

{ちょうだいヶ淵}という沼がある。

沼の場所は確かではなく、

曇天の日に村近くの森の中で迷うと出くわすと言う。


{ちょうだいヶ淵}は、出くわした人間に


「ちょうだい、ちょうだい」


と、

語りかけてくるらしい。淵が語りかけてくるのだ。

その声を聞いて金縛りにあったように動けずにいると、

今度は


「ちょうだい、あなたの足をちょうだい・・・・・・」


と、声が響く。

その声を聞いた人間は、足が忽然と消えてしまうのだという。

次は


「ちょうだい、あなたの手をちょうだい・・・・・・」


と、声が響く。

足と同じく、次に手が腕ごと消えるという。

その次は


「ちょうだい、あなたのからだをちょうだい・・・・・・」


と。

やはり、足と手に同じく体も消えるのだという。

最期に沼から、首から上のない女がぬめり、と浮き上がってきて


「ちょうだい、あなたのあたまをちょうだい・・・・・・」


と言い、そして最期に残った頭も消えてなくなるそうだ。

そして、女もいつのまにやら消えている。

そんな噂だ。


森の中を曇天の空気の重苦しい日に歩いていた彼は、その、声を聞いた。


「ちょうだい、ちょうだい」


と。

彼は金縛りにもかからずに、

大きな声で言った。


「嫌なこった」


そしてくわえていた煙草を、沼に向かって投げ捨てた。

煙草が沼に消えると女の絶叫が聞こえてきたが、気にせずにそのまま立ち去った。


さて、さっさと仕事に向かうか。

彼はつぶやきながら何事もなかったようにまた歩き出していった。


以来

「ちょうだいヶ淵」

の噂は聞かない。

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